
Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
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東京に旅行にきたとき、L’Appartementに一目惚れした。
等身大のあこがれをきっかけに、いまではその一員。
アパレル未経験のまっさらな彼女だったから、
地が水を吸う如く、めきめきと力をつけてきた。
チームプレイを尊ぶ“スポ根”派という意外な一面も、
しかるべく、成長を後押ししたみたいだ。
バラバラな個性の仲間とだからこそ、掛け算になる。
―ベイクルーズに入ってから、現在までの経歴を教えてください。
「新卒で入社して、L’Appartementに配属されました。(移転前の)青山店で2年間働いてから、AP STUDIOのオープニングスタッフとして1年間勤務。そして3年前に、またL’Appartementに戻ってきました。直近の2年間は、東京店で副店長をしています。」

―ベイクルーズに入ろうと思ったきっかけについて教えてください。もともとアパレル志望だったのでしょうか?
「実は、大学は医科学系出身なんです。研究室で、細胞をいじったりしていました(笑)。ベイクルーズを志望したきっかけは、そのままL’Appartementを志望したきっかけでもあって。というのも、地元の関西から友達と一緒に東京に遊びにきたときのこと。ショップ巡りをしていてたまたま見つけたのが、移転前の青山店だったんです。ぎゅっとコンパクトな店内に、ヴィンテージの什器が置かれていたり、クロゼットみたいに雑多に洋服が詰め込まれていたりする様子に、衝撃を受けて、「ここで働きたい!」と直感しました。そして、「ぜったいL’Appartementに入れる!」と謎の自信で就活に臨みました(笑)。」



―それまで学んできたこととはまるで異なる分野に進むことには、不安や葛藤はありませんでしたか?
「大学時代にコーヒーチェーンでアルバイトをしていて、その経験から、接客の楽しさにも惹かれていました。研究って、ひとりで向き合うことが基本で、個人的にはあまり好きじゃなかったんです。それよりも、ひとと接する仕事がしたいと思った。」
―そうして、憧れていたブランドに晴れて配属されたわけですね!
「アパレルは初めてで不安もありましたが、何の先入観もなく真っ白な状態で入ってくることができたのは、むしろよかったと思っています。それだけに、いまでも毎日刺激的です!」

―一緒に働く仲間には、もちろんアパレル歴の長いスタッフもいると思います。経験の差を埋めるために、意識的に行ってきたことはありますか?
「とにかくたくさん服を着ました。学生時代は自分の着たい服やトレンドのものをなんとなく選んで着ていましたが、店頭でいざ着てみると、意外と似合わなかったりして…。おまけに周りのひとはすごくおしゃれに見えて、「自分だけイケてない…」みたいな。それを克服するまでには結構時間がかかりましたね。とくに丈やデコルテの空き具合といった微妙なディテールの違いで差が出るトップスは、自分に合う形を探すのに苦労しました。」
―接客をしていて、やり甲斐を感じる瞬間は?
「最後にお客さまをお見送りした際に、笑顔で振り返ってくださったとき。本当に満足していただけことが実感できる瞬間です。」

―いまは店頭に立つファッションアドバイザーであり、同時に副店長でもある黒坂さんですが、業務への意識はどのように変わりましたか?
「プレイヤーのときは、自分ができていれば評価されました。でも、いまは店舗全体の成長が自分の成長につながる。最初はそれがうまくつかめなくて、自分ひとりで抱え込んでしまったりも。ただ、もともとチームでなにかをするのは得意な方なので、だんだんと腑に落ちてきています。」

―チームプレイが得意、というと?
「部活でバレーボールの副キャプテンをやった経験や、学生時代のアルバイトの経験が生きているように思います。バイト先はドライブスルー型の繁忙店だったのですが、店舗のみんなで息を合わせて客数をこなすときの連体感が、とにかく好きでした。あと、少年漫画好きというのも影響している気がします。友情とか情熱とか、昔から好きなんです(笑)」

―少年漫画!意外な趣味ですね。今日も『キングダム』を持ってきてくれましたね。どんなところが好きなんですか?
「根性の塊ですよね。男同士の友情だったり、スポ根だったりがたまりません! 自分のモチベーションが下がったときに読むと、ギアが入る。お気に入りのコスメを使ったりコーヒーを飲んだりするのとはまた違った、自己メンテナンスのひとつかもしれません。」
―なるほど。ずばり、チームプレイの良さとは?
「自分ひとりではできないことができること。店舗運営もそうですが、掛け算式に、なにか大きな目標に向かっていける。いまの東京店のスタッフも個性の塊だらけなんです。でも、みんながお互いを尊重しあっているので、個性がバラバラでもチームワークはすごいですよ!」

―副店長として、またプレイヤーとして店舗に貢献することに意義を持つ黒坂さんですが、たとえば今後店舗を離れてやりたいことなどはありますか?5年後の目標について聞かせてください。
「EC業務をやりたいとは考えています。お店に来てくださるお客さまもたくさんいらっしゃいますが、店舗数が少ないだけに、ウェブで商品を買いたいという声も聞こえてくる。そんなお客さまに、もっと広く商品を提案できたらいいなと考えています。」

「ひとに感謝する。ひとりではできないことも多いし、自分も完璧ではないので、それを忘れないように。」
黒坂 佳織
L'Appartement ファッションアドバイザー
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