Talk to standard.
vol.4
柴田ひかり
気になるあの人はどんなことを大切にして日々を過ごしているのだろう。“その人の軸=スタンダード”にぜひ迫ってみたい。仕事や生き方、好きなものや定番品から垣間見える、その人だけのマイスタンダード。第4回目のゲストは柴田ひかりさん。時に様々な媒体や広告のモデルとして、時にフィルムカメラで世界を切り取るフォトグラファーとして、時にプロダクトを生み出す作り手として、フィールドを超えて活躍する彼女の芯へと迫る。
Photo_Takuroh Toyama
Text_Shinri Kobayashi
Edit_Ryotaro Miyazaki柴田ひかり
モデル・フォトグラファー
ファッションセンスと独自のスタイルを併せ持ち、SNSでの発信が同世代から支持を集める。モデル活動に加えて、フォトグラファーとしての一面も持ち、ブランドコラボや写真展の開催など、クリエイティブな活動も行う。最近では服作りをスタート。
Instagram:@shibatahikari
YouTube:Peep inside head旅先の風景、
気のおけない友達をフィルムで。モデル、フォトグラファーの他、最近は服を作ったりと様々な顔を持つ柴田さんですが、どの活動が一番最初ですか?
モデルが最初で、高校一年生の時にスタートしました。その時の同級生の影響でカメラも始めました。
柴田さんには、以前フォトグラファーとしてこんなビジュアルを撮りおろしていただきました。
この記事は、色々な方からすごく褒められるのでうれしいです。
使うカメラはフィルムですか?
基本的には。デジタルはあまり詳しくないので、フィルムしかできない。フィルムも勉強したわけではないので、基本的なことはなんとなくわかるんですけど、あとは感覚です。持っている機種ですが、マキナ67とマミヤ6という中判カメラの他、コンタックスのT2、サムライというハーフサイズカメラ、ニコンのF3の5つです。中判は重いので、主に仕事用です。持ち歩いて友達を撮ったりと生活の中で使うことが多いのは、コンタックスT2。
影響を受けたフォトグラファーは誰ですか?
ニューカラー派のフォトグラファーたちが好きで、影響を受けているかなと思います。アンリ・カルティエ・ブレッソン、ウィリアム・エグルストン、スティーブン・ショアとか。
Instagramを拝見すると、旅先の写真がたくさんありますね。
旅行が好きで、コロナ禍以前は年二回は旅をして、写真を撮っていました。適当に電車に乗って、知らない街で降りて、写真を撮ったりすることも。人に指摘されて気づいたんですが、例えば誰もいない食べ終わった後の食卓とか、人の痕跡が写っている写真が好きですね。
わざわざ何かを見に行くような観光ではなく、そういうスタイルで旅を楽しめるのはいいですね。
旅に出ると、全てが新鮮で、なんでも撮れるんですよね。都内だと見慣れすぎてて逆に目に入らない、みたいな。海外だと花が生えているくらいのなんてことない風景にも気づくくらい、敏感になっている感覚があります。
新鮮に感じるものに対して、シャッターを切ることが多いんですね。
一人で行き慣れた場所に行っても、何かを撮りたいとはならない。慣れって怖いなと。不感症になっている気がします。
友達が被写体の写真も多いですよね。
当たり前ですけど、同じ日ってないじゃないですか。その時に何を話したか、どんな匂いがしたとか、何を見たとか、そういうものを後で思い出したいということもあって撮っているんですかね。
丈やサイズ感には、
結構自信があります(笑)ファッションは、モデルになる前からお好きですか?
はい。小学生くらいから気に入ったものを毎日着る、みたいな性格だったんですけど、仕事で興味の幅が広がりました。
中でもデニムがお好きとのことですが、それ以外ではどんなものやスタイルが好きですか?
Tシャツです。デニムは、自分の定番(=スタンダード)で、ローウエストやハイウエスト、バギーシルエットなどその時々で好きなものは変わってきましたけど、ずっと変わらず好きなもの。Tシャツも同じで、グラフィックTだったり、白Tだったりいろいろ寄り道してますけど(笑)、結局Tシャツ自体が好き。
スタイルとしてはどんなカテゴリーになるんでしょうか?
