
Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
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若者たちが未来に希望を持ちづらい、このご時世。
でも、「こんなときだからこそ、フェアな関係でありたい」
採用チームのひとりである彼女のその言葉が、光を差し込んでくれる。
「ベイクルーズの価値や感覚に共感する仲間が、もっと必要」とも言う。
彼女が見据えているのは他でもない、未来。
オフライン・オンライン関係なく、
“オン ベイクルーズ”でいきたい。
―コロナウイルスの影響で、いま社会や生活の在り方が急速に変わりつつありますね。とりわけ新卒採用には、時期的にもどんぴしゃで、大きく影響を受けたことと思います。そうした状況のなかで、ベイクルーズ ではどんな取り組みをおこなってきましたか?
「誤解を恐れずに言うと、わたしたちがやりたかったことが、たまたまこの時勢にフィットしました。というのも、ちょうど、採用面接ツールをオンラインに移行している期間だったんです。なので、コロナ禍に背中を押される形で、一気に決断できました。結果、役員面接以外はすべてオンラインでおこなったんです。わたしたちとしては方向性を変える必要もなく、また採用枠もほとんど絞ることなく採用活動をおこなうことができました。」

―まさに、“災い転じて福となす”ですね。タイミング的にちょうどよかったとはいえ、厳しい状況をプラスに転じるポジティブさは、さすがベイクルーズ ならではですね。
「学生たちは、ものすごく不安だと思うんです。オンラインの浸透が遅いアパレル業界だけに、なかには採用がストップしてしまう企業もある。だからこそわたしたちは、なるべく情報を開示して、決断をしていくことにした。対面ではなく、オンライン面接をおこなうことを早期に決めることをはじめ、就活相談窓口の開設など。たとえうちだけにメリットがあることじゃなくても、なるべく学生たちに情報を渡したかった。」


―同時期には、仕事でも学校の授業でも、リモートが一気に浸透しました。とはいえ、こと採用活動においては「会わないとわからない」といった面も大きいような気がします。画面越しからは得られない情報があるのではないですか?
「それが、意外と悪くないんですよ。画面越しでも、意外とわかる。おそらく、これまでグループで面接していたところを、一対一でみっちり時間が取れるようになったのもひとつ。それに、個性もしっかり見えるんです。「この子、スマホを手で持ってるな」とか「部屋の背景を気にして整理したんだな」とか。価値観や感覚のすり合わせも、視覚情報から十分できるなと。むしろ、ツールややり方が広がって、オフラインでできなかったことができている実感すらあります。とはいえ、このところ採用チームで話しているのは、「オフライン・オンラインどっちであっても、“オン ベイクルーズ”でいきたいよね」ってこと。」

―このCREW’S VOICEの企画のなかでも、「他の企業と比べて、親身になって選考を進めてもらえた」とはスタッフのみなさん口を揃えて言うところです。そうした姿勢は意識しているのでしょうか?
「特にいまのチームになってからは、本音でぶつかることを大事にしています。そうすると、自然と親身になっていくのかも。また、こちらも本気で選びにいくし、学生たちも、「選ばれる側」じゃなくて「選ぶ立場」として臨むべきだと思っています。だから、面接官としてマウントを取るんじゃなく、フェアな人間同士という関係で、なるべくリアルな気持ちを聞くようにしている。ついアイスブレークに時間を使いすぎちゃうこともあるくらいです(笑)。」
―そんな和田さん自身は、どうしてアパレル業界に入ったのですか?
「人事として、価値観がどうとか言っていますが、わたし自身のきっかけは大したことなくて…(笑)。ファッションをやろうと決めたのは、高校の頃。いろんなことに悩みがちな時期でしたが、自分が好きなものを着ているときだけは、周りがなんと言おうと自信が持てたり、1日楽しかったりするんですよね。それに単純に感動したんです。高校を出てから、服飾の学校に入ってパターンの勉強を。最終的には、ファッションの喜びを多くのひとに広めたくて、就職してファッションアドバイザーを目指すことにしたんです。」

―そうしてベイクルーズに入社したんですね。ファッションアドバイザーを目指していたということですが、じっさいにアパレル業界で働くなかで、夢や目標は変わりましたか?
「実は最初の頃は、バイヤーになりたかったんです。でも、わたしなんかのセンスじゃなれないって、しっかり納得して挫折しました(笑)。しばらくは目標を持てずに、目の前のことにとにかく必死で取り組んでいました。すると、それを見てくれていたひとがチャンスを広げてくれて、店長に。初めてひとを育成したりチームをつくったりする立場になり、そうしたことをもっと勉強したくなった。それで、人事に異動したんです。」
―オフの時間についても聞かせてください。休みの日は、どんな風に過ごしていますか?
「振り返ってみると、ほぼ何もしてない(笑)。強いて言うなら、家のことをまとめてしています。部屋が整理されているとか、ちゃんと美味しいご飯をみんなで食べるとか、そうした人間らしい生活をできていないとストレスになってしまうので。環境や気持ちが荒れていると、丁寧に仕事したり、じっくり向き合ったりできない気がします。」
―では、もし1ヶ月時間ができたらなにをしますか?
「海に行きたいです! 以前は、半年に一度かならず海のあるところに長期で旅行していました。とくに好きなのは石垣島。わたしは長野出身なので、東京のこのスピード感やひとの多さにどうしても慣れなくて。それに、人事の仕事をしていると、日頃からひとの人生に向き合うじゃないですか。すると、「じゃあ自分はどうなの?」、「わたしの大事なものって?」みたいな思考に。海を眺めながらなにもしない時間が、インプットとアウトプットを整理するにはちょうどいいんです。」

―はやく気兼ねなく旅行できる日常が戻ってきてほしいですね。最後に、これからの目標について聞かせてください。
「いまや、本当に必要とされないものはどんどん消えてしまう“意味”の世の中です。でも、価値あるものや共感されるものは、ちゃんとこれからも残っていくはず。だから、ベイクルーズの価値観やファッションの熱量に共感してくれる仲間を、もっともっと増やしていきたいと思っています。そのためにも、わたしが人事としてやりたいことのひとつである、“全員人事”を実現したい。つまり、本社だけでなく店舗にもリクルーターを設けたい。お店のスタッフが採用に関われば、もっと会社の魅力が伝わっていくし、ひとが育ついいサイクルになる。そう思っています。」

「チームのスタッフ、目の前の学生、家族、友人など、
周りにいる5、6人が幸せであること。
なにかに迷ったときは、それを判断基準にしています。」
和田 万里花
BAYCREW’S 人事
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