Talk to standard.
vol.11
川栄李奈
気になるあの人はどんなことを大切にして日々を過ごしているのだろう。“その人の軸=スタンダード”にぜひ迫ってみたい。仕事や生き方、好きなものや定番品から垣間見える、その人だけのマイスタンダード。第11回目のゲストは、女優の川栄李奈さん。AKB48のメンバーとしてデビューし、その後は女優として数多のドラマ、映画に出演。さらにはNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で主演を務め、国民的アイドルから国民的女優へと見事に変貌を遂げました。その華々しいキャリアを振り返りつつ、ちょっぴり謎めいたプライベートや、ジャーナル スタンダードにまつわるほっこり思い出話まで! 時間の許す限りお話を伺いました。
Photo_Tetsuo Kashiwada
Styling_Misaki Takahashi
Hair&Make-up_Anna
Text_Yosuke Ishii(HOUYHNHNM)
Edit_Ryotaro Miyazaki川栄李奈
女優
1995年生まれ。NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』をはじめ、『亜人』『ステップ』など映画、舞台などにも出演。2022年には、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では主演を務めるなど、今最も期待される女優のひとり。2022年10月よりスタートしたドラマ「親愛なる僕へ殺意をこめて」(フジテレビ)にヒロインとして出演中。
Instagram:@rina_kawaei.official自分には無理だと思っていたデビュー当時。
いまでこそ引く手数多の人気女優としてご活躍されていますが、そもそものキャリアのスタートはアイドルでした。当初はアイドルになりたかったんですか?
じつはアイドルに特別なりたかったわけではなく、高校生の時に友達から「AKBのオーディション一緒に受けない?」と誘われて、試しに受けたんです。芸能の世界で、こういうことをやりたい、といった夢は当時ありませんでした。
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注目されるのが苦手だったとすると、最初はなかなか慣れなかったのでは。
はじめは研究生として劇場公演に出たんですけど、その存在すら知らなかったので、みんなと気持ちが全然違っていました。それにレッスンもすごくきつかったので、どうせすぐに辞めるんだろうと、なんとなく思っていました。けれど、なかなか辞める勇気もなく、機会もなく……。
それでもアイドルを続けましたよね。なぜでしょう?
後輩ができてからですね。当時はそんな感じだったから自分がやっていたポジションも取られて、端っこになっていって。そこで初めて、なんか悔しいなっていう気持ちが芽生えたんです。それからスイッチが入って、AKB48として頑張ろうという気持ちになりました。
挫折を経て、ようやくアイドルと向き合うようになったんですね。AKB48時代はどんな仕事が楽しかったですか?
『マジすか学園』というAKB48のドラマがあって、そのドラマを加入する前から普通にテレビで見ていて、面白いなあと思っていたので、その続編に出させてもらったときは嬉しかったです。ほとんど映らない役でしたが、それでもすごく楽しかった。出番がなくて、早朝から夜までずっと待つこともありましたが、その待ち時間すらも苦じゃないというか。自分がドラマに出れるんだ、やった! みたいな。仕事でそういう気持ちになったのは初めてでした。小さな頃からテレビばっかり見ていたテレビっ子だったので、それもあったのかもしれません。
いまに続く女優への道の第一歩だったと。そこから女優としての未来を思い描くようになったんですか?
確かに『マジすか学園』がお芝居の楽しさを知るきっかけでした。その後もAKB48以外のドラマにも一人で出させてもらえるようになってから、やっぱりお芝居の仕事がいちばん楽しいと思って、卒業を決めました。
具体的に、お芝居の何が面白かったのでしょう?
役柄を通して、いつもの自分じゃできないようなことも沢山できるお仕事じゃないですか。わたしは普段、あまり喜怒哀楽を表に出さないタイプなんですが、お芝居だと泣いたりとか、怒ったりとか、そういうのを演じるのが楽しかったんだと思います。嬉しいことや嫌なことがあっても、一切表に出さない、内に秘める性格だったので……。
女優としていまの目標はひとつ、映画で賞を取ること。
その後は舞台、ドラマ、映画と立て続けに出演が決まりました。役によって変幻自在に顔が変わる川栄さんを見て、こんな才能があったのかと驚きました。役作りをするうえで意識していることはありますか?
