
Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
―
オンラインのみで展開するブランド、EDIT.FOR LULU。
4人の精鋭たちが、何から何まで自分たちで行う。
ブランドのいちファンだった彼女も、いまではその一員。
実直なまでに世界観に向き合い、ぜんぶを自分ごとに。
ブランドの底力は、人数や認知度では決まらない。
小規模ブランドゆえに、服づくりは濃密そのもの。
―EDIT.FOR LULUについて、まずは教えてください。どういったブランドなのでしょうか?
「それが、ひと言で表すのが難しいんですよね。フェミニンでもあるし、ハンサムでもある、かつユーモアもあって……、と本当にいろんな要素がミックスされています。それだけに、どこにもハマらない魅力みたいなものがあるかもしれません(笑)。」

―最近リブランディングしたと聞きました。それまでとは違い、いまはオンラインのみで商品を展開していることもブランドの特徴と言えそうですね。
「リブランディングしたことで最近知ったという方も多いと思いますが、実はブランド全体の歴史はけっこう長いんです。とくにリブランディング前から好きでいてくれる根強い顧客さまには、スタイリスト、ヘアメイク、モデルといった業界の方が多い印象。ブランドとしても、いいものを身に付けたいという気持ちを持つひとや、ファッション感度が高いひとに向けて打ち出しを行っています。」

―なるほど、そのあたりがほかのブランドとの差別化に繋がっていそうですね。ベースとして提案しているのは、どういったアイテムですか?


―いまブランドに所属しているメンバーは、どういった構成なのですか?
「デザイナーがふたり、そのうちひとりはバイヤーも兼任していて、そこにMDがひとり、PR&WEB ビジュアルコーディネーターのわたし、という4人でやっています。」
―たったの4人!オンラインだけで展開するブランドとはいえ、その人数で回すのはかなり大変なのでは?
「たしかに、ひとりの業務範囲は広くて、わたしたちだけではできないことだってある。それだけに、いろんな周りのひとを巻き込んで仕事をしています。反面いい部分もあって、小規模なぶん、服ひとつを作るにあたってもかなり密に話し合うことができる。4人ともこだわりが強いので、いつも妥協なくストイックにものづくりに向き合っています。その濃密さは、ほかのブランドに引けを取らない自負もある。実際、突き詰めたからこそ、毎シーズン1300枚は売れるようなヒット商品も持っています。」

―EC VCやPRの仕事においても、少数のチームであることのメリットを感じていますか?
「さきほど言ったように、みんなで世界観を作っている感覚があるので、その愛着はPRにもプラスに働いているように感じています。またEC VCとしては、自分たちで撮影を組んでスタイリングを考え、撮り方も試行錯誤します。自分がモデルになったり、進行管理をおこなったりもする。そのようにブランドの世界観を自分たち主導でつくることには、かなりやりがいを感じています。」

―世界観を表現するために、具体的に意識していることはありますか?
「たとえばビジュアルの撮影のために、ホテルに宿泊することがあります。というのも、ホテルの客室のプライベート感が、ブランドの世界観にマッチするんです。洋風の絨毯といったものを背景にするために、ヴィンテージマンションっぽいホテルを探したりすることもあります。以前もそのようにして、友達にモデルをお願いして「写ルンです」で撮影したことがあります。」




―少数チームだからこそのそうした手作り感も、しかるべくブランドの世界観を形づくっているというわけですね。ベイクルーズに入った経緯についても聞かせてください。
「以前はデニムメーカーで、PRとして4年間働いていました。でも、業務と対価のバランスが見合っていないと感じはじめて、いちどアパレルを離れてみることに。試しにIT企業に入ってみたのですが、人もやり方も、本当に合わなくて……。むしろ離れてみたことで、自分がしたいことは絶対アパレルだと再確認できた(笑)。そうして、「次に入るなら、自分が心から憧れるブランドに」と選んだのが、いまのブランドだったんです。」

―そもそもアパレルには、どういったきっかけで興味を持ちはじめたのですか?
「小さい頃から、よく母や父の服を借りて着ていました。ヴィンテージだったり、誰かが長く着てきたモノだったりを好きなのは、その頃の影響かも。中高の頃は、姉ふたりに大きく影響を受けました。洋服だけじゃなく、音楽や映画など、いまの自分の趣味は、どれも姉から教えてもらったものばかりです。」
―最後に、5年後の目標について聞かせてください。
「服って、着ないとわからないことも多いですよね。LULUのアイテムは、着たときのシルエットがとても綺麗なものが多いので、なおさら。だからこそ、いつかまた店舗やポップアップストアといった、お客さまに商品を直接手に取ってもらえる場をつくりたいと思っています。」

「等身大の自分で、謙虚かつ素直な気持ちでひとと接する。何をするにも、一番大事なのは人間関係だと思っています。」
大田 可那子
EDIT.FOR LULU プレス&WEB ビジュアルコディネーター
---
