
Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
―
食べることの喜びはもとより、
食を通したコミュニケーションの力を、信じてやまない彼女。
周りのひとたちの想いを束ね、届けることを、ひときわ重んじる。
それもそのはず。学生時代は編集者を志し、
巡り巡って、いまはプレス業に携わっている。
いっけん遠回りなようだが、その重なりにこそ、彼女は目を向けている。
ベイクルーズの名を借りるのは、
アドバンテージでも、ハードルでもある。
―まずは、ベイクルーズに入社した経緯について教えてください。FLAVORWORKSに所属しているということは、もともと飲食関係の仕事を志していたのでしょうか? それともアパレル企業だから選んだとか?
ベイクルーズに入る前は、新卒でセレクトショップなどを運営している会社に入って、雑貨ブランドの部門で5年ほど販促の仕事をしていました。そのときの先輩がベイクルーズに転職し、声をかけてもらったのがきっかけ。遡ると、学生の頃は編集者になりたくて、とある師匠のもとで1年間アルバイトをしていたこともあります。いっぽうで、“企業”というものに入って経験を積みたい気持ちもあった。それで前の会社に入ったんです。そこで基礎を学び、培ったものを今度はベイクルーズで活かしてみたいと思いました。

―もともとは編集者志望だったんですね。飲食やアパレルの企業に入るのは、いっけんすると遠回りのように見えますが、小山さんにとってはあくまで先を見据えた選択だということですね。
企業に勤めて販促やプレスの仕事をするなかで、割と編集の仕事に近しいものがあるとも感じています。お客さまのニーズや世間のトレンド、社内のいろんなひとの話を自分なりに整理して、“おいしい!”を世の中に伝えていく仕事。ものごとを掛け合わせながら、コンテンツをより価値ある形で発信していく。そうした面で繋がりを見出せたからこそ、続けられているような気がします。
―場所に捉われず、自分の進路の糧になる仕事をきちんと発見できているようです。では、服でも食でも、携わるモノにはとりわけこだわりがなかったということですか?
特化したい何かがあった訳ではありませんが、ライフスタイルと呼ばれる物事全般には、ずっと興味があります。東日本大震災を経験したり、SNSが急速に発展してきたのを目の当たりにしてきたり、世代的なところもあると思います。なかでも、食は大好きです。美味しいものを食べて誰かと時間を共有することはもちろん、一人で集中して料理人の生み出す表現と向き合うのも楽しいですし。



―アパレル企業という括りのなかに、飲食ブランドを抱えるベイクルーズならではの魅力も感じていますか?
他の飲食ブランドやお店よりも、ファッションという視点があるベイクルーズならではの見せ方の上手さはあるかもしれません。また、「ベイクルーズの〇〇」というだけで、「おしゃれで新しいことをやっていそうだね」と興味を持っていただけるのは強みでもあり、一方で自分たちを奮い立たせるハードルでもあると感じています。


―プレスとして、やりがいを感じる瞬間は?
やはり、メディア掲載を通して、お客さまや周りの方から反響をいただいたときですかね。2020年末には、個人的にも念願だったファッション雑誌『FUDGE』とのコラボも実現しました。そのときは、BOUL'ANGEと『FUDGE』でクリスマス限定のペストリーをつくって、誌面に掲載するビジュアルも制作した。もともとは飲み友達からの繋がりで実現した企画ですが、お客さまがInstagramに投稿してくださったり、お店のスタッフたちからも大きな反響をもらったのが印象的でした。アイデアやひととの繋がりをもとに、お客さまはもとより、ブランドに携わるすべてのひとの喜びにつなげる企画を、今後も考えていきたいと思っています。

―2020年は、とりわけ飲食業界にとっては大変過酷な年でもありましたよね。FLAVORWORKSとしては、どんなことに力を入れてきましたか?
デリバリーの強化や、お家で安心して楽しんでもらえるミールキットのEC販売などを行ってきました。また、閉店間際に廃棄予定の商品を値引きするといったフードロス問題への対策など、コロナ以前からやってきたことも、より一層意味を持つようになりました。
―小山さん自身の生活にも、食をはじめ、何か変化はありましたか?
友人と飲みに行ったりするのも大好きなので、なかなか辛い状況です。その一方で、自宅で料理をする時間は増えました。やってみると「意外となんでも自分で作れるんだな」という気づきがあり、すると、洋服を買うよりスーパーに行って食材を見るほうが楽しくなったりもして。

―FLAVORWORKSのミールキットなどを通して、同じようなことに気づいたお客さんも多いでしょうね。オフの日は、普段どんな風に過ごしていますか?
散歩がてらおいしいものを食べに行くか、お酒を飲んでいるか(笑)。最近は、町中華や町寿司など、地元に長年根付きながらもファサードに癖のあるお店を探すことにハマッています!コロナ禍で閉店を余儀なくされるお店も多く、応援の気持ちを込めてテイクアウトなども利用するようになりましたね。

―相手にするのが“食”だけに、仕事もプライベートも垣根なくつながってしまいますよね。息抜きの方法はありますか?
オン・オフともにたくさん食べるので、お茶を飲む時間を大切にしています。気分を変えたり、すっきりしたりしたいときには、お茶を飲む。ミントティーやルイボスティーが好きです。とくにルイボスティーは消化にもいいですし。NYの紅茶ブランドのスパイスがブレンドされているものがお気に入りで、冬はホットミルクで割るのもおすすめですよ!

―一時は編集者を目指して、いまは企業勤めを経験するためにベイクルーズに入り、編集にも相通じる仕事を行っている。それも、大好きな食にまつわる内容で。自分の進路を着々と進んでいるわけですが、今後の目標はありますか?
「ベイクルーズの誰々」、「FLAVORWORKSの誰々」ではなく、「小山のこういう仕事が好きだから、一緒にやりたい」と、会社の名前を借りずとも仕事ができるような存在になりたいと思っています。

「“闘魂伝承”。開発者、お店のスタッフ、いろんなひとたちの熱い想いを束ね、伝えていきたい。」
小山 薫
FLAVORWORKS プレス
---