じつはあまり役作りをしないんです。もちろん、セリフを入れたり、所作を意識するとか、必要なものはやるんですけど、それ以外のことは特別にないです。この役を突き詰めるというよりは、自分の感じたものをやってみて、違うって言われたら監督の意見を取り入れるっていう感じです。逆に自分でガチガチに役を固めていった時に違うって言われたら、直せなくてパニックになっちゃうんですよ。なので自分ではあまり決めこまずに、監督の言うことをやるというか、そっちの方が多いですね。
意外ですね。勝手に役が憑依するタイプの女優さんかと思っていました。
私生活が役に引っ張られることもないですし、オンとオフのスイッチが明確にあるので、むしろ本番だけしか役に入り込まないタイプです。撮影が終わったら終わりって感じです。そういった意味では結構あっさりしているかもしれません。台本を書き込んだりすることもないですし、パッと見てセリフを覚えたら終わりって感じで、ずっと見返すこともないですね。
オンオフの切り替えがはっきりしていますね。
そうですね。だから、ひとつの作品しかできないっていうタイプではないので、1日に違う役を撮影することもできます。そういった意味では、切り替えが早いのは長所かもしれません。
女優として自信をつけた瞬間ってありますか?
朝ドラの『とと姉ちゃん』に出演させてもらったことです。この作品を機に自分の中での意識が変わりましたし、後からドラマや映画のお話をいただくことが多くなったので、朝ドラのパワーみたいなものを強く感じました。撮影期間も3か月ちょっとあって、出演者とは朝から夜までずっと一緒にいたので、仲が深まっていくのも新鮮で、すごく楽しかったです。
朝ドラへの出演は、女優として大きな財産ですよね。女優として今後の目標を聞かせてください。
今後というよりはずっとなんですけど、映画で賞を取るという夢があります。AKB48を卒業してから、朝ドラに出ること、大河ドラマに出ること、そして映画で賞を取ることの3つを目標に掲げていました。朝ドラと大河は叶ったので、残すはひとつ。だから、いまはたくさん映画に出れるように頑張りたいです。
なるほど。川栄さんの仕事をするうえでのポリシーをお聞かせください。
お芝居はもちろんなんですけど、普段の姿勢も含めて、ひとりの人として、関わるスタッフの方たちにまた使いたいって思ってもらえるように気をつけています。
プライベートは基本、家。映えないインドア派。
ここからはプライベートの話を聞かせてください。SNSを見てもあんまりプライベートの投稿がないので、川栄さんは普段どんなことをしているのか、どんな友人と遊んでいるのか、謎なんです。
なんでSNSに出さないかというと、何にもしていないからなんです(笑)。友達もあまりいないので、出かけたりとかもほぼ無くて。家にいるか、公園にお散歩に出かけるくらいで、“映える”エピソードがまったく無いんです(笑)。
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どこかに行ったとか、こんな楽しいことしたとか、ないんですか? それこそストレスが溜まったらどうやって発散するんでしょうか。
本当に無いんです。曜日もわからくなっちゃうくらい、毎日同じことの繰り返しで……(笑)。ストレス発散で言うと、喋る、ですかね。家族と話したり、唯一仲の良い友達に話を聞いてもらって発散するくらいです。
趣味はありますか?
