
Photo_Naofumi Yoshimoto
Text_Aya Ueno
Edit_Ryotaro Miyazaki
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パイソン柄のフレアパンツにワークブーツという、難易度の高いコーディネートも華麗に着こなす。
“ファッションとは自分を表現する場所”という言葉を体現するように、独自のスタイルとともに発信し、
ファッションアドバイザーとして活躍する姿はショップ内で風格を漂わせている。
自分自身で捉える様々な物事の偏愛っぷりについて語ってもらった。
―この連載初となるBAYCREW'S DEPOからのご出演です。まずは、ベイクルーズとの出会いやこれまでについて聞かせてください。
大学生の時から洋服が大好きでした。類は友を呼ぶと言いますが、自分の親しい仲間もみんなファッションが好きで。ごく自然な流れで、学生時代からファッションの道に進みたいと思うようになりましたね。就活中は、深夜まで空いているカフェに友人と集まっては、進路について話したり、調べたりしたんですが、ある日そのカフェでベイクルーズという会社があることを知りました。調べてみると、自分が好きでよく通っていたファッションブランドが集結した会社で。面白そうだなと思ってすぐに応募したんですよね。入社が決まって東京配属となり、卒業と同時に福岡から上京しました。配属先は渋谷にショップを構える417 ÉDIFICE。ÉDIFICEのカジュアルラインで、クラッシックなフレンチトラッドをベースに、現代的に、自由に着崩していくスタイルが特徴的なブランドです。「ファッションってこんなに自由なんだ!」と当時はたくさん勉強しました。数年勤務したのち、「BAYCREW'S STORE」がオープンしたタイミングで名古屋に移り、現在はBAYCREW'S DEPOに所属しています。

ーBAYCREW'S DEPOの実店舗は、この「BAYCREW'S STORE」のみなんですよね。ブランドの特徴や魅力について聞かせてください。
このショップは、オリジナル商品を持たず、国内外の気鋭ブランドを取り扱っています。セレクトとしては、ゲストブランドでもあるRED WINGやDAIRIKUをはじめ、あまり他店で取り扱いのないインポートブランドや、個性派のドメスティックブランドなどを幅広く展開しています。ベースはアメカジですが、取り扱うブランドも多様で、ある意味ジャンルレスで、年代や性別も問わない。だからお客さまの層も他ブランドより幅広い印象があります。個性派な品揃えで、一点一点に手に取りたくなるような味がある。そんな意味もあり、ここでは新しいファッションにトライしてみようかな、という気持ちにさせてくれる場所でもあるのが魅力だなと思います。
ー山口さんのファッションも、独自のスタイルが確立されている感じがあって素敵ですね。
ありがとうございます。職業柄、色んなファッションスタイルを試してみることが多く、インパクトがあり、かつ全体のバランスをよく見せるというスタイルが好きというのは昔から変わっていないと思います。ファッションのポイントはボトムスに置くことが多く、細身のパンツに、丈が短いトップス、ブーツが一番心地の良いスタイルです。裾の入り方といい、全体的なバランスといい、特に好きなのがフレアパンツ。10本以上は所有していますね。今日穿いているものは、最近購入したDAIRIKUのもの。パイソン柄って他ブランドではなかなか取り扱いがなかったりするので、うちらしいアイテムかもしれません。難しく見えがちですが、穿いてみると意外と合わせやすいので、ぜひお客さまにも挑戦してほしいアイテムです。

ー確かに柄ものがピシッとまとまっていて、締まって見えますね。
そうですね。あとは、ぼくの代名詞と言っても過言ではないのがブーツ。最近はスニーカーもあまり履かなくなって、夏の暑い日もサンダルよりもブーツ派です。よく、暑くないの?って聞かれますね(笑)。もちろん暑いんですが、例えばショーツに合わせるブーツスタイルってやっぱりカッコよくて。季節問わず欠かせないアイテムなんです。いま履いているものは、RED WINGの「アイリッシュセッター」というモデルをカスタムしたもの。90年代くらいに流行ったブーツで、定番ではありますが、ぼくらの年代で履いている人はあまり見かけないかも。RED WINGって実はパーツが別売りされていて、カスタムできる楽しさもあるんですよね。これは「ジッパーユニット」といって、紐からジップスタイルに変えられるパーツでカスタムしました。割と最近出たものではあるんですが、人気ですぐ品切れになってしまうので再販した時は要チェックです。

ーRED WINGって、そんなカスタムができるんですね! 自分だけの一足という感じで、より特別感が生まれそうです。
そうなんですよね。それと、このブーツのもう一つのこだわりはブーツレースにあって。あえて先端をカットして糸をほぐしてダメージを入れています。これはベイクルーズの先輩に教わった履き方なんです。かなりこだわったものなので愛着もあって、最近はだいたいこのブーツを履いていますね。新しいブランドも好きですが、昔から変わらず愛されるRED WINGの魅力はやっぱりいいですよね。

ー山口さんのお話を聞いていると、本当にファッションがお好きな方なんだというのがよく伝わります。
そういってもらえると嬉しいです。BAYCREW'S DEPOは個性的な服が多いからか、感度が高くてこだわりのあるお客様がお越しいただくことが多くて。店頭で接客をしていても、お客さまとファッション談義を長時間してしまうことも。外見でイカつい印象を持たれがちですが、話してみると、意外と気さくで話しやすいねと声を掛けていただくことが多いです(笑)。

ー服好き同志にはたまらない時間ですね。普段店頭で接客をする際にお客さまへのご提案で、心掛けていることはありますか?
会話の中から、お客さまが好きそうなものを探って、まだチャレンジされたことがないようなジャンルを測って提案するのが好きです。喜んでいただけると、ついついぼくまで嬉しくなりますね。たまに、おすすめしたコーディネート一式をそのままご購入いただくこともあって、そういうシーンはこの仕事をしていてやりがいを感じます。

謙虚でいること。
好きな気持ちを忘れず、なんでも、楽しんでやること。
