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  3. 【CREW'S VOICE vol.01 】 Plage 企画・デザイナー / 眞壁 ヌールエ 幸波
CREW'S VOICE

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka

「ヌールエ サハ」という名前の由来は、パキスタンの言葉で“素敵な朝”のこと。
眩い朝日のような彼女の笑顔は、控えめなのに、どこか凛として品がある。
Vent et Plageの企画・デザイナーとして華々しく羽ばたく彼女の
ワークとライフについて、ざっくばらんに聞いてみた。

小さな頃から、面白いオトナたちに囲まれて育った。

―職業柄、日々さまざまなモノやコトにアンテナを張っていることと思います。今日紹介してくれる私物も、香水やアクセサリー、本などバリエーション豊かですね。昔から、洋服以外への興味の幅も広かったのでしょうか?

「母の影響が大きいですね。母は、本当に多趣味で。母のまわりには面白いことをしているオトナたちがいつも集まっていました。私もそうしたひとたちに囲まれて育ってきたので、自然と興味の幅が広がったんだと思います」

とくに容器に惹かれるという香水や、初期の『VOGUE』でも活躍したアメリカの写真家エドワード・スタイケンの作品集、小学生の頃入り浸っていた雑貨屋の常連にもらったというターコイズのシルバーネックレスなど、小中の頃に好きだったものをベースに、いまでも好きなものはそれほど変わらないのだという。

―その頃に見たものや触れたものが、しかるべくして、いまの眞壁さんを形成しているということでしょうか。業界問わずさまざまな仲間に囲まれているというのも、母親のひととなりをしかと受け継いでいるようですね。仲間とはどんな風に過ごしていますか?

「『銭湯会』っていうグループがあって、休みの日には銭湯を起点に付近の街をブラブラしたり、昼間から飲んだり食べたりします。大きなお風呂の、非日常感がいいんですよね。体をさらけ出しているだけに、どんな話もあけすけに話せたりする。職種や業種問わず、それぞれ自分の考えを持っている子たちばかりなので、刺激も受けます。とはいえ、固いハナシばかりしてるわけじゃないですよ!ゆる〜くお湯に浸かって、みんなずっと笑ってる感じです」

−仕事面においては、弱冠26歳にしてPlageの新ラインVent et Plageの企画・デザイナーに任命され、まさに順風満帆。ファーストシーズンは、リゾートワンピースをメインに、いわゆる女性らしさが際立つアイテムを打ちだしているようですね。

「ワンピースのようなアイテムは、私の得意とする洋服でもあります。洋服をデザインするときは、背中や鎖骨、胸などがいかに綺麗に見えるかを常に意識している。ちょっとしたカッティングの違いで、本当に大きく見え方が変わるんですよ。これは最近気が付いたことなのですが、そうしたアイテムが得意な理由は、もともと下着というものが好きだからなのかもしれません。下着特有の制約や工学的アプローチについて詳しく知っているわけではありませんが、自然と、下着がデザインのインスピレーションになっていることはたしかです」

−肌の見え方を意識した服作りというのは、女性ならではの視点であり、下着好きが高じてたどり着いた眞壁さんの個性でもありますね。最後に、5年後の目標を教えてください。

「いまはまだ、ひとから与えられるもののほうが圧倒的に多い。でも、いずれは私からひとに何かを与えられるようになりたいと思っています。すぐには難しくても、せめてギブアンドテイクな関係でいられたらいいですね」

「ひとに提案するモノは、大前提として、自分に響いたもの。そうでなければ、ものが宙に浮いてしまうし、自分のなかからも何も出てきません。」