
Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
―
2019年に新卒で入社。わずか1年で副店長に任命された彼女。
そのフレッシュながら堂々たる立ち振る舞いには、
幼い頃からの夢や挫折、たゆまぬ努力が詰まっている。
そんな彼女の、ワークとライフについて。
―まずはファッションを好きになったきっかけについて教えてください。
「そもそもに、育った環境の影響があるかもしれません。両親がアパレルの会社に勤めており、おじいちゃんも生地屋さんをやっていた。おじいちゃんの家に行くといつも生地サンプルが並んでいて、幼いながらに、それを見ながら服をつくる妄想をしていました。」
―サラブレッドということですね(笑) では、すでに幼少の頃からアパレル業界で働くのを夢みていたんですか?
「幼少の頃からミーハー気質で、当時人気だった浜崎あゆみさんの真似をして迷彩のバンダナをつけて登園していました(笑)。小学生の頃の夢は、カリスマショップ店員。中学の頃は「おしゃP」ブームが全盛で、「東京カワイイ★TV」を毎週楽しみにしていた。ずっと、ファッションは身近な楽しみでした。」

―カリスマショップ店員、まさにいまその頃の夢が叶っているということですね。でも、もちろん夢をみているだけで、いまがあるわけではないと思います。ベイクルーズに新卒で入社するに至った経緯を教えてください。
「大学に行くつもりもなかったのですが、両親との約束で、大学までは出ることにしたんです。でもいち早くファッションの道には進みたかったので、大学に入ってすぐにショップスタッフのアルバイトをはじめました。わりと小規模のブランドで、当時バイトはわたしだけ。一生懸命やっているつもりでも至らないことも多くて、いつも先輩たちからは厳しく指導していただいていました。社会人として同等に扱ってもらえたということなのですが、ただただ、がむしゃらでした。」

―アパレル業界を目指す者の常というか、外から見ると華やかそうで、じつは過酷な仕事というのはよく言われることですよね。そのような厳しい現場を目の当たりにして、それでも大学を卒業してベイクルーズに入ることにしたと。
「正直、卒業後もそのままバイト先のブランドで働くつもりではいました。でも、周りの友達が本格的に就活をはじめる時期になって、せっかくだからインターンだけは行ってみようと思ったんです。それでベイクルーズの1日インターンに参加。そこで、それまでわたしが見ていた世界は狭かったなと痛感しました。おしゃれで素敵なひと、仕事に対して情熱的なひとが、たくさんいた。それで、新しい環境でチャレンジしてみようと飛び込んだんです。」
―2019年に新卒で入社後、Spick & Spanに配属。2020年3月には姉妹ブランドであるU by SPICK&SPANのサブマネージャーに抜擢されましたね。しかも、並行してプレス業にも携わっているところとか。異例のスピードですが、どのように感じていますか?
「驚くばかりです。グッと重くなった責任感も感じています。少し話は変わりますが、じつは、読モブーム全盛だった高校生の頃、関東の高校生版おしゃPコンテストみたいな企画に参加したんです。上位まで進んだのですが、学校にバレてしまって……。厳しい学校だったので、コンテストを続けるか退学するかの選択を迫られ、そのときは学校に残ることにした。周囲の友達からの、「いつか花になるときがくるよ」って言葉をいまでも覚えています。いま、身にあまるポジションを与えてもらえて驚いていますが、そうした辛かった経験が、ようやく芽になってきたのかな、とも感じています。」


―紆余曲折のこれまでの経験をひっくるめての小林さんの姿を、いま周りのひとが見てくれているのかもしれませんね。まだ1年間ではありますが、お店で大切にしていることや、意識的に取り組んできたことはありますか?
「お客さまに手書きのDMを送ることです。古典的ですが、これは顧客性の高かったバイト先のブランドで常に続けてきたこと。ベイクルーズは大きな会社だからすでにたくさんのファンがいますが、一方で業務も多くておろそかになりがちな部分もある。だれもやっていなくても、そうしたことはこれからも大切に続けていきたいと思っています。」

「相手の思いの先を読む。
自分がされて嬉しかったことは、ひとにも必ずします。」
小林 萌絵
U by SPICK&SPAN ファッションアドバイザー
---
