
こだわりの部屋
vol.2 ファッションコンサルタント・DJ
田口 Jackie 岳佳
部屋というのは誰しもがくつろげる居心地の良い空間。特に何かを表現したり、これまでにないものを生成する人たちの“こだわりの部屋”とはどのようなものなのでしょうか。そこで、シーンの最前線で活躍しているクリエイターの部屋を訪ねて、ライフスタイルの根幹を紐解く連載企画の第二弾。前回出演したJOURNAL STANDARDプレスの久世さんからの紹介で、ファッションコンサルタントやDJとしても活躍している田口岳佳さんが登場。
随所に自然を取り入れた至高の安らぎ空間。
「湘南に居を構えた理由は都会から距離を置いて、自分のペースで仕事をしたかったから」と語る田口さん。28歳の時に岡山から上京した時にせっかくなら面白い場所に住みたいと思って、まずは国道134号線沿いにある江ノ島水族館の目の前に住んで、それ以降神奈川のビーチエリアを拠点に生活しているそう。自宅も湘南ローカルならではのスローライフが展開されていました。


- 靴棚にはこだわりのスニーカーをずらりと並べています。昔からずっとローテクものばかりを集めていて、コンバース、プロケッズ、トップサイダーの3ブランドのみしか履いていないんです。時代に左右されない普遍的なデザインが好きですね。80年代初頭ぐらいのものから現行のものまで様々あります。

- 玄関をはじめ、部屋の至るところ飾っているスワッグは展示会とか催事などでもらってきた花を自分でアレンジするんです。まずは逆さに吊るして、乾燥させて色を抜いて。その花の種類の雰囲気にあったやり方で作っています。


- このソファはブランドが不明なんですが、アメリカのもので50年代後半から60年代のはじめのものぐらいのヴィンテージです。ゆったり寛ぎたいときはここに座ることが多いです。ちなみに、ぼくの家の家具のほとんどは横浜の家具屋「THE NOON」で購入しています。渋いセレクトばかりでおすすめです。

- 一人で食事をするときやノートPCで作業する際に多用しているテーブルは茅ヶ崎の家具屋で買いました。59年に製造されたアメリカのLANE(レーン)というブランドのものです。ちなみにテレビ棚もその横に置いてある棚もLANEのヴィンテージです。木の味わい深い色味がすごく好きなんですよね。ペイズリー柄のラグは、地元の岡山にいたときに購入したもの。年代などは不明ですが、かなり古いものです。

- 自宅に置いてある家具で唯一ヨーロッパ製の白い棚は10年ぐらい前に購入したもの。何回か引越しをしたときに捨てられなくて、いまでも所有しています。中に飾っているフィルムカメラはニコノスというブランドのもので、水中で使用できる代物。主に海に入るときの遊び用としてラフに使っています。


- 趣味が料理ということもあり、自炊することが多いです。外食したときに感動した美味しいものを分析して、コピーすることもありますね(笑)。また友人などを招いて、料理を振る舞うホームパーティ的なこともしています。

この棚はACME Furnitureで購入したヴィンテージ。ボトルや調味料などを収納しています。結構存在感が強いので、冷蔵庫の隣にひっそりとレイアウトしています。友人と家具をトレードすることもたまにあります。

- ここの部屋を決めたきっかけのひとつが、畳なんです。カジュアルな寝室として使いたくて、リビングとの境目である扉をすべて外して、全部繋がるようなフラットな空間を創りました。無印のベッドにスノコを立て掛けて、天板のようにアレンジを加えたところもポイントです。
生活の中に溶け込む
こだわりの作業場。



- リビングの隣には、オフィスも兼ねたスペースを設けています。主にパターンを引いたり、生地にスチームをかけたり、ミシンで縫い物をしたり様々なことをここで行っています。いまは友人のMIYAGI HIDETAKAのバンダナを用いた定番のシャツの制作を行っています。ぼくも縫製が得意だったので、ブランド創業当初からサポートしています。デザイナーの宮城君とは同い年で、お互い刺激を与えられる関係なんです。他にも飲食店のオリジナルグッズや床屋のバーバーシャツなども作っています。


イラストレーターやフォトショップを搭載したデスクトップ型のPCで服づくりに関する作業を行っています。後はデスクでデザイン画を描いたり、服のデザインもここで考えていますね。

- 壁には趣味のサーフボードを設置しています。朝や夕方にいい波があれば、鎌倉や鵠沼、辻堂の海に年中行っています。基本的にロングボードかフィンレスのスポンジボードがメイン。上から60年代後半に生産されたゴッデスという茅ヶ崎のブランドのもの、その下がフィンを入れずに遊び用として使っている88surfboardsのスポンジボード、さらにその下が70年代のBING SURFBORDSのボード、一番下が67年に生産されたHansen Surfのボードです。


ここは服にアイロンをかけるスペースです。業務用のハイパワーのアイロンを使っていて、下から一気にバキュームしてくれるんです。これがあるだけで、とても仕事が捗るんです。その隣に置いてあるミシンも工業用で、足元の板を踏んで動かすクラシックなものを使っています。


- ファッションのお仕事と並行して、DJ活動も行っています。50~60年代のヒルビリーやカントリーミュージック、ロックンロールをメインにヴァイナルでかけることが多いです。当時の希少な7インチレコードを集めるのもハマっています。DJを始めたきっかけは、去年ぐらいに近所のDJバーでお酒を飲んでいたときに心地よい音楽が流れていたんです。“いい音楽”があるだけでこんなに酔っ払えるんだと感心しちゃって。元々高校生ぐらいの時にこう行った音楽イベントに遊びに行ってたんです。それ以降、色々な音楽に傾倒してきましたが、ロカビリーやロックンロールに再び戻ってきた感じですかね(笑)。出演しているイベントは、ぼくの流す曲調に合うファンクやジャズを流すDJの方々とジョインすることが多いです。いまは月一で藤沢にある8HOTELでイベントを行っています。9月22日、10月31日、11月21日、12月21日にあるので、ぜひ多くの方に足を運んでもらいたいです。
Photo_Shintaro Yoshimatsu