体のラインをしっかりと際立たせ、立ち姿を美しく映すボクシーなシルエット。
〈HERON'S GHYLL(ヘロンズ・ギル)〉のノーカラージャケットには、80年代後半から90年代前半の〈ジョルジオ アルマーニ〉のスーツを思わせる力強さと、サヴィル・ロウ由来の端正なクラフトマンシップが同居しています。
けれど、このジャケットの魅力は、単なる英国的な仕立ての良さだけではありません。どこか国籍を特定できないような、さまざまな文化が静かに混ざり合った空気が漂っています。その背景には、デザイナーのマーク・フランシス氏の出自があります。クアラルンプールで生まれ、ニューヨークとパリで育ち、さらにバイヤーとして数多くのブランドを見てきた彼。複雑な文化が交差する街々を渡り歩いてきたからこそ、彼のテーラリングには、どこかコスモポリタンな奥行きがあります。
生地には、リネンの名門・ベアードマクナット社製のアイリッシュリネンを使用。縫製や糸に至るまで英国製にこだわり、サヴィル・ロウのエチケットを律儀に守っています。
けれど、その佇まいは決して堅苦しくありません。着込むほどにリネンはハリを増し、深いシワが刻まれ、擦れた部分から少しずつ色が抜けていく。仕立ての良さを保ったまま、少しずつ持ち主の生活に馴染んでいくようなジャケットです。
今回はあえてスーツではなく、ノーカラージャケットだけをオーダーしました。というのも、このボクシーなシルエットなら、白いパックTにチノパン、足元は〈レッドウイング〉のアイリッシュセッター、そんなラフなアメリカンカジュアルにも、すっと馴染むと思ったからです。
構築的な英国のジャケットに、色気のある繊細な素材、そしてどこか現代的な抜け感。真面目に作られているのに、着こなしは自由でいい。そんな余白を持った一着です。
【HERON'S GHYLL/ヘロンズ・ギル】
2020年に創業したHeron’s Ghyll 。デザイナーであり創業者のMark Francisはマレーシア・クアラルンプールで生まれ、ニューヨーク、パリで育ちました。複雑な文化の交差する街で生まれ育った彼ならではのコスモポリタンなテーラリングを提案します。クラシックファッションの歴史の中で十分に評価されなかったムードを再評価し、ユニークで異文化間の美学に根ざした男性的なエレガンスの説得力のあるビジョンを提示することを目的としています。全てのガーメントはロンドンの小さなアトリエで生産されています。