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  3. 【CREW'S VOICE vol.49】EDIFICE eコマース / 寺田 薫
CREW'S VOICE

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka(CORNELL)

いまや、EDIFICEのビジュアルイメージに欠かせない存在の彼。
当の本人は、けっして現状に満足していない。
職域を広げて、手に職をつけたい。きっぱりと、そう言いはなつ。
「人生100年時代ともいいますし」。
人生に節目があるならば、とりわけ意識せざるを得ない“30歳”。
彼はそれを眼前に、いま、新しいスタート地点に立っている。

洋服の知識が本当に薄かったので、
必死にしがみついてきました。

―まずは、入社してからの経歴について教えてください。

新卒入社して、今年で7年目です。当初からEDIFICEに配属されて、東京店で4年間、新宿店と丸の内店でそれぞれ2年間働きました。2020年9月に本社に異動。いまは、EC担当をしています。

―今年は30歳になる年だと聞きました。節目を前にして、仕事環境に変化があったということですね。ECへの配属は、かねてから希望していたのですか?

店舗にいた頃も、モデルとして毎週本社での撮影に呼んでもらっていました。そうしてEC業務の一部に携わるなかで、次第に興味を持つようになった。また、30歳になる前に職域を広げたい気持ちもありました。様々なひとにEDIFICEの商品を届ける手段として、自分にはECが合っていそうだなとは、かねてから考えていて。それから3、4回希望を出して、2年ほどかけてようやく異動することができました。

―ECに配属されるまでのその2年のあいだに、具体的に取り組んだことはありますか?

店舗スタッフとしてできることとしては、ベイクルーズ ストア内のスナップに力を入れてきました。

―更新頻度はもとより、見せ方などを工夫したということでしょうか?

特に意識したのは、自分のエゴを出さないこと。常に、お客さまをイメージしたり、商品に合った見せ方を考えたり。店舗とECでは、利用されるお客さまの層も若干違いがあるので、そのあたりの情報を当時のEC担当から聞くようにしたりも。

―そうした努力が実って、晴れて希望していた職種に就いたというわけけですね。まだ着任して半年ほどですが、現在はどのようなことを日々行なっていますか?

基本的には、これまで通りモデルとして撮影に参加するのがメインの仕事です。そこに、ブログ作成や動画撮影、お客さまからの問い合わせ対応などが加わります。また、撮影商材を集めるために都内のお店を回るという、スタイリストみたいな仕事もあるんです。ECの担当とはいえ、意外と、座っている時間より動き回っている時間のほうが長いかもしれません。

―EDIFICEというと、ドレスやドレカジを扱うブランドですよね。メンズウェアの細かいルールや、フィッティングにはとりわけこだわりのあるブランドだと思います。それだけに、ECを介して商品を訴求することは簡単ではなさそうですね。

その通りで、正直、難しいことも多いです。でも、そのあたりを改善していくために、細かなサイジングを動画配信でわかりやすく紹介したり、モデルの選定にこだわったりと、工夫しています。ただ、スーツをお求めのお客さまはやはり店舗に来てくださることがほとんどなので、棲みわけはできているようにも思います。

―店舗とEC、それぞれの特性に沿って買い物の方法を選べるのは、お客さんにとってはメリットかもしれませんね。そもそもの話ですが、寺田さんはどうしてEDIFICEを志望したのですか?

じつは、入社前はJOURNAL STANDARDを志望していたんです。というのも、当時は古着が大好きで、「アメカジといえばJOURNAL STANDARD」というイメージを持っていた。でも、入社前の内定者バイトのときにEDIFICEに配属されることに。希望とは違いましたが、ブランドの世界観も当時のスタッフもめちゃくちゃかっこよくて、衝撃を受けました。そうして、内定者アルバイト後の最終の配属希望提出のときには、第一希望をJOURNAL STANDARDからEDIFICEに切り替えたんです。

―そうだったんですね。古着好きから、ドレスへ。対局に位置するようなスタイルだけに、入社してから苦労したことも多そうです。

ファッションの基本みたいなものは、すべてEDIFICEで教えてもらいましたね。お店や本社のスタッフも、みんなクセのかたまりなのですが、ファッションの背景を理解して、「なぜこのブランドを選び、このスタイリングをするのか」をはっきりと説明できる方ばかり。昔ながらの服屋といった感じがして、単純に憧れました。それに、古着は洋服の原点でもあるので、歴史や背景にまでこだわるEDIFICEは、むしろ古着好きのぼくには刺激的でした。

フランスのジュエリーブランドdinh vanのブレスレットは、入社してすぐに東京店で買ったもので、かれこれ7年間ほとんど毎日身につけているとか。アイウェアは10 eyevanのもの。「白蝶貝が使われていたりと、ディテールワークが抜群なんです!」。

―では、洋服の歴史や背景は、同僚から教わることが多かったと。

とはいえ、結局は自分で調べることがほとんどです。「そんなことも知らないのか」と思われないよう、スタッフ同士やスタッフとお客さまとの会話から、気になることを見つけてはすぐに調べて、の繰り返し。また、『ザ・ストリートスタイル』や『チープ・シック』といった、洋服好きが読んでおくべき本を読んでみたり。本当に知識が薄かったので、必死にしがみつきました。

休日は、ランニングやバスケなど、スポーツでリフレッシュすることが多い。高校時代の同級生とは、最近もバスケをしに定期的に集まっているとか。「履いているバッシュは、NBA選手のカイリー・アーヴィングのシグネチャーモデル。ファッション目線で云うとジョーダンが鉄板ですが、バスケでリアルに履くなら断然こっちです」。

―ドレスやドレカジの基本を学び身につけてきたいま、寺田さん自身は、どのようなスタイルを個性としていますか?

小中高大とずっとバスケをしてきたスポーツ好きなので、やはりアイビースタイルですね。自分なりにフレンチ風に解釈して、EDIFICEらしくスタイリングすることが多いです。

―古着好きから、ルール第一義の世界へ。振り幅は大きいものの、早い段階から腑に落ちて、働きながらぐんぐんと知識を吸収してきたということですね。

難しそうに見える世界ではありますが、ファッションの楽しさはそういうところにあるのかな、とも思っています。とはいえ、ぼくが学んできたルールが、いま必ずしも正しいとは言えない。とらわれすぎもよくないし、時代に応じて、つねに変化していくことも必要です。

―移り変わる時代性も、また楽しむべき背景のひとつですもんね。最後に、今後の目標について聞かせてください。

“人生100年時代”とも言いますし、ひとつの仕事だけで人生を終えるのは難しいと思っています。個人的には、手に職をつけたい。そのために、いまはEC業務を通してデジタルのノウハウをしっかり学びたいと思っています。モデルとしてカメラの前に立つだけではなく、職域を広げていろんなことに挑戦していきたい。幸いベイクルーズは、手を挙げたひとにチャンスを与えてくれる会社でもありますし。

「どんな仕事においても、
そのさきに“人”があることを意識する。」