毎日帰る場所だからこそ、家は心がホッと休まる居心地のいい場所にしたい。人との出会いと同じく、家具やインテリアとの出会いも、「家づくり」には大切なタイミングです。この企画では、“こだわり”を凝縮した空間で、素敵な暮らしを楽しむ4組のクリエイターの方々のご自宅をご紹介。第3弾となる今回は、都心部ながらも閑静な住宅街も広がる場所に建つマンションを購入し、フルリノベーションを施した島田裕生さん、未来さんご夫妻のご自宅へ伺いました。お互いミッドセンチュリーデザイン好きが興じて集めたという、大小・国籍問わないヴィンテージ家具で揃えた空間は圧巻の一言。まるでクラシカルホテルのような空間に、二人のこだわりが凝縮されていました。
Photo_Yuko Yasukawa Text_Aya Ueno Edit_Ryotaro Miyazaki
島田裕生さん
京都出身の32歳。代官山に店を構えるバーバー「BARBER BOYS」にて、理容師として活躍中。アメリカンミッドセンチュリーをこよなく愛す。趣味は写真集収集とサッカー観戦。好きな写真家はブルース・ウェーバー、応援しているサッカーチームはイタリアの雄、ユヴェントス。
Instagram:@yu_shimada未来さん
東京生まれ、東京育ちの32歳。インテリアとアニメや漫画が大好きなインドア派。自宅で30鉢以上の観葉植物の育成、編み物、バレーボールなど多様な趣味を持つ。最近、特にハマっているのは友人を集めて開催しているマーダーミステリー。
Instagram:@a___bemi様々なカルチャーを纏った
ヴィンテージ家具が
巧みに合わさる。裕生さん:なるべく都心に近い方が良いぼくと、遠くてもいいから部屋の広さが欲しいという妻の意見が両方叶う物件はないかと、一年くらい毎日不動産のサイトを見ていました。そこで見つけたのが、このマンションで。広さもあるし、駅からはすこし遠いものの、割と都心へのアクセスも良いんです。元々リノベーションする予定だったので、中がくり抜かれていて、弄りやすそうだったのも決め手の一つですね。最初は玄関とリビングが扉で分かれていて、部屋も2つあったんですが、内装をお願いしていた会社の提案で、扉や壁を取り壊してワンルームに。最初は海外のように土足で生活してみたくて、床をあえて躯体のままにしていたんですが、冬は寒いし、床も歪で不便を感じ、しばらくしてやめました。
未来さん:絶対やめたほうがいいって止めたんですけどね(笑)。
裕生さん:そうそう(笑)。その後、玄関の横にウォークインクローゼットを作るタイミングで木目やタイルを貼って、そこからは土足生活をやめました。あと、天井にはインダストリアルな照明が付いていたのですが、白く塗ってベーシックなものに変えました。裕生さん:自宅のコンセプトを挙げるとしたら、アメリカのミッドセンチュリーがベースです。こういうテイストを好むようになったのも、自分のファッション思考から来ていて。昔から古いアメリカンカルチャーが好きで、ヴィンテージを軸に作られている服をよく着ているんです。なので、自ずと選ぶ家具もリンクしているものが多くて。
未来さん:わたしは初めて購入したドレステーブルがきっかけです。そこから、その雰囲気に合うものを集めるようになって、次第にミッドセンチュリーが好きになりましたね。裕生さん:ぼくたちの家はアメリカンテイストではあるんですが、棚とか、リビングテーブルもそうですが、意外とヨーロッパのものも多くて。ミッドセンチュリーのものって世界中いろんな要素をミックスして、レイアウトできるメリットがあると思っています。例えばこの空間にイサムノグチがあっても、そんなに違和感がないですし。
未来さん:ドレステーブルに置いている巨大なカレンダーもイタリアのブランドです。これもスペースエイジっぽいデザインが可愛くて好きなんですよね。裕生さん:写真集が大好きで、好きなものを集めていたらいつのまにか膨大な量に(笑)。これまで本棚は3回くらい買い替えてるんですけど、写真集をもうこれ以上増やさないように、自分の中で1番欲しい本棚を買おうと、カイ・クリスチャンセンというデンマークのデザイナーの作品を香川のお店で見つけました。この棚が好きなので、今後は収まる分しか購入しないと自分の中で決めています。そして、ぼくの1番好きな写真家はブルース・ウェーバー。中でもお気に入りの写真集は、『O Rio de Janeiro』です。本棚の横に飾っている写真も彼の作品で、柔術家のヒクソン・グレイシーを撮りおろしたもの。世界に10枚しか現存しないエディション付きで、30歳になった節目に、何か一つ自分に頑張っていいものが買いたいと思い切って購入しました。ブルースはとにかく男性をクールに魅せるのが上手いんです。ぼくも職種は違えど、理容師として男性をカッコよくする仕事をしているので、リスペクトをしています。
未来さん:昨年、念願のアメリカン・コッカー・スパニエルを飼い始めました。わたしは猫か犬をずっと飼いたかったので、とても嬉しかったです。この子を迎え入れて、もうすぐ1年経つんですが、以前よりさらに自宅にいる時間が増えました。名前はフェデリコ、略称はフレッドです。
裕生さん:ぼくが応援しているユベントス所属のフェデリコ・キエーザ選手から取りました。1月23日生まれで、妻と同じ誕生日だったんですよ! それもこの子を飼った決め手になりましたね。
未来さん:そんな彼が気になっているウィッカーチェアは、ACME Furnitureのもの。グレーのファブリックとラタン素材のバランスとクラシックなルックスがとても素敵。クッションも柔らかくて座り心地が抜群なんですよね。フレッドが噛んだりしてダメにならないか心配です(笑)。犬用のレザーソファも、同じくACME Furnitureのもの。今後はここがフレッドの定位置になって欲しいのですが…。未来さん:リビングに置いている3シーターのソファは、絶妙にフェードした色味が気に入ってます。中古の家具屋で即決でした。
裕生さん:ぼくが選んだらこの色にはしないと思ったんですが、部屋に入れてみたら意外と家具ともマッチして。クッションはアメリカンカレッジのスーベニアですね。
未来さん:わたしたちは欲しいものがあったときに、お互いの意見が合致したら、折半するんです。ただ、どちらかだけの意見だった場合、全額負担するというルールを設けていて(笑)。このローテーブルは、わたしがどうしても欲しくて、負担しましたね。でもいまは…気に入ってるでしょ?
