- Talk to standard.    - vol.10 - 高田純次 - 気になるあの人はどんなことを大切にして日々を過ごしているのだろう。“その人の軸=スタンダード”にぜひ迫ってみたい。仕事や生き方、好きなものや定番品から垣間見える、その人だけのマイスタンダード。第10回目のゲストは、“適当男”の異名をもつ、高田純次さん。息苦しい世の中で、そのいい加減、言い換えると“良い加減”なそのキャラクターに憧れるひとが後を絶ちません。そのイメージとのギャップも随所に見え隠れしつつも、サービス精神たっぷりのインタビューをどうぞ。 - Photo_Reiko Toyama 
 Styling&Grooming_Yumi Nabeta
 Text_Shinri Kobayashi
 Edit_Ryotaro Miyazaki - 高田純次 - 俳優、タレント - 1947年生まれ。いくつかの劇団を経て、1977年に劇団「東京乾電池」に参加。サラリーマン時代は宝石鑑定士の資格を取り、ジュエリーデザイナーとして働いたことも。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』などで人気を博し、現在は『じゅん散歩』などでお昼の顔としても認知され、俳優など活動は多岐に渡る。 - 「天才・たけしの元気が出る 
 テレビ!!」の裏話。- 高田さんの異名といえば“適当男”ですよね。そう呼ばれるようになった経緯はなんですか? - 適当というのは、和田秀樹先生と(2006年に)本を出したんだけど、題名を何にするかということで、なんか『適当論』(ソフトバンク新書)というタイトルにしちゃったの。あの本が発端だね。でも“適当”を辞書で引くと、そこそこうまく当てはまるというような意味だったから、インパクトねえなと思いつつ、適切というともっといいイメージにはなるけど、適当の方が新書っぽいからと。いまだと俺は聖人君子みたいに思われてるのかな(笑)。まあ、どう捉えてもらってもいいんだけどさ。  - ハンドニットカーディガン【ARTESANIA】¥29,700(税込)
- プリントTシャツ【TAKE IT】¥8,800(税込)
- デニムトレイルバルーンパンツ【JOURNAL STANDARD】¥11,000(税込)
- レザーサンダル【BIRKENSTOCK × JOURNAL STANRDARD】¥22,000(税込)
- ※ジャケットは、参考商品です。
 - 高田さんの“適当”というのは、軽妙で気楽なキャラクターというパブリックイメージゆえだと思うんです。という意味では、後悔とは無縁の存在なのかなと。 - いやいや、毎日後悔してますよ。後悔しない日なんかないもんね。 - 本当ですか。例えばどんなことを? - 人生でいえば、大学受験の失敗からずっとだよ。人間って年取ってから、あのとき勉強しておけばよかったとかと思うじゃない? 当時はもう遊ぶ方に夢中だったけど。どっかの大学には入れるだろうという甘い考えでね。結局一浪して美術系大学を受験したけど、ことごとく不合格で、けど失敗して、東京デザイナー学院に入ってね。そんなだから、若いひとには早いうちから自分のやりたいことを決めたらいいよと言いたいね。それがなかなか難しいんだけど。  - でも、高田さんは20代で劇団員になるなど、やりたいことを突き進んできた印象です。 - 役者さんになりたいと思っていたわけじゃないからね。ポスターを書かせてくれたのが入り口で、ちょっと端役をやってくれと言われて、訳のわからないままやって。このお芝居は面白いのかなってところから入ったから。 - 専門学校卒業後、一時は、ボーナスもちゃんともらえるサラリーマン生活を送っていたけど、新宿で(役者の)ベンガルたちに会っちゃって、一緒に飲んでね。それがきっかけで、カミさんにも相談せずに脱サラして、劇団「東京乾電池」に入ったの。その後、同い年のサラリーマンと同じ給料をもらえるようになったのは、40歳くらいかな。  - 一躍お茶の間で人気者になったのが、テレビ番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(以下、『元テレ』)への出演ですよね。 - 『元テレ』は、確か(ビート)武さんと『オレたちひょうきん族』で劇団員枠の一人としてちょっと使われていたことが理由だったんですよ。後で聞いた話なんだけど、外ロケに行く企画に東京乾電池から誰かをってことで白羽の矢が立ったんだけど、俺かベンガルかどっちにするか迷ったらしくて。「高田さんは調子がよさそう」というのと武さんとコントみたいなことを3回くらいやっていたから、じゃあってことで。ただ俺と兵藤ゆきは、ギャラが少なくてね。3年くらいたってからようやく相談して、ギャラを上げてもらいました。   - それでも『元テレ』には、11年間も出演されていました。 - それまではロケなんてしたこともなかったから、今日もどこ行くんだろうって楽しくてしょうがなかった。それがあったからやって来れたね。最初の頃は、武さんもみんなロケはいかなかったけど、5、6年くらい過ぎたあたりから、ロケが面白そうだということになって、みんなが外に出るようになったんだよね。  - ロケはやりとりに反射神経が必要だと思うんですが、高田さんの自由かつ、丁々発止のやりとりは、あれはアングラ劇団時代に培われたんでしょうか? - 初期の東京乾電池は台本がなかったからね。2人か3人組で喫茶店で話しながらアイデアを出していただけだから。台本をちゃんと作り始めたのは、5年ぐらい経ってから岩松了が入った後だね。とにかく『元テレ』のときは、ディレクターと一緒にどうしたら最初の3分間を面白くできるか、それだけに賭けていた。自分たちのコーナーが5分くらいで、最初だけは一発か二発なにかをして内容に入るというパターンがあって、それをどう作るかを考えていたからね。 - 服に合わせて 
