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  3. 【CREW'S VOICE vol.36】SLOBE IENA バイヤー / 横井 つぐみ
CREW'S VOICE

Photo_Cosmo Yamaguchi
Text_Masahiro Kosaka

「おしゃれは足元から」とはよく言ったもので、
着こなしの細部にまで気を配れるひとは、
おしなべて、普段のライフスタイルにも。
靴業界を経てベイクルーズにやってきた彼女は、
とりわけ、その真意を実感するところ。
どんな仕事にもつつがなく打ち込み、自分らしく、結果を出す。
その秘訣は、“足元”にある。かもしれない。

周りを巻き込みながら企画を行った別注デニムが、
自信に繋がりました。

―今回はよろしくお願い致します。まずは、ベイクルーズに入社してからの経歴について教えてください。

2011年に中途入社してから、はじめはSPICK & SPANで販売をしていました。自分の年齢や好みが少しずつ変化するにつれ、別のブランドを経験してみたいと思うように。それで、いまの所属であるSLOBE IENAに異動しました。それから、販売スタッフ、副店長、店長、エリアマネージャー、と徐々にキャリアアップ。そして、現在はバイヤーになって3年目を迎えました。

―かねてから、バイヤーになることが目標だったのですか?

実は希望してバイヤー職に就いたわけではないんです。SLOBE IENAで働く中で役職が変わっていくたびに、「バイヤーにならないか」と声をかけていただいてはいたのですが、そのときの役職も十分にまっとうできてなかったので、その度にお断りしていて。ただ、エリアマネージャーになって一度関西エリアを担当した後のこと。ある程度経験も積ませていただきましたし、ファッションが好きなので、挑戦してみようとようやく思えたんです。

―そうだったのですね。でも、何度も声がかかったというのには、バイヤーとして周りから期待されていた何かがあったということでしょうね?

もともと古着が好きだったこともあって、そういう感覚をバイヤーとして活かしてほしいとは言われていました。ブランド的にはフェミニンとカジュアルの両面があるので、世界観に合わせてバランスよくバイイングすることを求められていたんだと思います。

―古着が好きになったきっかけは?特にどういったアイテムが好きで、どんな店を回ることが多いですか?

学生時代が裏原ブームのど真ん中で、よく友達と古着屋さんを回っていました。とくにユーロヴィンテージの軍モノは好き。ヴィンテージに限らず、メンズのレギュラー古着なんかもよく着ます。古着を買うなら高円寺。価格とクオリティのバランスが取れたお店が、かなり多いと思います!あとは、旅行にいったとき、その土地の古着屋さんは必ず回るようにしています。

「手元には、シルバーのアクセサリーをじゃらっとつけていることが多いです。インディアンジュエリーなど、無骨なものやインパクトのあるものがとくに好みです」。
古着屋で見つけるとついつい買ってしまうものが、ギズモのグッズや、メッセージドール。「ギズモは家に20体くらいあって。小さい頃にぬいぐるみをもらってから、大人になったいまでも好き。一番最近加わったのは、一番大きいギズモの80年代のぬいぐるみです」。

―ところで、ベイクルーズには中途入社したとのことですが、それまではどんな仕事をしていたのですか?

高校を卒業してからは、婦人靴のセレクトショップで販売をしていました。

―アパレル業界でのスタートは、靴だったのですね。靴というと、「おしゃれは足元から」なんて言葉もあるくらい、着こなしのなかでも核となるアイテムですよね。実際に靴の業界で働いてみて、横井さんもそれは実感するところですか?

そうですね。10代の後半から、その年齢にしてはいいモノにたくさん触れてきたので、いまでも、「足元だけは」といい靴を選ぶようにしています。チープとシックのバランスも大事。また、靴に限らず気に入った小物を身につけていると、心なしかテンションが上がったり、気分がよくなったりします。

―ちなみに、最初に買ったいい靴は?靴はぜんぶで何足くらい持っていますか?

最初に買ったのは、マルジェラのタビブーツ。靴はぜんぶで70足はあると思います。出張で海外に行くたびに、なんだかんだ靴を買っちゃうんですよね(笑)。

―SLOBE IENAでの仕事の話に戻りますが、バイヤーをしていて、やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

やはり海外出張に行けたり、好きなブランドの新作にいち早く袖を通せたりするのは、この仕事の醍醐味かもしれません。あとは、お客さまやお店のスタッフからの反響をもらったとき。店舗から離れてしまったぶん距離はありますが、1年前くらいからはじめた個人のSNSを介して、コミュニケーションをとることができています。

―これまでに印象に残っている仕事はありますか?

バイイングの仕事というより商品企画に近いですが、今季、Levi’s®︎と別注を組みました。Levi’s®︎はもともと大好きで、バイヤーになった当初から、別注を組みたいとアプローチしてきた。実現するまでに時間はかかってしまいましたが、何度も交渉した結果、ようやく20AWシーズンでお披露目できた。一色だけでもかなりのオーダー数でしたが、取締役から「もう一色やってみたら?」と背中を押されて、なんと6000枚つくることに(笑)。

―あとに引けない状況に(笑)。

結果的には、周りの仲間の助けを借りて、すべて売り切ることができそうです。ディレクター、プレス、ECチーム、お店のスタッフが、一緒に考えてくれたおかげ。また、スタイリストの百々千晴さんやモデルの竹下玲奈さんといった外部の方にもご協力いただきつつ、販促を打つことができた結果です。

―大きな成功体験につながったわけですね。

それまで経験したことのないオーダー数だったことももちろんですが、自分のやりたいことを実現できたことや、周りを巻き込んでひとつのことに打ち込めた経験が、大きな自信に繋がりました。

「ひととの関わりが多い仕事なので、常に思いやりをもって行動すること。」