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  3. スタンダードな話をしよう。 vol.12 Chilli Beans.
  • Talk to standard.

    vol.12

    Chilli Beans.

    気になるあの人はどんなことを大切にして日々を過ごしているのだろう。“その人の軸=スタンダード”にぜひ迫ってみたい。仕事や生き方、好きなものや定番品から垣間見える、その人だけのマイスタンダード。第12回目のゲストは、ネクストブレイク間近と注目を集める3ピースバンド・ Chilli Beans.(チリビーンズ. )。2022年の今年、1stフルアルバムとなる『Chilli Beans.』をリリースし、サマソニやSWEET LOVE SHOWERなどのフェス出演を果たし、これからファン待望のワンマンライブツアーが始まります。音楽の学校「音楽塾ヴォイス」で結成され、メンバー全員がシンガーソングライターというルーツを持つ新世代のバンドは、この音楽受難の時代になにを考えているのか。メンバーのキャラクターから、バンド内のコミュニケーションの取り方、プライベートな話まで縦横無尽に語ってもらいました。

    Photo_Shuya Aoki【W inc.】
    Styling_Masataka Hattori
    Hair&Make-up_Kazuma Kimura、Natsuho Makino
    Text_Shinri Kobayashi
    Edit_Ryotaro Miyazaki
    Cooperation_Enomoto Dairyfarm

    Chilli Beans.

    バンド

    (左から)Lily(Gt&Vo)、Moto(Vo)、Maika(Ba&Vo)による、2019年結成の3ピースバンド。抜群のソングライティングセンスと巧みなコーラスワーク、さらにライブでの圧倒されるパフォーマンスを武器に活動中。2022年7月13日に1st Full Album『Chilli Beans.』をリリース。同年11月より自身初の全国ツアーChilli Beans. one man live tour「Hi, TOUR」が開催決定と、日々成長中のネクストブレイクバンド。
    Instagram:@chillibeansmusic
    Twitter:@chillibeans_mc
    TikTok:@chillibeans.official
    Official HP

    それぞれから見える、
    ほかのメンバーのこと。

    この連載では初となる、グループでのご出演です。ということで、自己紹介ではなく、自分以外のメンバーを他己紹介するところからお願いします。ではまずMaikaさんから。

    Maika:ギターのLilyは、好奇心が向いた先に突っ走っていく職人気質ですごいなと。音楽以外の面では、不思議な観点を持っていますね。わたしはすごい真面目なタイプだから当たり前のことしか考えつかないけど、Lilyはそこからそんなことを考えるんだ! という発想が新鮮で、面白いです。

    Motoは、パフォーマンスの立ち振る舞いがかっこよくて、フロントに立つひととしていいなと。プライベートでは、天性の末っ子感というか、“かわいがられる力”がすごくて、いい意味で懐に入るのがうまい。いろんな人が勝手に手を差し伸べたくなるような存在です。

    では、そんな末っ子のMotoさんから見て、二人はどうですか?

    Moto:Lilyは、抜けているところもあるんだけど、たとえばわたしが劣っていると感じているような部分も、それが味や個性だよと受け入れてくれます。自分の弱点だと思っている部分も出していこうと前向きにしてくれる。音楽を作るときは、もうちょっと雰囲気を暗くしたいくらいのざっくりした話でも理解してくれますね。あとは、いろいろなものに興味があるし、音楽もいろいろなものを聴いているなと。

    Maikaは、一緒にいて落ち着きますね。空気を察して、何にも言わなくても表情から読み取ってくれます。あとはどっちがいいかなと聞くと、好きなのにしなよって自由を与えてくれる存在です。わたしはこれだとこう見られるからこっちの方がいいかなとか、他人の視線を考えちゃうタイプなので、他人がどうこうじゃなくて自分の好きな方にしたほうがいいという考えを後押ししてくれるのはいいですね。音楽面でも聴くひとを前向きにしてくれる歌詞を書くのが上手で、かっこいいなと思います。

    お互いにいいところは、口に出して伝えますか?