裕生さん:そうだね(笑)。 家にテレビがないので、メインはプロジェクターです。ご飯を食べながら鑑賞する時なんかもすごく便利なんです。裕生さん:アメリカの病院や図書館、刑務所といったパブリックスペースでは壁がツートーンになってることが多く、その背景に影響を受けて自宅も塗り替えました。このカラーリングは、キャリーで物を運ぶ際、壁に何かぶつけても白じゃなくてグレーだと目立たないというのが起源らしいです。フレッドが爪で引っ掻いちゃったところを自分で塗り直したので所々色が違うんですけどね(笑)。
裕生さん:写真集と同じくコレクションしているのが、ブロンズのスタチュー。すべてヴィンテージのもので、10年くらい前から日本のアンティークショップやebayでコツコツ集めました。キャビネットの上に飾っているのは、BAYCREWSのリユースショップ「RePLACE」で購入したもの。1950〜60年代はウォールスカルプチャーという立体の壁掛けアートみたいなものが流行っていて、もともと真鍮のタイプがベーシックなんですが、これは黒く塗られてEDIFICEのショップのレジ裏に飾られていたみたい。
未来さん:これはわたしも気に入っています。もともとウォールスカルプチャーが欲しくて、ゴールドのようなギラギラした素材よりもシックなブラックっていうのもポイントです。未来さん:リビングのテーブルは、スコットランドのヴィンテージ。エクステンション仕様で、伸ばしたら230cmくらいまで伸びます。自宅に人を招くのが好きなので、10人くらいが収まるテーブルを探していて、こちらを見つけました。わたしはバレーボールクラブの主催をしていて、そのメンバーや、わたしの姉妹、友人を呼んで、料理を食べたり、ボードゲームをしたり。なので、家にはチェアもたくさんありますね。木材の色味は統一しています。
裕生さん:玄関とリビング、寝室に飾っているポスターはイギリス人アーティストのDavid Hockneyのもの。 昔から彼の大ファンで、玄関のものは88年製、リビングのものは85年製、寝室のものは92年製とそれぞれ当時のミュージアムやギャラリーの展示の際に、ポスターを買うようにしています。写真のオリジナルプリントは頑張れば手が届く存在ですが、絵はオリジナルを購入することが中々難しいので、ポスターという形で落ち着いています。未来さん:フレッドのケージの隣に、新しくACME Furnitureのキャビネットを置いてみました。犬のアイテムってすごく嵩張るし、尚且つ細かいものが多いので困ってたんですが、この中に収納するとすっきり収まります。キャビネットと一緒に購入したランプは、シェードで温もりがあるし、傘じゃなくてストレートなスタイルなのに加えて、意外とスリムなので幅も取らないんです。
未来さん:キッチンツールはステンレスで揃えています。食器は日本の作家さんのものとアメリカンなものを、料理のジャンルによって使い分けていますね。
裕生さん:ぼくはHULLという釉薬のかかったマグカップをよく使っていますね。さっき妻が言ったアメリカン食器というのもこのHULLのシリーズのことで、お皿もたくさんあります。70年代くらいに、向こうのダイナーでポピュラーに使われていたらしいです。
冷蔵庫に貼っているチラシは主に海外のものです。何かと便利なので、いつも旅行へ行くと、どっさり持って帰るんです。それとマグネットの大半は下北沢にある「Sounds Good」というアンティークのおもちゃ屋さんのもの。ついつい増やしてしまい、妻には嫌がられています…。
未来さん:わたしは何もないシンプルな方が好きなんですけどね(笑)。未来さん:寝室のようなパーソナルスペースはあまりオープンにしない空間だと思うんですが、我が家は住居感をなるべく減らして、ホテルのような雰囲気にしたくて。あえて扉を付けず、ベットも真ん中に置いています。施工時にコンセントも両サイドに設けてもらったのですが、思った以上に使い勝手が良いんです。
裕生さん:ベットの前にある巨大なサークルラックは、10年くらい前に南町田のアウトレットへ行った時にJOURNAL STANDARD FURNITUREで購入しました。後々分かったことなんですが、ぼくの友人が企画したもので、ヴィンテージのサークルラックの型を取り作ったプロダクトらしく、通りで本物のヴィンテージと区別がつかないんだなと思いました。場所もとるし、正直なことを言うとメリットよりデメリットの方が多いんですが、この重厚感がとても気に入っています(笑)。裕生さん:このサンスペースは本当に気持ちのいい日光が入るんです。
未来さん:観葉植物は、30鉢くらいはあるかな...。観葉植物は越冬するのが難しく、いまの時期にできるだけ負担をかけないようにするのが本当に大事なんです。植物があると部屋の雰囲気も明るくなるので、暖かくなったらまた色んなところに置いて楽しみたいですね。
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