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  3. 【CREW'S VOICE vol.13】BAYCREW'S プロパティマネジメント / 長沼 良典
CREW'S VOICE

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka

「常に上を目指したい」。
30代にさしかかる人生の節目の、素直な気持ちだった。
独立も頭をよぎったが、やる気があるなら応援してくれる会社だ。
なりたい姿を、ここで叶えることにした。
そうしていま、けっしてアパレル業界の花形ではないが、
ベイクルーズの中核を、縁の下から支えている。

―「プロパティマネジメント」というと、アパレル業界のなかではちょっと聞き慣れない部署です。具体的には何をする部署で、長沼さんはそのなかでどんな業務を担当しているのでしょうか?

「主に店舗開発と、保有物件の管理を行う部署です。不動産のような仕事をイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。なかでも、ぼくは路面店を担当しています。新規で出店できそうな物件をブランドの事業部に提案したり、すでに出店している店舗の現況調査をしたり、そういったことを日々おこなっています。」

―なるほど。では、1日のスケジュールでいうと、基本的には会社の外で動いていることが多いのでしょうか?

「そうですね。デスクワークは少なくて、街に出ている時間がほとんどです。新しい店ができれば見に行ってみたり、空き物件を見つけてはその近辺をリサーチしてみたり。だいたい夕方6時くらいに本社に戻ってきて、それからデスクワークをするというのが普段の流れです。」

―その辺は、ファッションデザイナーが街に出て市場調査をするのと同じような感覚なのでしょうか。どんな瞬間に、楽しさややりがいを感じますか?

「ぼくは、根っからのミーハー気質なんです(笑)。なので、新しいショップを視察したり知らない街に行ったり、そういったことに時間を割くこと自体がすごく楽しい。やりがいを感じるのは、やはり物件の契約に漕ぎ着けた瞬間ですね。ベイクルーズが出店する場所って、基本家賃が高いエリアであるうえ、競合他社も手をあげてくる。そんななか、できるだけ賃料を抑えつつ契約に結び付けられた店舗は、特別思い入れ深いですね。気になって、休みの日に見に行ったりしてしまいます。」

―では、これまで長沼さんが携わった店舗で、とくに印象に残っている場所はありますか?

「ひとつは、赤羽近くにあるフレーバーワークスのパン工場。うちの取締役と一緒に何度も足を運んで、やっとのことで契約した物件です。フレーバーワークスの基盤と言える場所に自分が携われたというのも大きかった。あとは最近で言うと、6月に大阪の堀江にオープンするNY発のストリートブランドの国内2店舗目。特殊なライセンスブランドということもあって、ここも印象に残っています。」

古着屋で気になったものを集め続け、いまは7、80枚くらい持っているというバンダナ。いわゆるな柄より、見慣れないデザインのものが多い。「高校生のときに観たドラマの主人公が、左のバックポケットに入れていたのに影響されて。だから、パンツ選びの基準はバンダナ。バックポケットのあるパンツしか買いません(笑)。」

―お客さんやスタッフが集う場所を創出する重要な仕事である一方、誤解を恐れずに言うと、やはりアパレル業界のなかでは一見マイナーな部署だと思います。地元大阪とその後東京で店舗勤務もしていたと聞きましたが、どうしてプロパティマネジメントの部署に異動しようと思ったのですか?

「その頃はちょうど30歳前後で、「とにかく出世したい」という思いがあって、上司にもそのことを伝え続けていました。まわりの同年代の友達も続々と独立していた時期で、焦りもあった。ただ、ぼくは自由度高くいろんなことにチャレンジさせてくれるベイクルーズが好きだったので、会社のなかで新しいことにチャレンジしたかった。それで、スタートアップキャンプという社内起業制度に、積極的に企画を応募したりしていた。企画はなかなか通りませんでしたが、タイミングよく、大阪の頃からお世話になっていた先輩に声をかけてもらえて、この部署に来ることになったんです。」

―タイミング的な部分もあるかもしれませんが、自分の意志をしっかりと言葉にして、行動し続けて実った結果ですね。

「ゼロから新しいものを作るということに、とにかく憧れていたんです。あとは、「ちやほやされたい」とか「モテたい」っていうのが自分の基盤としてある(笑)。それがプラスに働いたのかもしれません。挑戦したい気持ちがあれば機会をくれる、この会社の体質のおかげでもあります。」

―これからの野望はありますか?

「夜遊びの文化をつくりたいとは、以前から考えています。「夜のお店ならハマるのに……」という物件がたまに見つかるのですが、現状は当てはまる業態がない。なので、将来的にはバーやクラブといった音楽とお酒を楽しめるようなコミュニケーション空間をつくってみたいですね。」

「現場を見に行く。どれだけ事務作業が押しても、そのための時間は確保します。」