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  3. 【CREW'S VOICE vol.20】journal standard furniture ヴィジュアルコーディネーター / 小倉 真澄
CREW'S VOICE

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka

ブランドルック、カタログに詰め込まれた、イメージやビジュアル。
いわずもがな、そこにはたくさんのひとの手が詰め込まれていて、
「スタッフクレジット」として、そのことがひそやかに記される。
そして、彼女の仕事も。
ワークとライフについて、ざっくばらんに聞いてみた。

女性ならではの感覚は、
常に商品企画やスタイリングに注いでいます。

―現在の業務内容について、具体的に教えてください。

「まず、わたしと同じビジュアルコーディネーター(以下:VC)が、いまブランドにはふたりいて。ひとりはACME Furnitureを、わたしはjournal standard Furnitureをそれぞれ担当しています。やっていることは、年に2回の自社のカタログ作りのほか、販促物のデザインを考えてクリエイティブチームに依頼したり、売り場ディスプレイを変更したり。また、SNSの撮影投稿といったWEB VC的な業務もおこなっています。」

―働いていて、やり甲斐や楽しさを感じるのはどんなときですか?

「何かを考えているときよりも、実際に動いているときのほうが楽しいかもしれません。たとえば、ビジュアル作りのためにスタイリングを組んでいるときや、店舗のディスプレイをお店のスタッフと一緒になって作っているときなど。」

―なるほど。そうしたとき、特別に意識していることはありますか?小倉さんらしさって、どんなところで表現しているのでしょう?

「ビジュアルの撮影時には毎回必ずテーマがあって、基本的にはそれに沿って進めます。ただ、女性であるわたしが作るからこそのニュアンスみたいなのは出したいなと思っていて。例えばガラスの小物と一緒にディスプレイすることで“抜け”を表現したりなど、素材の組み合わせを工夫することが多いですね。journal standard FurnitureもACME Furnitureも、どちらかというとメンズライクな家具が多いので、そうした工夫で、女性にも馴染みやすくしたいなと思っています。」

―素材の組み合わせやディスプレイ次第で、男性的にも女性的にも振れるブランド、ということでもあるのでしょうね。

「いまはデザイナーが全員男性なので、そうした目線はとくに大事にしています。新商品の企画の際には、商品サンプルに対して全スタッフで意見を出し合う「品評会」というのがあるのですが、そのときにも、「ここがこんな風だったら女性がもっと使いやすい」といったアドバイスはするようにしています。」

―小倉さんの経歴についても聞かせてください。ベイクルーズにはどういった経緯で入社したのでしょうか?

「中途採用で入りました。自社で撮影などを行っているインテリアブランドに入りたかったんです。」

―撮影に興味があったと。

「実は、専門学校を出てからは美容師の仕事をしていたのですが、2年間で辞めてしまって。ただ、すぐに美容の道を離れたくはなかったので、その後レセプショニストに。勤めていたサロンでは、撮影やヘアショーを定期的に社内で行っていたのですが、目の前で働いている同僚のスタッフたちが、夜遅くまで準備したり、休みの日も練習したりと頑張っている姿を見て、刺激を受けたんです。わたしもそうした世界で活躍したいと考えて、転職を決めました。」

―それで、アパレル業界に。ベイクルーズなら、服のブランドが圧倒的に多いなか、どうしてインテリアブランドを選んだのですか?

「学生時代に雑貨屋でアルバイトをしていて、それがきっかけでディスプレイやVMDの仕事に興味が湧きました。だから、もし美容を辞めたら、インテリアの道に進みたいとは考えていたんです。ちょうど転職を考えていた時期に、なんとなくACME Furnitureのカタログを見ていると、そこにスタイリストの名前がクレジットされているのを見つけました。わたしも、そんな風に自分の名前が載るような仕事をしたいと思った。それでベイクルーズに入社して、店舗スタッフを5年ほど経験してから念願だったVCに。今年で4年目になります。」

―これまでに、とくに印象に残っている仕事はありますか?

「美容サロン向けの設備を作っているタカラベルモントさんと共同で、チェアやワゴンを作ったときのことです。そのときのカタログは、前職の経験あってこそ作り上げられたものだと思っています。モデルさんを起用したり、スタジオを美容室っぽくコーディネートしたり、自分のやりたいことが自由に表現できたのも大きかったですね。」

―スタイリングを組むときは、どんな風にイメージを作り上げているのでしょう? 仕事にもつながるようなインスピレーションは、どのように得ていますか?

「映画や写真集を見ると、職業柄、やはりインテリアに注目してしまいます。とくに映画のなかに登場するセットなんかは、つい見ちゃいます。気になったところで一時停止して写真を撮ることも。フランスの映画監督エリック・ロメールの作品は、以前スタイリングで参考にしました。インテリアも、ぼやけた淡い色味も、すごく可愛いんです。映画の内容はぜんぜん面白くなかったのですが…(笑)。」

ギャラリーや本屋、海外旅行先などで買い集めた作品集や、自粛中に工房に問い合わせて購入したという、ピーター・アイビーのコーヒー豆用ガラスコンテナと、打田翠のぐい呑み。「買い物は、一目惚れが多いです。前から欲しいと思っていたガラスコンテナは、コーヒーは飲まないので、レモネード作りに使いたいと思っています」。

―ちなみに、やはり自宅の家具やディスプレイにもこだわっているのでしょうか? 好きなものや、つい集めてしまうものはありますか?

「デザイナーものの家具や雑貨よりも、誰が作ったでもないヴィンテージのものが好きです。」

―journal standard FurnitureやACME Furnitureの家具を使った、自宅コーディネートの組み方やコツがあれば、教えてください。

「全部同じブランドや新品で揃えるのではなく、ヴィンテージ家具などと組み合わせる。そうすると雰囲気も、個性も出ます。また、ラグやカーテンなど面積が大きい生地モノは部屋の印象を大きく左右するので、そこのセレクトは慎重に行いましょう!」

―オフの日の息抜き方法は?

「社内の友人たちと、ホームパーティーをしたり、ちょっと遠くまでドライブしたり。」

―もし1ヶ月間ぽっかり時間ができたら、何をしますか?

「旅行します。とくに一人旅が好きです。あと、歴史が好きなので、京都に行って歴史巡りをしたりも。」

―歴史ですか!何時代が好きなのですか?

「幕末です!大河ドラマの『新撰組!』を見てからハマってしまって…。特に好きなのは、土方歳三。自分が鬼となって一番手を立てる、侍魂がとにかくかっこいいんです!」

―意外な一面が見えたところですが、最後に、今後の目標について教えてください。

「いまの仕事を活かして、できる業務の幅をさらに広げたい。グラフィックやデザインにも興味があります!」

「マイペースに、自分らしく表現する。」