Salvatore Piccolo for L'ECHOPPE
イタリアへ行く前々日に、古着屋でESSOのユニフォームを見つけた。ガソリンスタンドのエッソ。フラップポケットのついたストライプのシャツ。縫製は雑でチープだけれど、なぜか襟にカラーステイが入っていたり、サイドの裾に三角のマチがついていたりして、ネクタイでも締めるの?というような不思議な組み合わせ。ワークシャツとドレスシャツのあいのこのようなこの一枚を、サルヴァトーレ・ピッコロに渡した。
ピッコロは、形・仕様をシグネチャーとして貫くのではなく、あらゆるシャツに柔軟に対応しながら、そこに他にはない色気を与えるブランドだと僕は捉えている。だからこそ、質がいいとはいえないドレスワークシャツが、ピッコロの手にかかったとき、どんなものに仕上がるのか。それが見たかった。この提案は決してわかりやすいものではないし、ごく個人的な嗜好に基づいている。でも、ピッコロさんご本人はとても喜んで、快く引き受けてくれた。
イタリアの服には、「着る」というより「纏う」に近い感覚がある。はるか昔はローブを纏っていて、そこに洋服の文化・技術が入ってきた歴史がある、という話を聞いた。例えばフルハンドのシャツはイタリア発祥の文化で、他の国にはなかなか見られない。強度や合理性を考えたら決して取らない手法。アメリカやイギリスとは明確に違う。立体的に構築し、体に沿わせながら、適度に美しい空間・余白を作る。その感じ。イタリアのジャケットにも纏うという感覚があり、そういった発想と歴史からなのだろう。これらは服飾の文化の中でも特に異質で、魅力的だ。美しさ、エレガントさ、そういうことのためだけにやっているという純度の高い背景の元で、ワークとドレスの要素を持ったシャツは、どんな仕上がりになるのか。誰よりも自分が楽しみにしていた一着です。(バイヤー・金子)
【Salvatore Piccolo / サルバトーレピッコロ】
デザイナーのサルヴァトーレ ピッコロオーダーがシャツで培った経験を活かし、2007年にブランドを立ち上げ、2008年春夏コレクションからスタート。最高級の着心地を追求し、生地のクオリティとディティールにこだわり、何よりも顧客の声に耳を傾けることによって、現在のスタイルが構築されていった。その魅力はナポリの裁縫の伝統に則った、クラシックでフォーマルな仕立てやフォルムを基調としながらも、現代的な解釈が加えられたスタイルに裏付けされている。
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モデルサイズ:身長:183cm 着用サイズ:L