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こだわりの部屋 vol.5
天窓主宰/プロデューサー 大滝洋之

部屋というのは誰しもがくつろげる居心地の良い空間。特に何かを表現したり、これまでにないものを生成する人たちの“こだわりの部屋”とはどのようなものなのでしょうか。そこで、シーンの最前線で活躍しているクリエイターの部屋を訪ねて、ライフスタイルの根幹を紐解く連載企画の第五弾。前回出演した料理研究家の茂庭翠さんからの紹介で、ウェブとリアルを横断しながら日本の文化やものづくりを伝える活動を中心に、空間プロデュースから映像制作、ウェブ制作など幅広く手掛ける大滝洋之さんが登場。
 

 


ヴィンテージ家具、植物、民芸品...、
こだわりを凝縮した静穏な空間。

「これまでずっと東急東横線沿いに住んできたんですが、田園都市線沿いにもすごく興味があったんです。ここの場所は都内へのアクセスも便利だし、駅前の商店街もにぎやかでとても気に入っているんです」と話す大滝さん。日本の旧き良き文化やものづくりを多くの人々に発信し、空間プロデュースなども手掛けるなど多岐に渡り活動しているクリエイターの自宅は、多様なカルチャーから切り取られた品々で溢れていました。

  • 玄関は部屋の印象を決める場所でもあるので、整理整頓を常日頃から心掛けています。家の鍵や定期入れなどごちゃごちゃしがちなものは「puebco」で見つけたアクセサリーケースに。その横には「sen」の真鍮ベースや、知り合いの木工作家さんが手掛けたオブジェなど数点を置いています。

  • 仕事から帰ってきてひと息ついたり、読書をするリラックススペースを部屋の片隅に設けています。この座椅子はフランスの60年代のヴィンテージもの。後ろに置いてある照明はイタリアのデザイナー、パオロ・リザットの作品です。それと、ラグにもこだわっていて、座椅子に置いている2枚は福岡のライトイヤーズで購入しました。ブラウンは泥染め、ネイビーは藍染めしたもの。その横に置いてあるヨーロッパのヴィンテージの箱は細々したものを収納しています。その上にアクセントとして、京都の「みたて」という花屋で買った盆栽を飾っています。
  • この本棚は、枠組みを京都にいる職人さんにオーダーして、杉の木の板を購入してボードとして引いたオリジナル。いまの家に長く住む予定がなかったので、こういったコンパクトになるタイプのものを探していたんです。陳列してある本はデザイン、民芸、小説など様々です。読書が趣味なので、本はめちゃくちゃ買っちゃうんです(笑)

    また、10年ほどDJを都内でやっていたので、いまでも音楽はよく好んで聴いています。近年、市民権を得た音楽配信サービスも利用しますが、本当に良いと思った作品はCDを買っています。自宅では特にアンビエントとかジャズといった心が落ち着くジャンルをリピートしています。

  • 本棚横にあるこのテーブルは日本の古家具ですね。「pejite」というヴィンテージ家具店で購入しました。そこにも蚤の市で手に入れたフラスコや金物などをラフに置いてあります。

  • 以前に植木屋をやっていたということもあり、植物を生活の一部に取り入れています。ダイニングの日当たりが良い場所に大小の植木を置いていて、こまめに手入れしています。とても手間がかかるんですが、生活をする上でなくてはならない存在ですね。

  • ダイニングに置く椅子は絶対にこだわりたいなというのが当初からあって。オフィスから帰ってきて、自宅でも作業するときに、やすらげる座り心地のいいものを探していたんです。それを前提に色々な家具屋さんをリサーチしていたときに、デンマークを代表する家具デザイナーのウェグナーの作品に出会ったんです。座面に貼られた強度のあるペーパーコードや背もたれの曲線美に惹かれました。テーブルはイギリスの家具ブランド、マッキントッシュのヴィンテージ。このモデルもコンパクトに折りたたみができるんです。元々、家具が好きなので色々なショップやカフェをリサーチしては、地方へ行くたびについつい足を運んでしまいます。

  • 家具と同じく民芸品にもこだわりがあるんです。ただしまっておくのはもったいないので、器や皿などはキッチン横にオブジェ的な感覚で飾っています。特に気に入っているのが、赤と黒の重なっている漆塗りのお椀。石川県輪島で作家活動をしている赤木明登さんという作家のものです。また、お椀になる前の木の生地や岩手県二戸市の伝統工芸である浄法寺漆器などもカウンターに並べています。
  • キッチンにはコーヒーを淹れるスペースを設けています。新鮮なコーヒーを飲みたいということもあり、豆を瓶に保存して、酸化させないように気を使っています。仕事へ行く前にサクッと飲むことが多いですね。

  • 休日はキャンプや山登りに行くので、ギアに関してもこだわりがあります。仕事で新潟県の燕三条によく行っているんですが、そこにはSnow PeakやUNIFLAME、CAPTAIN STAGといった国産アウトドアブランドの本社があるんです。鍛治、金物の街ということもあり、金属製のアウトドアグッズをたくさん取り揃えているので、現地で思わず購入してしまうんです。
     


    Photo_Shintaro Yoshimatsu