    Maika:めっちゃ言うよね。これ最高! いいね! とか、キモくていいね、とか。

    キモくていいね、ですか(笑)。どういう意味合いなんでしょう?

    Lily:いい感じに外れている、みたいな。

    Moto:周りの同世代はあまり使っていないので、チリビ語ですね。

    なるほど。Lilyさんから見て、二人はどうですか?

    Lily:Maikaは太陽みたいな存在で、どんなときでも近くにいるとパワーをもらえます。それに頼りになるし、性格もはっきりしていて、思ったことをはっきりと言ってくれるから、そこで見えることも結構多いんですよね。

    Motoは、根がめちゃくちゃ明るい。末っ子バイブスみたいなものがあって、目についたこととか何かと話したくなるし、話していると話やアイデアが面白い方向にどんどん膨らみます。声のトーンもいいし、歌詞も自分にはない視点が入っているなと感心します。

    お聞きしたそれぞれの個性は、バンドでの役割や楽曲にも出ていますか?

    Maika:めちゃめちゃ出ています。最終的には、バンド全員で作るので、全員の味が曲には入っているんですけど、歌詞やサウンドの方向性とかに、なんとなくそれぞれの“好き”が出てます。

    みなさんの共通項としては、Red Hot Chili Peppersですか?

    Maika:一つはそうです。チリビの“チリ”もレッチリからなので。

    アルバム『Chilli Beans.』を聴きました。ポップなメロディーに、繊細な歌詞がついていて、そのバランス具合がすごく魅力的でした。どうやって曲作りをしているんですか?

    Maika:メンバーのうち誰かひとりがぱっと書いた曲もあれば、みんなで話し合いつつ作っているものもあります。

    では、Chilli Beans.の名刺代わりの曲といえば、どれになるんでしょうか?

    Maika:めっちゃ難しいな。どうなんだろう。いろいろなタイプの曲を書いてますからね。

    Moto:そのときの気分というか、たとえば少年っぽいとか女の子とか曲ごとにイメージが違うから、どれなんだろう。

    Lily:自分自身もその都度変わってるから、どれかを選ぶのは難しいかな。

    誰か別のひとの視点で
    世界をみる。

    ファッションに関して、好きなブランドやスタイルはありますか?

    Moto:ストリート系のパーカのような、決めすぎてないラフなものが好きですね。

    ファッション雑誌を読んだりしますか?

    Moto:自分があまりきちっとしてないので、雑誌などを参考にしちゃうと背伸びした気分になっちゃって空回りしちゃいます。ありのままではないけど、自分に合うラフな方が落ち着くんです。

    Maika:わたしは特定の誰かを参考にするわけではないけど、イギリスのシンガーソングライターのDua Lipaさんはすごい好き、Love myself=自分を大事にしようという思想や歌詞に結構影響を受けています。スタイルでいえば、好きな俳優さんや女優さんのInstagramに出てくるスタイリングを真似したいなと思うことが多いです。わたしは、服に対してスーパーヒーローにとってのスーツのような意味合いを持たせるときもあって、これを着たら自分最強! ということで、ライブのときにはお腹を出した服を着ることも。服を着て、スイッチを入れるんです。

    Lily:スイッチっていうのは、めっちゃわかります。制作するときも半袖だと落ち着かないので、ちょっとデカめの服を着るとやる気が出たりします。たとえばわたしは韓国人だと設定してやるとすごく集中できたり(笑)。別人の設定で、自分自身を見た方がいいんですよね。自分に入り込みすぎると何もできなくなって嫌になっちゃうから。

    Maika:わかる。

    Lily:古着も元々は知らないひとの服で、別人になれる感じがするから好きですね。

    なるほど、おもしろいですね。悩みを乗り越えたり、ましてやその苦しみを歌詞とかに生かしていくには、客観視できることが重要かもしれないですね。ほかのお二人は、客観的になるための方法はお持ちですか?

