
Photo_Cosmo Yamaguchi
Text_Masahiro Kosaka
―
柄に柄を合わせ、さらに奇抜なアイテムをちょい足ししようとも、
彼女の着こなしは胃もたれしないどころか、見ていて気持ちがいい。
「似合う服がわかっているから」と本人は言うけれど、
さっぱりとした人柄のなすところも、大きい気がする。
自然体で、CITYSHOPというブランドを体現してるみたいだ。
割り切ってそつなくこなすより、自分の好きなことを仕事にしてほしい。
―まずは、オフの日の過ごし方について聞かせてください。最近ハマっていることなどありますか?
「いまは家で過ごす時間が、わりと多いかもしれません。植物が好きで、とくに最近は鉢植えを置いたり、タイルを敷いたり、棚を作ったりとベランダを充実させているところ。生活空間に緑があると落ち着きます。」

―タイルを敷いたり、棚を作ったり。D.I.Y.が得意なんですね!
「得意というわけでもないですよ! でも、CITYSHOPでは自分たちで内装を作りこんだり、ディスプレイを変えたりといったことが多くて、そういうのは好きですね。その延長のような感じ。」
―なるほど。
「オフの時間もそうですが、日頃から、ひとりで過ごす時間を大切にしています。もちろん友達と遊びに行ったりも楽しいですが、ひとりで考え事をしたりする時間も好き。一時期は、仕事終わりにカラオケや映画館に寄ってから家に帰っていました。この通り見た目は派手だし、お酒も強そうって思われがちだけど、プライベートは意外と地味。全然パリピじゃないですよ(笑)。」

―植物に限らず、生活空間にはこだわりを持っていますか?
「好きなものに囲まれていたい、という気持ちはあります。服もそうで、心から気に入ったモノしか基本的には買わないし、自分に必要なモノかどうかは、しっかりと吟味する方。反対に、たとえそれが他のひとからすると着にくそうな服だとしても、高価なものだとしても、自分にとって必要なら迷わず買います!」
―こと洋服に関していうと、モノ選びの基準はどのようなところにあるのでしょうか?
「似合うか似合わないか。背が高いので、体型や身長に合っているかはとくに意識しますね。」
―ファッションに目覚めたのはいつ頃のことですか?
「保育園児の頃から、自分で服を選んで着ていました。おばあちゃんが、パターンから洋服を作る縫い子さんの仕事をしていたこともあって、小さい頃から、欲しい服があると絵を描いておばあちゃんに作ってもらっていました。」
―まるでデザイナーのようなことをしていたんですね!
「小学生の頃から、お小遣いが入ればぜんぶファッションに使っていました。いまだにその癖は治っていません…(笑)。」

―では、そのままの流れでアパレル業界を目指すようになった、ということでしょうか?
「ファッションが好きだったので、本当は被服科のある高校に進みたかった。でも、親が厳しく、「服は趣味にしなさい」と言われて進学校に入ることに。当時は接客にも興味があったので、その後はブライダル系の学校に進みました。そこでサービスやマナーを学び、ウエディングの会社に就職。でも、すぐに向いてないと気づいて、諦めきれなかったアパレルの道にようやく進むことに。そうしてベイクルーズに入社して、いま7年目です。副店長や店長を経験して、いまはバイヤーとエリアマネージャーを兼任しています。」

―両親に反対されて夢を諦めてしまう、というのはアパレルを目指す若者たちが直面しがちな悩みだと思います。西来路さんはいちど別の道を経験したわけですが、そのことは結果として良かったのか悪かったのか、どうでしたか?
「私の場合、前職でサービスやマナーに関する基礎をしっかりと学ぶことができたので、そこはベイクルーズでも活かすことができました。でも、やはり自分の意志を貫くことも大切だとは思います。仕事として割り切ることもできますが、本当にやりたいことじゃないと、身の入り方が違う。そつなくこなすことはできても、可もなく不可もなく、という結果になってしまうんじゃないかなと思います。」
―CITYSHOPについても、教えてください。そもそも、どういったコンセプトを提案しているブランドなのでしょうか?
「ひとつのテーマは、大人のためのミックス感あるスタイリング。とくに、“Women & Gentlemen”、“Healthy & Mode”というふたつのキーワードがあって、たとえば「ヘルシーなアイテムを着るときにはどこかにモードな要素を足す」といった足し引きのバランスを提案しています。」

―ブランドの魅力や、現在のチームの魅力についても教えてください。
「おしゃれ好きが集まっています! アパレルといえど、服好きが集まってみんなが同じ方向を向いているというのは、意外と特別なことだと思います。おまけに個性派ぞろいなので、代えがきかない。そこもチームの強みかもしれません。」
―現在はふたつの業務を兼任しているとのことですが、日頃はどのような業務をおこなっているのでしょうか?
「どちらかというと、いまはエリアマネージャーの仕事が主務です。お店のレイアウトやスタッフのブランド体現などのヴィジュアルにまつわることから商品情報や戦略の落とし込み、計画立てなど行っていたり、バイヤー業務では展示会に行って、商品をセレクト、数付けなど業務は様々ですが、すべてに共通するのはCITYSHOPというブランドがよくなるための仕事だということ。また、そのための店舗やスタッフへの働きかけであるということです。」
―そのなかで、西来路さんが特に意識していることはありますか?
「スタッフの育成においては、強みを伸ばしてあげられるように、と常に考えています。日々役割がある中で、どのように仕事をしているのか、何が得意なんだろう、と非常に興味を持っています!また、自分の頑張っている姿や行動を、下の子たちにきちんと見せるようにしています。ブランドを体現すること、スタッフとの信頼関係を築くこと。そうしたこともとても重要な仕事だと思っています。」

―最後に、今後の目標について聞かせてください。
「今年29歳になるのですが、じつは20代、30代、40代とそれぞれ目標を立ててあるんです。20代は、「好き嫌いなく、とにかくバリバリ働く」。実際、めちゃくちゃ苦しいこともあったし、自分のキャパをオーバーしてしまうこともありましたが、その目標通りに目の前のことを頑張って、いまに至ります。30代の目標は、「20代で培ってきたことを結果に出す」。じつはこの9月から役割が変わるので、自己実現に向けていいスタートが切れそうです。そして40代になったら、30代を過ごしていないので明確にはないですが、何かしらすごく楽しいことをやっていたいです!(笑)。」

「何事にもチャレンジすること。チャレンジ精神だけは人一倍旺盛なので、ブランドのプラスになることは、とにかく、まずやってみるようにしています。」
西来路 陽子
CITYSHOP バイヤー&フィールドマーチャンダイザー
---