なんだろう……これも無いなあ。あ、サブスクで映画は空き時間に見たりします。音楽もそこまで積極的に聴かないですし、むしろMVとかを観る方が好きですね。聴くというよりは観る方が好きなので、家にいるときはテレビをずっと点けています。テレビ観ながら1日が終わるっていう(笑)。
家ではテレビを見る以外だと、何をして過ごしていますか。例えばモーニングルーティーンとか。
モーニングルーティーンは一応ありますよ。起きたらまず掃除から入るくらい掃除をするのが好きで、それこそ1日に3、4回は掃除機をかけています。あと朝にお香を焚くのがお決まりです。
家で過ごす時間を充実させるための努力や工夫は惜しまない、と。
そうかもしれないです。お香もそうですし、家のインテリアとか、小物とかも好きですね。そう考えると家は充実させているかもしれません。自分ひとりで、家の壁をレンガの壁紙に張り替えたりもしました。サイズ合わないな、とか言いながら朝から夜まで黙々とやっていたり。家にある家具は基本、全部自分で選んでるので全部お気に入りです。
どんな部屋か気になります。
めちゃくちゃシンンプルです。物は表に出さずに、全部仕舞うタイプ。だから誰かが家に来ると、「物が何もないじゃん」ってよく言われます。自分が長時間家にいることが多いので、居心地がいいように綺麗にしています。
家に対するこだわりが強そうですね。しかし、ここまでインドア派だとは思いませんでした。
散歩は好きなので、近くの公園に出かけたりとかはしますが、遊びにどこかに行くっていうにはほとんどないです。友達と遊ぶ時も、どこかに出かけることもなく、「ウチ来ない?」「家に行っていい?」みたいな。以前までは、渋谷行こうよ! 原宿行こうよ! だったんですけど、いまはただ家でテレビ見ておしゃべりしてって感じですね。
川栄さんの友達、どんな方か気になります。
AKB48時代の子しかいないです(笑)。逆にその他の友達がいなくて。わたしはグループに5年間いて、その期間ずっとメンバーと常に一緒にいたのと比べて、ドラマや映画の現場は共演者の方と一緒に過ごす時間が短いので距離の縮め方がわからなくて、いまいち仲良くなれないんですよ。わたしが人見知りっていうのもあるので、全然話せずに撮影が終わっちゃうことも多いです。
共演者の声を聞くと、川栄さんは気遣いが出来て、周りの空気も読めて社交的なイメージがありましたが。
4回くらい共演したら「ご飯行こうよ」となるかもしれないです。必要以上に気にしちゃうんですよね。自分から壁を作ることはないんですが、相手が忙しいだろうなとか、いま話しかけたらタイミング悪いかな、とか気にしてしまうんです。
相手から来られるのはイヤじゃないってこと?
そうですね、相手から来てくださる分には全然大丈夫なんです。それこそ事務所の子とか、慕ってくれる後輩とかと一緒にご飯に行ったりしますし、来てくれたら全然仲良くなれるんですけど、自分からとなると、いろいろ気にしちゃって。限られた期間の中で、自分から話しかけるのが苦手なんです。
ジャーナル スタンダードで買った両親へのプレゼント。
さて、今日はジャーナル スタンダードの服を着て、モデルとして撮影させていただきました。普段のお芝居と、モデルのスチール撮影では、撮影への向き合い方や意識の違いなどはありましたか?
雑誌のモデルをやってきたという経験もないので、基本的にお芝居と一緒です。カメラマンさんに「こうして欲しい」とか指示をもらわないとできないタイプです。何も言われないと、どうしていいかわからなくなっちゃう。逆に、「こうして」と言われれば、なんでもできます。そう言った意味では、お芝居と同じ感覚だと思います。
スタイリストさんには、普段の川栄さんの格好やパブリックイメージからあえて遠ざけて、ジャーナル スタンダードを意識したスタイリングを作ってもらいました。1ポーズ目のショーツも、普段あまり穿かないと聞いたんですが、いかがでしたか?
確かにショーツは普段あまり穿かないんですが、いざ着てみたら可愛かったです。それとトップスの重ね着も好きでした。普段は、色が濃いものは着ないので、緑の服も新鮮でした。
2ポーズ目はどうでしょう。
スカートが可愛かったです。私服ではワンピース以外のスカートを持っていないので新鮮でしたし、ストライプにチェックを合わせたり、スタジャンにスカートとか、そうしたミックスは普段あまりしないので楽しめました。
普段はどんな格好してるんですか?
