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  3. 【CREW'S VOICE vol.38】ACME Furniture、journal standard Furniture プレス, ショップマネージャー / 勝山龍一
CREW'S VOICE

Photo_Cosmo Yamaguchi
Text_Masahiro Kosaka

会社に求められるまま、すいすいと何者にもなってきた。
「とりわけ特化したものがないんです。」と謙遜する彼。
裏を返せば、その柔軟さは強みにほかならず、そしてなにより。
「すべてにおいて“人”ありき」。
ベイクルーズの掲げる信条が、
そっくりそのまま、彼のワークとライフであるということ。

13年以上も暮らす吉祥寺に、
店長として戻ってきました。

―勝山さんといえば、もはや、ベイクルーズの名物プレスと言っても過言ではない存在です。いまはACME Furniture、journal standard Furnitureのプレスと、吉祥寺店のショップマネージャーを兼任しているそうですね。入社してからの経歴について、簡単に教えてもらえますか?

入社したのは、もうかれこれ17年くらい前のこと(笑)。最初はJOURNAL STANDARDで販売スタッフとして、池袋パルコ店や、もともと神南にあった渋谷本店で働いていました。そのあと、journal standard Furnitureの立ち上げに参画することに。そこからはインテリア部門の担当として、店長、EC事業のスタート、VC、プレス、なんでもやりました。そしていま、プレス業務をやりつつ吉祥寺店に戻ってきたんです。

―あらゆる部署をわたり歩いてきたのですね。

悪く言えば、何も特化したものがないんですよ。会社の流れに身を任せて、ころころと変わっていく。それが最初はストレスでもありましたが、いまになってみると、そんなに悪いことでもなかったかなと。いろいろなチャンスを与えてもらって経験を積めるのは、ベイクルーズの特長と言えるんじゃないでしょうか。

―そもそも、どうしてベイクルーズに入社したのですか?

当時はセレクトショップ全盛の頃で、ぼくも憧れていたひとりだった。きっかけになったのは、JOURNAL STANDARDが雑誌『Spectator』と一緒に発行した2002AWのカタログ。当時セレクトしていた海外ブランドのデザイナーや、自社の企画担当者のインタビューが載っていたりして。これを見て、「超かっこいい!」と、JOURNAL STANDARDの採用を受けたんです。このカタログは、仕事に行き詰まったときやアイデアが欲しいときに、いまでも読み返したりします。

昔のVWビートルの広告集である『企画のお手本』も、仕事に行き詰まったときに読む本のひとつ。

―まわりまわって、こうしてまた現場に戻ってきたわけですが、いま店舗に立ってみて改めて感じることはありますか?

商品を売ることの大変さを実感しています。いまやECでいくらでも買い物ができるわけで、実店舗のあり方がここで問われているなと。また、買い物をするなら渋谷や新宿といった場所にも簡単に行けてしまう吉祥寺という街だからこそ、いかにこの店に来てもらうかには、やりがいも感じている。それには、ただ“家具を売る”のではなく、“暮らしを売る”。そこを追求するに尽きると、いまは考えています。

―かくいう勝山さん自身も、吉祥寺にはかなり長く暮らしていると聞きました。この街にこだわって住み続けているのは、どうしてですか?

吉祥寺には、13年間暮らし続けています。そのあいだに、吉祥寺のなかで3回引っ越していて(笑)。ここにいる理由はたくさんあって、ひとつは、子どもが大きいため離れるのが難しいこと。出勤先の渋谷には電車一本で行けてアクセスはいいのに、ちゃんと「帰ってきた」って感じがするのもいい。また、近所に大きな公園がたくさんあること。山梨や長野方面にキャンプをしにいくことが多いので、中央道に乗りやすいことも、理由のひとつです。

自粛期間中は、近所の公園にアウトドアギアを持っていき、仕事をすることも多かったとか。そんなときにも欠かせないのが、シングルバーナー、ケトル、ドリッパーなどの一式が入った「どこでもコーヒーセット」。「ショップミーティングで、スタッフたちにコーヒーを振舞ったりもしています!」。

―休みの日はキャンプをすることが多いようですね。ずばり、キャンプの魅力とは?

キャンプは10年くらい前からやっていますが、よりのめり込むようになったのは東日本大震災のあと。「雨に濡れるとこんなに体が冷える」とか「火を起こすためには、こんなに手間と時間がかかる」といったことを実感できるキャンプを通して、より強く生きる術を学んでいるような気がします。でも、なにより、仲間とみんなでひとつのことをワイワイやるのが好きなんですよね。 お店の仲間と目標を目指しながら作戦練るのも同じ理由で好きなんですよ(笑)。

多摩川の河川敷で、焚き火をすることもある。2、3年前に購入したというBallisticsのチェアが、焚き火にちょうどいい高さなのだとか。

―最後に、長きにわたってベイクルーズで働いてきた勝山さんから見た、この会社の魅力について教えてください。

入社した頃の本社のエレベーターに、「すべてにおいて“人”ありき」という社是が掲げられていました。その言葉が好きで、いまでも、なにかにつけて指針にしています。ひとの力の強い会社だとは、40周年のときにも改めて実感したこと。そのときは「Not Smart, But Creative」という言葉を掲げていましたが、本当にそのとおりだなと。ベイクルーズって、表に出るのが苦手なシャイなひとがわりと多いんですが、いざというときには、ものすごい力を発揮する。そんなベイクルーズが、好きですね。

「すべてにおいて“人”ありき。」