    Moto:例えば雰囲気のいいキャラクターのイラストを見て、自分が近づきたい雰囲気だと感じたら、そのイメージで曲を書いたりしますね。自分がその子だったらどんなふうに見えるんだろうとか。

    Maika:別軸の誰かを降ろす、みたいなことだよね。

    Moto:自分が普段使わないような言葉とかも出てきますね。

    Maika:わたしの場合は、自分軸で作ることが多いです。誰か別のひとを降ろすよりも、自分ひとりでいるときに独り言で考えをまとめたりします。たとえば、なんでいまこんなに凹んでるんだろう? とか。それはこういうことがあったからだよな、でも、あれ…みたいなことを永遠にひとりで喋ります。特にお風呂でシャワーを浴びているときかな(笑)。

    Moto:だから、Maikaの作る歌詞はMaika自身の真っすぐを感じるのかもしれない。

    CDジャケットや衣装含めて、ビジュアルへのこだわりについて教えてください。

    Maika:よく話すのは、目から入る情報は耳から入る情報と同じぐらい大事だということ。たとえばMVが出来上がると曲の世界観が広がるのと同じように、服や髪型、メイクなどで受け取られるイメージは大きく変わると思っているので、ビジュアル作りは大切にしています。というか、雰囲気作りが好きな3人だから、そこまで含めて楽しくやりたいんですよね。

    衣装は、全員揃えるんですか?

    Maika:最初の頃はそうでしたが、最近は好きにやろうと。それぞれ違っていて、最終的にいいキャラ付けになっていると思います。

    Moto:確かに自然とそうなっているよね。

    こうやって話を伺っていても、それぞれが独立してる印象です。誰かリーダーはいるんですか?

    Maika:いないです。わたしたちは、話しますね、本当に都度話してます。

    コミュニケーションをちゃんと取っていると。MaikaさんはChilli Beans.以前には、コミュニケーション下手だったということを話されているインタビュー記事を拝見したことがありますが、変わったきっかけはあるんですか?

    Maika:チリビの前に所属していたグループがダメになったときの挫折ですね。そのときにいろいろ考えた結果、結局は自分の意見が一番大事と考えるようになったんです。グループを結成して、言い合うことが増えていくなかで、でも出来ればぶつかりたくない…と言いたいことを言えずにいると、結局はそれがどんどんたまっていくだけ。自分の意見を言うことが悪いことみたいに思いがちだけど、そうじゃないことに気づけて、実践できるようになったのがチリビなんです。

    それはチリビの3人の関係性にもよるところは大きいですよね。ほかのお二人はバンド経験はあるんですか?

    Lily:わたしはバンドとも言えないくらいのことはやっていましたけど、そのときは自然体で話せていなかったし、音楽の話もあまり合いませんでした。でもこうやってバンドを組んで、どんな音楽が好きかを話し合った結果、同じ音楽が好きということが大きいですね。

    音楽以外の趣味で、共通項はあるんですか?

    Maika:みんな映画が好きです。好きなジャンルはそれぞれですけど。Motoは本が好きだよね。

    そうなんですね。Motoさんは、好きな作家はいますか?

    Moto:荻原浩さんです。読んでいると、言葉の繋ぎ方が面白かったり、そうやって表現するんだ、とかそうやって喋るんだ、とか。

    歌詞作りの参考にもしますか?

    Moto:うーん、映画の字幕にきれいな文章を見つけたら、集めていましたけど、スマホが壊れて全部消えちゃいました(笑)。

    ライブをやり続けたい。

    撮影中や移動のロケバスのなかでも、何かの曲を口ずさんでいましたね。いつもあんな感じですか?

    Moto:しょっちゅうかも。

    Maika:確かによくやってる。なんか口寂しくなったら、ガムを噛む代わりに歌っているかもしれない(笑)。

    昔からですか?

