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  3. 【CREW'S VOICE vol.09 】BAYCREW'S クリエイティブ / 中森陽子
CREW'S VOICE

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka

社内のグラフィックまわりを担当するデザイナーの彼女は、
4歳の息子をもつ働く母でもある。
日々細かな工夫を積み重ねながら、仕事と育児を両立中。
一方で子どもが生まれたからこその変化も糧にして、
ワークとライフを豊かにしていった。

ウルトラマンも、いまでは大事なインスピレーションの源。

―中森さんがベイクルーズに入社したのは5年ほど前のことだと聞きました。それまでは主に広告を手がけるデザイン事務所に勤めていたとか。いまは社内のグラフィックチームに所属していますが、以前とは仕事の面でどのような違いがありますか?

「大きな違いのひとつが、コンペがないことです。以前の職場では、クライアントにデザインを出すにも資料が必要だったりと、デザインそのもの以外の作業が多く、そこに手間も時間も割かれがちでした。一方、いまは社内のブランドが得意先のようなものなので、何をするにもクイックで、かつ密にやっていける。この違いはかなり大きいんです。」

―なるほど。業務的なことに時間を取られない分、デザインの方により力を注ぐことができるということですね。そもそもは、どうして広告業からアパレルへの転職を決めたのですか? ベイクルーズを選んだ理由についても教えてください。

「親の影響もあって、小さい頃からファッションが好きでした。また、出産してからも仕事を続けたいと思っていました。特にベイクルーズ は育児をしながら働いている女性も多いということが、大きな決め手でした。」

デザインに興味が湧いたのは、なんと幼稚園児の頃。父親からプレゼントされたSONYの「My First Sony」からはじまり、その後ワープロ、パソコンと、すべて身近に触れてきたという。「中学生のときにはAdobeを使って写真の加工もしていました。じつは幼稚園児の頃と、やってることや感覚はあまり変わってないのかも」

―いまはお子さんがいて、時短で働いているそうですね。育休や時短などの制度があるとはいえ、仕事と育児との両立は一筋縄ではいきませんよね?

「基本的に産後からは時短勤務にしています。いまは息子も4歳になって、ようやく手が離れてきましたが、生まれてすぐの頃は仕事と生活のバランスを取るのがなかなか難しかった。仕事がうまくできず悔しい気持ちを抱えたままお迎えに行くこともけっこうあって…。でも、それを子どものせいにもしたくないし、反対に仕事のせいで育児をおろそかにもしたくなかった。」

―同じような悩みを抱えているひとは社内外問わず多いと思います。中森さんはそんな状況をどのように乗り越えたのですか? 両立の秘訣があれば、教えてください。

「いかに仕事を早くさばくかは、意識するようになりました。例えば、ある程度話が進みやすいようにデザインを組んで説明し、上司からすぐにジャッジをもらえるように伝えるとか。また、作業の効率化を図ってペンタブレットを使用。細かな作業も素早く仕上げることができ、時短になります。同じようなことで、パソコンを自分用にカスタムすることで効率アップを図ったりも。予測変換を駆使して、「お」と打てば「お疲れ様です」、「ご」と打てば「ご確認ください」と変換されるようになど、細かいですが、その積み重ねでかなり時間は削れます。そういう意味では、出産前より、単純に仕事の効率化ができていますね。」

右下が、仕事に欠かせないWacomのペンタブ。

―それらは育児と仕事との両立を通して編み出した技ではありますが、どんなひとでも参考にできる仕事術でもありますね! デザインのインスピレーションは、どんなところで受けていますか?

「これも子どもが生まれてからのことですが、やはり日々のインプットの量も一時は極端に減ってしまいました。美術館や映画館などは本当に大好きですが、簡単には行けなくなってしまったので…。ただ、自分でも意外なことに、息子が持っているおもちゃのミニカーや、一緒に虫捕りに行ったときに見つけた昆虫や植物などから、刺激を受けるようになりました。クルマやセミのフォルムって、めちゃくちゃかっこいいんですよね。あのウルトラマンも、世代を超えて愛されるコンテンツにはどんな魅力があるんだろうって探っていくと、かなり面白い。そうした、息子を通じて得られるインプットから、仕事への新しいアイデアが生まれることもあるんです。」

―それまで楽しんでいたことができなくなるというのは、特にクリエイティブな職種の親世代には大きな悩みだと思いますが、そんな風にお子さんを通して新たな世界が開けるというのはとても素敵なことですね!最後に、5年後の目標を聞かせてください。

「息子と一緒にヨーロッパを旅行して、自動車とアートを巡ることです!」

「状況の変化に好奇心を持って、面白さを見出すこと!」

  • 太田篤志郎
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