(撮影当日の私服、白の無地Tにデニムパンツを指して)こんな感じの格好か、ワンピースか。とにかくラクな格好のものが多いですね。重ね着とかもあまりせずに、さっぱりしています。
ファッションは何を参考にしていますか? 雑誌とか、SNSとか。
ファッション誌のモデルさんって高身長なので、それを見ていいなと思ってもわたしの場合、サイズが合わないことが多いので、身長が近いインフルエンサーの方を参考にしています。SNSで#150センチコーデとか(笑)。
服はどこで買うことが多いですか。
ネットで買うことが多いです。それどこの? っていうブランドを安くで探したり、ファストファッションブランドを買うこともありますし、韓国のブランドのものを買ったり様々です。気軽に着れるものが多いですね。
ジャーナル スタンダードは……?(笑)
もちろん知ってます! 買ったこともありますよ! いまは無くなっちゃいましたけど、原宿のキャットストリートにあったお店によく行っていました。お母さんの誕生日プレゼントをそこで買ったこともあります。お気に入りのお店だったので、なくなってしまったのが残念で……。
いまはそこからほど近い、表参道沿いにあるので、よかったら行ってみてください! ところでお母さんへは、どんなプレゼントを?
お母さんにはコートを買いました。表地はレザーのような素材で、裏地は起毛してモコモコしていて。わたしとお母さんの身長がほぼ一緒なので、自分で試着をしながら選びました。お母さんもすごく気に入ってくれて、ずっと着ています。
ジャーナル スタンダードでは、他にどんな買い物をされましたか。
ちょっとお値段が高かったんですが、旧原宿店のインポートコーナーにあったシャツがすっごい可愛くって、悩みに悩んで買ったのを憶えています。そのコーナーに置いてあったバッグやシューズも気になって見ていました。それと同じお店のメンズコーナーでは、お父さんにプレゼントでお財布を買わせてもらったこともあります。
思った以上にジャーナル スタンダードとのエピソードがありますね。まさかご両親とのお話まで聞けるとは!
そうなんです。本当によく愛用していたお店だったので、無くなってしまったのが残念で(笑)。ジャーナル スタンダードはシンプルで使いやすい服がたくさんあるし、なによりおしゃれ。それに可愛いし、かっこいい、そんなイメージがあります。
これからは是非、表参道店をご利用ください! さて、時間も差し迫ってきたので最後の質問を。川栄さんにとってファッションとはなんぞや、を聞いて〆たいと思います。
ファッション……そうですね。自分が着る服って自分で選べるじゃないですか。自分に合ったものや、自分をより良く見えるものを探せる、自分でコーディネートできる楽しさが、ファッションにはあるなと思います。そんな感じですかね?
川栄李奈の定番品
CHANELのイヤーカフ
高価なものは普通に買うよりも、何か目標を達成した時に買いたいなという思いがあり、ひとつの作品が終わるたびに自分へのご褒美として記念に買うようにしています。このCHANELのイヤーカフはずっと欲しくて、朝ドラの『カムカムエヴリバディ』の撮影が終わったときに絶対買おうと決めていたものです。普段、あまりブランド物を買ったり身につけることはないんですが、これはプライベートではほぼ毎日つけているほどのお気に入り。
AUX PARADISの香水
地元の友達から教えてもらった香水で、5年くらい前からずっと愛用しています。いろんな香水を試したんですが、これは匂いが強過ぎず、かといってすぐに消えるわけではないので気に入っています。わたしの周りでもこれと同じ香水を使っている人が多くて、前のマネージャーさんもつけていました。それと、香りで気合いが入るというか、スイッチが入るタイプなんですよ。撮影の時や、お出掛けするときに香水の香りを嗅ぐと「よし行くぞ!」ってなるんです。
FUJI FILMのカメラ
1年半くらい前に、よく撮ってくださるカメラマンさんに「フィルムカメラ何がいいですかね?」って聞いたら「これ使っていいよ」って。返すのはいつでもいいからって貸してくれたんです。それから常に持ち歩いているんですけど、しばらくはフィルムがもったいなくて撮れなくて。でも最近は、せっかくならバンバン撮った方がいいと開き直るようになりました。今日の撮影の合間もたくさん撮りましたし! 借り物だけど、一応わたしの定番です(笑)。