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  3. 【CREW'S VOICE vol.31】JOINT WORKS コンセプター・バイヤー / 平石 健人
CREW'S VOICE

Photo_Nahoko Morimoto
Text_Masahiro Kosaka

自分が心底いいと思えるモノを、かならずしも提案できない。
そんな葛藤を、彼も以前まで抱えていた。
服屋である以前に、企業である。でも、だからこそ。
「評価されることや、実績の循環が、いまは心底楽しい」
よどみなく、きっぱりと言ってのける。
そんな彼の、ワークとライフについて。

かっこよくて、売れる。
そういうブランドにしていきたい。

―本日はよろしくお願いします。JOINT WORKSといえば、先日新宿に旗艦店を移転オープンしたばかりですね。どんなショップになっているのですか?

「おかげさまで、9月4日にオープンしました。そこはもともとJOURNAL STANDARDが入っていた場所なんですが、あえて居抜きっぽく、レンガや木材といったクラシカルなムードは、そのまま残して。それを、白を基調とした無機質でいまっぽく。LAのストリートにあるショップのようなイメージに仕上げました。」

―その場所で長い歴史を刻んだJOURNAL STANDARDの空気も継承しつつ、新しい空間に、ということですね。平石さん自身は、JOINT WORKSのリブランディングに際して関西から異動してきたと聞きました。もともと関西ではどんなことをしていたのですか?

「新卒入社でJOURNAL STANDARDに入り、関西の店舗でファッションアドバイザーとして働いていました。京都のお店で働いていたとき、現在の上司から声をかけていただいて、JOINT WORKSのコンセプターとして東京に来ることに。この9月からは、バイヤーも兼任しています。」

―上司の方から話を聞いて、率直にどう受け止めましたか?

「正直、京都店が好きだったので、めちゃくちゃ迷いましたね……。ぼくは年齢的にはお店で下から2番目でしたが、レイアウトを担当させてもらえるなど、みんなの強みを生かそうというムードがあって。」

―なにが決め手になって、異動を決めたんですか?

「やはり、みんながみんなできることじゃないので、一度は経験してみたいと、そう思って決断しました。」

―それからコンセプターとしてリブランディングに携わりながらの1年間、いかがでしたか?

「コンセプターといえど、オリジナル商品の企画、バイイング、店舗の内装やロゴデザイン、イベントの企画など、ありとあらゆることをやってきました。でも、思い通りにならないことが本当に多かった。モノも、売上も。」

―なるほど、9月から正式にバイヤーに任命されたというだけで、もう当初からバイイングには携わっていたのですね。特に印象に残っていることはありますか?

「1年経って、同じくコンセプターだった河合がいまはPR方面をメインに。ぼくはバイイングをメインに担当しています。印象に残っていることのひとつは、オリジナルで企画したカーディガンが当たったこと。昔から古着が好きで、その商品も、ぼくが持っていた古着をサンプルにして作ったものだったんです。ぼくがズバで良いと思ったものを提案し、結果が出たのは素直に嬉しかったですね。もうひとつは、同世代の子がやっているアカシアレコードとの別注やポップアップを打ったこと。新宿店のオープンの際にも別注を組んだのですが、同世代ということで、対等な関係でゼロからものづくりできたことが楽しかった。」

―反対に、難しかったことや悔しい思いをしたことは?

「自分が心底良いと思えるものを提案できないことには、最初は苦痛を感じていました。実は販売員時代にも、同じ悩みを抱えていた時期があります。でもそのときも、求めてくれるお客さまが喜んでくれて、それが売り上げという結果で表れることに喜びややり甲斐を感じるようになった。お客さまも嬉しい、ぼくも評価される、ひいては会社も成長する。その循環が楽しくなって、乗り越えることができた。JOINT WORKSに入ってからも、「誰かに評価されてナンボ」と痛感する場面は多かったですね。」

―それって、アパレル企業で働くひとにはつきものの悩みだと思います。平石さんにとっては、ひとからの評価や売り上げの実感が、ひとつ大きなきっかけになって腑に落ちたと。

「一番わかりやすい指標かなと。そこに悩んでる周りの若い子たちにも、「ここにいる間は数字がついてくるし、それを楽しいと思えればむしろ幅は広がる」というような話をするようにしています。そうやって経験や実績を積むことで、徐々に“平石っぽいな”と言われるモノの売り上げを増やして、お客さまにもスタッフにも喜んでもらいたい。ちゃんと、かっこよくて売れるブランドにしていきたいと考えています。」

―昔から古着が好きだった、とのことですが、そもそもファッションに目覚めたきっかけは?

「小学生のとき、好きな女の子にTシャツを褒められてから(笑)。田舎出身だったので、中学に入るとみんなジャージに某キャラクターが描かれたサンダルを履いていたんですが、「おれは絶対履かん!」とデニムを買って穿いていました。古着にハマったのは、そのあと、大学に入ってからのことですね。」

―古着については、どんなアイテムが好きなのですか?

「昔はゴリゴリのヴィンテージが好きで、いまでもデニムはいいものをたくさん持っています。最近は少し変わってきて、いわゆるグッドレギュラーみたいなものも好むように。映画や音楽も好きなので、Tシャツもけっこう集めちゃいますね。」

―ファッション以外の話だと、普段どんなことをして過ごしていますか?息抜きの方法は?

「野球観戦ですかね。もともと野球をやっていたこともあって、小学生の頃からずっと観てます。毎日録画しておいて、家に帰ってビールをちびちび飲みながら試合を観る。それが一番幸せな時間。関西出身ですが、熱狂的な巨人ファンです!」

―最後に、今後の目標について聞かせてください。

「結果を残すことで、自分の存在意義をつくっていきたい。また、相方の河合と一緒に、ブランドを盛り上げていきたい。PRとバイヤー、ふたりで一人前の感覚があります。男前でいまっぽい彼が、ぼくの仕入れたり作ったりした服を着る。それによって、JOINT WORKSがもっと有名になったらいいなと。」

「納得すること。自分も周りも納得しているモノを、提案したい。」