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  3. 【CREW'S VOICE vol.42】オンライン ファッションアドバイザー / 田中 恵理
CREW'S VOICE

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka

オンラインショッピングが、益々一般化していくこの頃。
たしかに便利。だけど、どこか味気なさを感じることも。
ならばと、一石を投じるサービスをスタートした。
顔を合わせない新しいスタイルの“接客”は、
むしろ、生活に密着していて、温かさに満ちてさえいる。
ニュースタンダードになっていく可能性を日々、彼女も感じている。

“普通の感覚”を大事にしたい。

―「オンライン ファッションアドバイザー」というと聞きなれない肩書きですが、まずは、現在の仕事内容について教えてもらえますか?

最近新しくできたポジションなんです。簡単に言うと、オンラインチャットを通じて接客をする仕事。行っているのは、全ブランドの商品からスタイリングの提案まで。感覚としては、店舗での接客とさほどかわらない気がしています。

―全ブランドの商品とスタイリング…。極端な話、全ブランドの世界観や商品を、すべて把握していないといけないということですよね。一体、どうやっているんですか?

あらゆる要望に応えられるよう、チャットに入っていない時間に商品ページを見たり、実際に店舗に行って、スタッフと情報共有したり。また、様々なブランドの担当者と普段デスクを並べているので、困った時はすぐに相談して、なるべくクイックに対応できるようにしています。

―具体的に、利用者からはどういったニーズがあるのですか?「オンラインで買い物をするときに、サイズがわからない」、といったようなこととか?

具体的に気になるアイテムがある場合もあれば、もっとざっくりとした質問を受けることも。「このアイテムに合わせる服を探しているんですが…。」とか、「最近買い物をしていないから、何を買っていいかわからないんです。」とか。

―そう聞くと、たしかに店舗での接客内容とほとんど変わらないですね。

お客さまによっては、対面で接客を受けるのが苦手な方もいらっしゃいます。顔が見えないからこそ、相談できることもあるのかなと。また、忙しくてなかなか店舗に足を運ぶ時間がない方でも、自分のタイミングで気軽に買い物ができるのもメリットですね。

―オンラインでササっと買い物したいけど、プラスαが欲しいひとも多そうですよね。でも、オンラインチャットを介しての接客には、ならではの難しさもありそうです。

お客さまのリアクションを直接見られない分、「これで合っているのかな?」と、たまに不安になることもあります。

iPadを買ったことをきっかけに、デッサンや水彩画を描くのが趣味に。時間ができたときには、何時間も没頭してしまうとか。「友達の誕生日に、メッセージを添えて絵を贈ったりしています」。
「これまであまり誰かにハマるなんてことはなかったのですが、欅坂46にはデビュー当時からどハマりしてしまって。特にセンターを務めていた平手友梨奈さん。苦悩しながらも、全身全霊で表現に向き合って、成長していく。わたしもダンス経験があるので、彼女の姿勢に共感しています」。

―反対に、オンラインチャットならではのメリットや可能性も感じていますか?

「テキストでの接客は、固くなってしまいそうだな」と、最初の頃は想像していました。でも、いざやってみるとそんなことはなくて。「じつは家事の途中でチャットをしていて」というお話から新たな提案につながったり、チャット終了のときに「こんなに遅くまでありがとうございました」と温かい言葉をかけてくださる方がいたり。普段の生活のなかでの買い物だからこその親密さを感じられることが、意外と多いんですよ。

―プライベートと密接な分、お客さまとの距離は、ある意味では近いのかもしれませんね。アパレル業界には店舗の販売から入ったと聞きましたが、このポジションができるまでは、何か目指していたことがあったのでしょうか?

特別ありませんでした。働く上では、あまりゴールをつくりたくないと思っています。どんな仕事でも、そこに身を置いてみることで分かることがある。実際、以前別の会社で販売をしていた頃、群馬と静岡に転勤したことがあって、その経験があるからこそ、地方に住む方がチャット接客に求めることがわかったりする。どんな経験も、繋がっていくものだと思います。

―オンラインチャットの仕事のなかで、ベイクルーズのあらゆるブランドに触れる機会がある分、やはり自然とアイテムや着こなしの好みも変わってきますか?

前の会社の頃から、ブランド担当が変わるたびに好みもちょっとずつ変わってきました。ベイクルーズに入りたての頃も、自分にはIENAのようなきれいめなブランドが似合うと思っていましたが、最近はPlageやFRAMeWORKといったカジュアルなブランドに興味が出てきたところです。

―仕事に明確なゴールを決めないのと同じように、ファッションにおいても、強いこだわりがなかったからこそ、柔軟に多様なブランドの世界観を吸収できるのかもしれませんね。

そうかもしれません。つねに、“普通の感覚”を大事にしたい。できるだけ、お客さまの感覚からズレないように。どのブランドにも、あまり寄りすぎないようにしています。

「通勤経路を、日によって変える。
ルーティン化しないことで、常に新鮮な気持ちに。」