 体が緩んできてしまう。- もちろんテレビでの高田さんのイメージですが、すごく小綺麗にしていらっしゃるなと思ってましたが、今日の私服を拝見して確信しました。 - いまのひとたちのファッションは本当に自由で楽しそうだなと思うけど、俺はもう年だから、清潔に見える服をなるべく着てりゃいいかぐらいの意識だね。  - 高田さんがファッションに目覚めたのはいつ頃ですか? - (雑誌)『平凡パンチ』とかを読んで、中学時代だったと思うんだけど、アメリカのアイビーリーグとかが出てね。すべてがアメリカという時代だったから。日本でも石津謙介の「VAN」とか憧れだった。とにかくアイビーとか、いまと違って、どう着るかまでルールが決まっていたから、個性もそんなになかった気がする。  - プライベートでも、ジャーナル スタンダードのショップにお越しくださっていると聞きました。どんなイメージですか? - 作りが少し大きめな感じがして、着やすい。俺が若かった頃はジャストサイズで着ていたから。いまのようなたっぷり系は、体型もある程度ごまかせるし。後は、時代もあると思うけど、いい色を出すようになってきたなと。  - コーデュロイパンツ【JOURNAL STANDARD】¥12,100(税込)
- ※ジャケット、シャツは、参考商品です。
  - 確かに最近はサイジングも緩くなっているし、ベルトレスのイージーパンツも人気です。 - 究極的には、俺のような年齢のひとにはジャージの上下が一番楽でいいんだけど、ジャージだとやっぱり体が緩んでくる。ベルトを締めずにいると、だんだん体がそっちに慣れてくるんだよね。やっぱり人間の慣れは、恐ろしい。どれだけ好きな女の子でもだんだん目が慣れてきちゃうというのは、ありますもんね。うちはカミさんに慣れすぎちゃって弱っちゃうんだけど(笑)。 - 例えば、どんな車でも1、2年乗っていると慣れてきて飽きてきちゃう。人間は飽きる動物だから、最初に手に入れた瞬間が一番楽しいんだよね。だから、飽きてきたときにどうするか。自分の気持ちを鼓舞するためにね。 - 適当男の 
 ぜんぜん適当じゃない話。- ちょっとまだ話しててもいい? テレビの『笑っていいとも!』でレギュラー(編集部註:1982〜1984年の間レギュラーを務めていた)を担当していたときに、ダンス全国大会で、1〜3位になったひとたちにダンスを披露してもらう企画があってね。そのときにアメリカの有名な振付師とダンサーがスタジオに来て、その3人に先行してプロの踊りを見せると。   - で、やったんだけど、アメリカのプロ2人の後に踊った日本の3人の踊りがすごいよくてね。アメリカの2人は、まさかそこまでだとは思ってなかったから、最後にもう一度ダンスさせてくれっていうんだけど、生放送だから、それはできないと。結局、その2人は舐めて、手を抜いたからそうなっちゃった。やっぱりね、舐めちゃ駄目なんだよね。なぜかこのことは強く覚えている。   - “適当男”のぜんぜん適当じゃないエピソードとしてすごくいい話ですね。 - さっきも飽きる話はしたけど、なるべく飽きないように長く生きたいとはいえ、どうせ人間は飽きるものだから、そのときにどうするか。俺もちょっと人生に飽きたから、そろそろ外国人になろうかなと(笑)。どうだろう、東南アジアあたりで暮らすってのは(笑)。 自分の顔はそんなに変わらないと思うから、場所を変えるか、自身を変えるか、何すりゃいいんだろうね。  - 難しいですね。飽きないように上手にできるひとは、フレッシュでいられるのかもしれないですね。 - みんな飽きないようにしているから、新しいアイデアが出てくるんだろうね。俺なんか、朝目が覚めるかどうかの問題だからさ(笑)。もう75才になると生き方がどうこうという話じゃなくて、どうやって死ぬかってことになってくる(笑)。50才前後の働き盛りの人であれば別だけど。  - 後、歳をとるとチャレンジ精神が薄くなってくる。ついこの間も、75才で堀米君ぐらいに滑れたら人気が出るだろうと思って、スケボーでもやろうかなと(笑)。見てる分には簡単に見えるんだけど(笑)、俺が手すりの上を滑ったら、股を打ってすぐ死んじゃうでしょ(笑)。あれもやっぱり、4、5歳ぐらいの小さい頃から始めているだろうから、やっぱり若い頃から何かこれというものを見つけるのがいいよね。 - 高田純次の定番品 
 - CHANELのオードトワレ - これは、加齢臭を薄めるためにつけている。もう手をあげるだけでも、加齢臭がわーって香ってくるもんね(笑)。この匂いが好きなのと、タイプの女の子がこの香りいいねと言ったから(笑)。 
 - Garminの腕時計 - 時計はわりと好きだね、真面目にはっきりと時間がわかるのは時計ぐらいしかないから(笑)。これは走行距離や心拍数が測れるらしいんだけど、使いこなせないから、時刻を見るだけ。頑丈なのもいいね。 
 - 横尾忠則のライター - 神戸の「横尾忠則現代美術館」に行った時に見つけて、買ったもの。横尾さんは、昔からずっと好きで、アトリエにお邪魔して「Y字路」の初期作品を購入したこともあるくらい。ずっと描き続けている、あのバイタリティはすごいよね。 


