
Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
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プロのカメラマン?と思わず確認してしまった。
「好きが高じて」の範疇と括ってしまうには、あまりにも本格的。
しかも、撮影、編集、発信までをまるっと網羅するんだとか。
WEB ヴィジュアルコーディネーターの第一人者だというのだから、
なるほど、さもありなん。
そんな彼の、ワークとライフについて。
デジタルシフトのなかで、
どれだけ会社に影響を及ぼせるか。
―vol.6で登場した高橋さんと同じルドームに所属していて、同じWEB ビジュアルコーディネーター(以下:WEB VC)の肩書きを持つ宮本さんですが、業務の内容は異なるようですね。主にどんなことを担当していますか?
「大きく分けると、2軸あります。ひとつはSNSの運用とコンテンツ制作。例えば、ECサイトの特集ページの企画立案から、撮影、記事構成、編集までをまるごと。そしてもうひとつ、デジタル施策のコンサルのようなことも行っています。」

―非常に多岐にわたりますね。なかでも、ブランドのWEBルックなどもご自身で撮影していることには、驚きです。今日も機材を一式持ってきてもらいましたが、プロに引けを取らないほどの内容ですね…。元々カメラ専門の勉強や仕事をしていた、というわけではないんですよね?
「ほぼ独学なんです。もちろん本を読んだり写真教室に行ったりはしましたが、どちらかというと撮りながら覚えていったという感じ。まさに、趣味が高じて、といったところです。ベイクルーズでの撮影業務のほか、プライベートではストリートフォトグラファー的な活動もしています。」



―撮影するときに意識していることはありますか? 宮本さんらしさや、こだわりについて教えてください。
「意識するのは、商品が良く見えるかどうか。つまり、どんな撮影においても服を主役にすることです。また、ルドームにはさまざまなテイストのブランドがあるので、撮り方も編集の仕方も、基本的にはそれぞれに合わせたものに。自分らしさみたいなものは、むしろ出さないようにしています。」
―なるほど。仕事として撮影をはじめたのには、そもそもどういったきっかけがあったのですか?
「ぼくの経歴はちょっと複雑なんです。まず、ベイクルーズには2度入社しています。最初は、大学4年のとき、アルバイトとして入社しました。そこから社員になり、EDIFICEの販売スタッフとして7年ほど勤務したあと、退社。丁度その時期は、ZOZOTOWNなどが流行りはじめた頃で、ぼくもECを勉強したいと考えていた。その後、友人のブランドがオンラインストアを立ち上げたいということで、一緒にやることにしたんです。小さなブランドだったので、撮影から発送まであらゆることをやった。はじめて仕事として撮影をしたのも、そのときのことです。そのブランドで1年半働いて、それからベイクルーズに戻ることに。」


―どうしてベイクルーズに再入社することになったのですか? ご友人のブランドでEC業務の一連を経験して、見えてくるものがあった?
「そうですね。その頃はEDIFICEもすでにSNSなどの運用をはじめていましたが、ある程度の知見を蓄えたぼくが改めて俯瞰で見てみると、クオリティに改善の余地があるなと。だから、復職すれば必ず力になれると思ったんです。会社としてもデジタルを強化していきたいタイミングだったので、ぼくが戻ってきて間もなく、「WEB VC」という職種が新設された。そこからは、インスタ運用などの成功事例を重ねていきました。」
―時代の流れをつぶさに見つめ、いちど外の世界に出る決断をした。そうして経験を積んでからベイクルーズに戻ってくることによって、新しい風を吹き込んだわけですね。
「撮影については自分でこだわりを持ってやりつつ、一方で、「見てもらうために何が必要か」といったデジタルマーケティング側のことも勉強しはじめて…。その結果、いまのような2軸が完成したんです。」

―ひとつのことをとことん追求しながら、それに付随する分野にも、しかるべく興味が広がっていったと。
「単純に、興味がわくと深掘りしたくなるタチなんでしょうね。」
―とはいえ、まったく脈絡のないところに興味はわかないような気もします。撮影や見せ方といった部分へのこだわりは、少なからず潜在的に持っていたのではないでしょうか?
「最初にEDIFICEに入って販売をしていた頃のことです。いまのように大きな規模ではなかったので、当時は店舗であらゆる業務をこなしていた。そんななか、はじめて商品の陳列を任されたとき、ぼくの師匠とも言える当時の副店長に「これ誰がやったの? いいね、欲しくなるよ」と言われて。それが本当に嬉しかった。そこからVMDの仕事に興味が湧いて、いろんな店を見に行ったり、資格を取ったり。そうした経験も、いまに生きているのかもしれません。」

―これから、さらに力を入れていきたいことはありますか?
「正直、自分の技量だとクリエイティブ制作については天井が見えているように思っています。それよりも、デジタルマーケティングの方にもっと注力したい。会社全体を動かせるような施策を提案したり、マインドセットを周りに共有したり。デジタルシフトのなかで、自分がどれだけ会社全体に影響を及ぼせるか。そこに挑戦したいですね。」

「WEB VCになってからは、色数を絞った服を着るようにしています。
キャラ作りでもあり、服の知識やヴィジュアルだけでなく、
自分の仕事を見ていただきたいから。」
宮本 桂典
ル ドーム WEB ビジュアルコーディネーター
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