’80~’90年代のイタリアのモードシーンの思わせる、大胆なプロポーションと艶っぽさ。ただ、それをそのままなぞらないのが、このブランドの面白いところです。デザイナーはマレーシアに生まれ、ニューヨークとパリで育ち、現在はロンドンを拠点に活動。いくつもの都市を通過してきた感覚が、ミラノモードをどこか軽やかに見せています。
今回で2シーズン目となるセレクトから選んだのは、ネイビーのダブルジャケット。タキシードを思わせるショールカラーに、斜めに配した大きめのウェルトポケット。ラペルにはダブルステッチを走らせるなど、フォーマルで構築的なディテールを備えています。
一方で、仕立ては芯地を極力省いたアンコン仕様。滑らかなウール100%の生地と相まって、肩からストンと落ちるような柔らかなフォルムを描きます。それでも、当時のモードをそのまま再現したようには見えない。ニューヨークとパリで育ったバックグラウンドがそうさせるのか、どこか力が抜けていて、日常着としてさらりと羽織れる。ミラノの艶っぽさに、現代のリラックス感を重ねた一着です。
【HERON'S GHYLL / ヘロンズ・ギル】
2020年に創業したHeron’s Ghyll 。デザイナーであり創業者のMark Francisはマレーシア・クアラルンプールで生まれ、ニューヨーク、パリで育ちました。複雑な文化の交差する街で生まれ育った彼ならではのコスモポリタンなテーラリングを提案します。クラシックファッションの歴史の中で十分に評価されなかったムードを再評価し、ユニークで異文化間の美学に根ざした男性的なエレガンスの説得力のあるビジョンを提示することを目的としています。全てのガーメントはロンドンの小さなアトリエで生産されています。
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