僕と仕事と服と

THEIR DAILY LIFE, DAILY CLOTHES

僕と仕事と服と

仕事や暮らしのあり方がどんどん多様化していく今の時代。ならば日常に欠かすことができない「服」にも、1人1人がもっと “自分らしさ”を求めたっていいはずだ。

そこで本連載では、ファッション業界をはじめ様々なシーンで活躍するクリエイターやアーティストたちのライフスタイルや仕事との向き合い方に焦点を当てながら、彼らの「デイリーウェア」としてジャーナル スタンダード レリュームの最新アイテムを紹介する。

5者5様のこだわりのスタンスから、日常と服、仕事と服との理想の関係が見えてくる。

chapter.six TAISUKE NAKAMURO muroffice DIRECTOR

JOURNAL STANDARD relume 2022 Autumn/Winter Special Issue

「普遍性の中に潜む“違い”を大切にしたい」

「冬はとにかくダウンをよく着ていますね。東京の冬って、外は寒いけれど室内に入ると暖かい。その寒暖差に実はダウンがすごくマッチしていると言いますか、中にベースレイヤーやミッドレイヤーをいくつか重ねながらこまめに体温調節する必要があるアウトドアフィールドとは違って、都会の日常では長袖のカットソーやシャツ1枚にさっとダウンを合わせるくらいのスタイルがいちばん快適だと思っています」

都市生活におけるダウンの利便性について、まずはそう語ってくれた中室太輔さん。PRオフィス「ムロフィス」のディレクターとして、ファッションブランドのみならず数々の人気アウトドアブランドのPRも手がけている氏だけに説得力は十分。着用しているのはそのうちのひとつ〈デサント オルテライン〉。岩手県の旧水沢市(現・奥州市)の工場の名を冠した「水沢ダウンジャケット」は、縫製ではなく特殊な熱圧着によってダウンパックを形成することでダウンの抜け落ちや水の侵入などを防ぎ、裏面のシームテープ加工で防水性と耐久性をさらに高めたハイテクプロダクト。その新作「クレバス」を、定番の「マウンテニア」と同素材を用いてアップデートしたのがこのレリュームの別注モデルだ。

中室さんの仕事のベースは原宿に15年来構えているオフィス。そこを拠点に、都内各所を周りながら日ごとに様々な職種の人たちと会う。仕事相手はPR業務を請け負うクライアントからビジュアル制作をともにするクリエイター、メディア関係者まで多岐にわたるが、とりわけ近年はブランディングから手がけているバッグブランド〈モノリス〉や、ビジュアルディレクションにも携わるアイウェアブランド〈アイヴァン〉のショップが並ぶ青山骨董通りを忙しなく駆け回る日が増えている。そして出張で国内各地へ出向くことも多い。このダウンはそれらすべてシーンに難なくフィットするのだという。カジュアルにもビジネスルックにもさらりと合わせた、気負いのないスタイルが印象的だ。

「他のアウター同様にダウンジャケットもオーバーサイジングが今の主流。そんな中、デサント オルテラインのダウンは身体のラインにきれいにフィットしながら保温性を逃さない独自のシルエットが何より魅力です。機能面で言うと、保温性もさることながら、両サイドのジップがベンチレーションの役割を果たしてくれる点も便利ですね。それに、あえてブランドロゴを引き立てていない匿名性のあるデザインもさまざまなクライアントと日常的に仕事をしている自分にとっては非常に着やすいポイントのひとつなんです」

多岐にわたる仕事をエネルギッシュにこなし、それゆえ人望も厚い。ファッション業界に中室さんの存在を知らない人はほとんどいないと言っても過言ではないほどだ。多忙極まる日常のバイタリティの源になっているのは、やはり「服」との関わりだ。

「東京でも旅先でも常に仕事のためのヒントを探しているせいか、僕にはファッションや美味しいご飯を食べること以外にこれといった趣味もない(笑)。世代的なこともあるかもしれませんが、本当にプライベートと仕事の境目がないんですよ。全部ごちゃまぜにしちゃえみたいな感覚もありますし、自然と仕事の中で息抜きができているところもあります。何よりこうして趣味の延長線上でずっと仕事ができていること自体がすごくラッキーなことですから、忙しさはむしろありがたいことだと思っています」

まさに服と仕事と日常とがひとつの線で繋がっている中室さん。“装い”がライフスタイルにもたらしてくれる豊かさを実感しているからこそ、服への愛着は尽きない。

「若い頃は自分自身をアピールするためのピースという側面が強かったのでとにかくいろんな格好をしましたけれど、年齢を重ねて選ぶアイテムはずいぶん固まってきましたね。ただ、そんな中でも、他の人からすると同じようにしか見えないようなスタンダードなアイテムにもきちんと自分にしかわからない“違い”がありますし、そういった自分だけの楽しみを見出し、所有していたいという密かな欲求は今でも強いです。実は僕、その日一度は選んだ服に途中で納得がいかなくなったり、急に大事な打ち合わせが入ったときなどは家に引き帰して着替えたりもするんです。それほど自分にとって服は、自信をもって仕事や人と接するために欠かせないツールでもあるんです。このデサント オルテラインのダウンはその点でもメリットが大きい。このソリッドで汎用性に優れたデザインに、悪い印象を抱く人はまずいないと思いますから」

【DESCENTE ALLTERRAIN】
別注 水沢ダウンジャケット“CREVASSE”
¥115,500 税込

デサントオルテライン水沢ダウンシリーズの新作「クレバス」を、素材を同シリーズの人気モデル「マウンテニア」の素材に変更した別注モデル。横身頃が大きく開くサイドジップやデュアルジップベンチレーションなど機能面のディテールは残しつつ、光沢を抑えたマットな生地に変更したことでよりカジュアルに楽しめる1着に。

発売日:11/25(金)
JOURNAL STANDARD relume 全国店舗、公式オンライン「ベイクルーズ ストア」にて販売

中室 太輔

1981年東京都生まれ。〈エディフィス〉の販売員やプレスを経て2008年に独立し、PR・ブランディングオフィス「muroffice/ムロフィス」を設立。同社の代表兼ディレクターとして〈デサント オルテライン〉や〈ザ・ノース・フェイス〉をはじめ様々なブランドのPRを担当しながら、近年はバッグブランド〈モノリス〉、アイウェアブランド〈アイヴォル〉などのコンセプト設計やブランディングも手がけている。

Photo:Teppei Hoshida
Edit&Text:Kai Tokuhara