    Maika:わたしは昔からです。中高のときに寮生活をしていたんですけど、みんなと休憩時間が違うときに、みんなが勉強しているのに、自分でも気付かずに歌っちゃっていたときがあって、先輩からクレームをもらったくらい。

    Motoさんが「膝が痛い」みたいなこともオリジナルで歌ってましたよね(笑)。

    Maika:既存の曲の替え歌で、いまの現状を消費したりしがちかもしれないですね(笑)。替え歌はみんなよくやってます。

    デビューから3年経ち、サマソニなどのフェス出演、ワンマンライブのツアーなどとても順風満帆のようですね。これから先の展望はありますか?

    Maika:具体的にこの箱でやりたいとかそういうゴールを設定したことはないですね。もちろん武道館とかやってみたいねっていう話はするけど、自分たちがやっていくなかでその先にそんなことがあれば素敵だねという感じです。

    Lily:最近夢が大きい。というのもサマソニに出演できて、海外のアーティストを見て、やはりかっこいいなと。だから、いろいろなところでやりたいし、サマソニもいつかヘッドライナーとして出たいですね。ガールズバンドのヘッドライナーはこれまでにもあまりないんじゃないかな。

    Maika:今年サマソニのオープニングに出演させてもらったんですが、つまりサイズとしては一番小さいアーティストということですよね。だから、最終的には最小から最大のヘッドライナーにまでなったらそれは楽しいだろうな。

    Lily:フェスが、それはもう楽しかったんです!

    ライブというのはすごい大切な場所ですか?

    Lily、Maika:はい! ライブをやり続けたいです。

    ライブを拝見したんですが、ファンとの距離感がすごく近いなと。何か意識されていることはありますか?

    Maika:アーティストもいろいろなタイプがいて、自分たちについてこいというタイプのアーティストもいると思う。でも、どちらかというと自分たちは一緒に楽しもうという感じや、今日ここにいるお客さんとこの空間を共有したいという欲の方が強くて。だから必然的に近くなってるというか、お客さんと近いことでこちらも楽しいんです。

    Lily:ファンクラブのブログで、ライブに来てくださってありがとう、とか自分たちが本当に好きな人と会話できるところは大切にしているし、これから先もそこは大事にしたいです。

    Chilli Beans.の定番品

  • 【Maika】
    インディアンジュエリーのネックレス、gramとノーブランドのリング

    アクセサリーを買うときは、意味を込めて買うタイプです。ヴィンテージのインディアンアクセサリーは初フルアルバムの『Chilli Beans.』を出したお祝いに自分自身で買いました。お気に入りで毎日つけてます。この二つはインタビューでも話した、チリビ前の挫折のときに初めて作ったリングで、買った日に元々長かった髪をバッサリとベリーショートにして、初体験のブリーチで、真っ金金にして新しい自分になるぞと。この石のついたリングは、元々石が好きで欲しいなと思ったときに、出会いました。ピンキーリングは、1年間OLをやっていた時に購入しました。

  • 【Moto】
    ノーブランドのサングラス

    ブランド名もストーリーもあまりないんですが、最近ライブでつけているサングラスたちです。今日持ってきたのは、グレーのセルのウェリントンというタイプですかね。もらったものとか、古着で出会い頭に買ったものとか、ブランド名は特にありません。変身願望というか、ひとから目が見られないからかけるとちょっとした無敵感はあります。

  • 【Lily】
    両親記念のリング、GUCCIのブレスレット&ネックレス

    このリングは、タンスにずっとしまってあったお父さんの結婚指輪を見つけて指につけてみたらちょうどよくて、もーらい! と。一応許可はもらいましたよ(笑)。お父さんとお母さんのイニシャルも入っているし、つけているとなんか安心します。あとは、お父さんに、アルバムリリースのお祝いで買ってもらったGUCCIのアクセサリーです。「あまりアクセサリーを持ってないから買いなよ」と言ってくれて。ということで、全部お父さん関連のものです(笑)。