ストリート...ということになるんでしょうけど、その言葉でまとめたくはないんですよね。ストリートスタイルというより、ストリートから生まれるものが好き、という感覚ですね。どこの誰が作ったものが好き、こだわりがすごくあるわけじゃないけど、そういうものにときめくというか、言い方がすごく難しいんですが、身近に感じられるものが好きですね。
メンズものの中でも、女性が着られるものが好きだと伺いました。
男の人が着ているサイズをそのまま着ると私にはダボっとしちゃって着られている感が出てしまうんですが、シルエットを自分に写す感覚で自分に合うサイズ感で着られると、綺麗に着られるということは意識しているかもしれません。
確かに今日お持ちいただいたデニム3本とも、同じサイズ感ですね。
丈やサイズ感には、結構自信があります(笑)
デニムで、好きなブランドはありますか?
リーバイス®︎一択です。今日のデニムは全部リーバイス®︎。自分で言うのもアレですけど、デニムが結構似合っちゃうんです(笑)。お尻の形とか、しっくりくるんですよね。
最近、ご自身でプロダクトを作られているようですね。
いまのところ服だけですが、それ以外のものも色々作りたいなと。学生時代は服飾を学んで、その後も生産管理などの仕事を教わっていたこともあり、多少の知識はあるので、作りやすいのはやっぱり服なんです。スウェットやフーディとかをこれまでに作って、いま取り組んでいるのは、パンツ類。老舗の生地屋さんに協力してもらっています。夏には、Tシャツも出したいし、アウターも作ってみたいですね。ブランド名は、最初はつけなくていいかなと思っていたんですが、やはりあった方が何かと便利なのでつけたいですね。
一個に集中した方が
いいのかもと悩んだ時期も。開設された「Peep inside head」というYouTubeチャンネルでは、柴田さんのプライベートが色々と拝見できますね。
週一本アップを目標にしています、この間のは一ヶ月ぶりでしたが(苦笑)。一週間ってこんなに早かったっけ? っていうくらいのめまぐるしさです。編集も自分でやるので、自分がやれば全部形にできるけど、当然自分がやらないと誰もやってくれない。全部自分次第なんです。
SNSはそれぞれ使い分けされていますか?
理想ではあるんですが、InstagramよりYouTubeの方が生活感が出しやすいので、ライフスタイルをアップしていきたいなと。Instagramはフォローさえしておけば表示されますけど、YouTubeはわざわざクリックしないと見れないものなので、親密度が高いものにしたいですね。YouTubeのビデオを作ることがモチベーションの一つになっています。
ご自身のことを発信することは怖くないですか?
YouTubeで自分のことを発信するのは怖いというか、まだあまりさらけ出せてない感覚なんです。これは言ったらダメなのかなとか考えちゃって、あまりうまく話せていません。あとは、その場に一人でカメラに話しかけるのが一番ハードルが高い(笑)。自分しかいないのに気まずい、みたいな。たまに我に返ると、もう終わりです(笑)。
それでも、アップすることは楽しいんですよね。
YouTubeのコメントとかも読んでますが、基本楽しいですよ。あとは、写真とも似ているけど、あとで映像を見返すとその時のことを思い出すんです。だから、おばあちゃんになってから見たらめちゃくちゃ楽しいだろうなと。友達を見送った時のVlogをたまに見返すんですが、いつもうるっとしちゃいます。写真と同じで、思い出なんですよね。
モデル、写真、服作り、SNSと幅広く取り組んでますが、どれかを専門でやるという考えもあるんですか?
それで一時期悩んでいたし、どれか一個に集中した方がいいなとは今でも思います。モデルも、フォトグラファーも、服を作る人もその道のすごいプロが周りにいるし。でも、自分の性格上、しょうがないし、それが強みだよと人に言われて、軸のないことが軸みたいに、シームレスに色々なことをやっていくのが自分なんだろうなと最近思えるようになったんです。
柴田ひかりの定番品
マキナ67
名機と言われる中判カメラ。露出計や蛇腹などどこかが壊れていることが多いんですが、地方のカメラ屋さんでいいコンディションのものを5年前に見つけ出しました。ピントも自分で調整するので、瞬間を撮るようなものではないけど、綺麗に撮れるし、失敗しないんです。
リーバイス®︎のヴィンテージデニム
どれもリーバイス®︎で、サイズ、丈もドンピシャのものばかり。年代や生産地にはそこまでこだわりはなくて、自分に合うかどうか。この3本はダメージ具合、色の濃淡などがそれぞれ違うので、着こなしもそれぞれ変わります。古着のデニムは、前の所有者の痕跡が残っているのも面白いですね。