

Photo_Shintaro Yoshimatsu
Text_Masahiro Kosaka
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Instagramのフォロワー数が17,000人超えの、時代を牽引するバイヤー。
影響力の源は、意外や、広大な海さながらの“母なる心”。
スタッフへの愛、ファッションへの愛。それに尽きる。
そんな彼女のワークとライフ、そして子育てについて聞いた。
数年前の洋服や、お母さんのお下がりだって
着ちゃいます。
―Deuxieme Classeのなかでも、バイイング、別ラインであるCELERIのディレクション、InstagramやブログなどSNSまわりなど、マルチに活躍されているようですね。最近では特にSNSに力を入れているそうですが、日頃どういったことを心掛けていますか?
「まずオフィシャルのインスタやブログについては、お客さまに対してはもちろん、お店の子たちに向けての発信の場でもあります。ネットで商品を買うことの多いお客さまにも、ただボタンを押すだけではない、お買い物の醍醐味を味わってもらいたいんです。そこを補うために、ブログで商品やスタイリングの紹介をしている。一方でお店の子たちにとっても仕事のヒントになるよう、着こなし方や接客に使えるキラーワードを盛り込むようにしています。
もちろんブログだけでは伝え足りないこともあるので、直接お店でレクチャーしたりも。わたし自身も店舗歴が長かったので、先輩たちから伝授されたことをいまの若い子たちにできるだけ伝えられたらと思っています。でも、若い子たちのスタイルから、わたしが教わることも多いんですよ!」



―バイヤーやディレクターとしてモノづくりに携わるだけではなく、お客さんが手に取る現場までしっかりとケアしているわけですね。普段のスタイリングは、どんな風に工夫していますか?
「わたしはDeuxieme Classeで働き始めて14年くらい経つので、その頃からのブランドの洋服がクローゼットに残っています。ひとによっては、過去のシーズンのものはあまり着ないという場合もあると思いますが、Deuxieme Classeはベーシックなものが多いので、過去のものでも着こなし方を変えると新しい気持ちで着られたりする。「3年前のアイテムだけど、こんな風に着ると今季らしいな」みたいに。あと、私服の1割はお母さんのお下がり。若いときにお母さんのクロゼットを見て可愛いなと思っていたものが、いま着られるようになってきて。色やデザインが絶妙だったりするので、ちょっとほかにはないスタイリングになります。」


―なるほど、普遍的なものや、自分のルーツにある何気ないものも、取り入れ方や見せ方次第でいまっぽく着られるということですね。業界の第一線で活躍しながら、いっぽう私生活では、2児のお母さんでもありますよね。仕事と子育ての両立は難しくないですか?
「いまは時短で働いています。家でできることは家でというムードで、会社も支援してくれている。また、店舗にも本社にもママが多いので、周りの理解もあって働きやすいですね。家ではというと、けっこううっかり者で……。小学校に通う長女のほうがしっかりしているくらいで、「書類の提出日、忘れてるよ!」とかってよく注意されています(笑)。夫も働きながら一緒に家事や育児をしているので、家族のサポートのおかげで、負担もそれほどではありません。」

―店舗勤務をしていた頃にお子さんが生まれたということですが、それ以前と以降とでは、仕事をするうえでの変化はありましたか?
「その頃は、数字を作らないといけない店長という立場だっただけに、ときに自分にも周りにも厳しくなってしまっていました。でも子どもができてからは、何ごとにも「どうにかなるよね」という精神で向き合えるようになった。もともとスタッフとのコミュニケーションは得意な方でしたが、より若い子の面倒を見たがるようになった気がします。ほんと、お節介なお母さんみたいに(笑)」

「綺麗に歳を重ねながら、感覚は衰えさせないように。常にアンテナを張り、様々なことに興味を持つようにしています。」
岩渕 紘子
Deuxieme Classe インフルエンサー
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