会期:2024年8月30日(金)〜2024年10月14日(月)
場所:art cruise gallery by Baycrew’s
東京都港区虎ノ門2-6-3
虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F SELECT by BAYCREW’S内
観覧料:無料
〈art cruise gallery by Baycrew’s/アートクルーズギャラリーバイベイクルーズ〉の企画展を紹介する『虎ノ門アート通信』。第4回は、五月女哲平による作品展『GEO(ジオ)』をレポート。時間の経過、それ自体がアートをアートたらしめること。表出しているものは積層の“結果”にすぎないこと。五月女さんの絵画を見ると、“生活”と“創作”はよく似た活動であることが分かってくる。
Photo_Satoshi Nagare
Text&Edit_Nobuyuki Shigetake
〈art cruise gallery by Baycrew’s(以下、art cruise galery)〉では、10月14日(月)までの期間、アーティスト・五月女哲平の個展『GEO』が開催中。まずは、五月女さんのプロフィールから。
1980年栃木県生まれ、2005年東京造形大学美術学部絵画科卒業。2007年の初個展以来、絵画作品を中心に立体、写真、映像などを織り交ぜた作品を発表。近年は、絵具の積層構造の考え方を展開しながら、アクリルや写真、ガラス、シルクスクリーンなどの異なるメディウムを介在させた作品制作にも取り組んでいる。また、コミッションワークにも精力的に取り組んでおり、バンド・KIRINJIのシングル『時間がない』、アルバム『愛をあるだけ、すべて』のアートワークなど、ミュージシャンのCDジャケットのデザイン、または本の装丁などでも五月女さんの作品を見ることができる。
本展『GEO』は、そんな五月女さんによる既存の作品と、本展のための描き下ろし作品とが混在した作品展である。つまり、共通したテーマのもとキュレーションされた作品群ではないが、当ギャラリーのアートディレクター・おおうちおさむさんは、五月女さんの作品たちからある2つの概念を読み取り、本展を『GEO』と名付けた。
ひとつは五月女さんの作品の特徴でもある、幾何形体を意味する“Geometric”。もうひとつが“Geogryph(地上絵)”、“Geodedic(測地)”、“Geology(地質学)”などの、地球に根ざした概念。ミニマルな要素のみで構成された絵画は極限まで情報が絞り込まれているが、無機質というよりはむしろ有機的。人工的というよりはむしろ自然の原理を想起させる。
変形キャンバスに立体物、大型絵画と多彩なバリエーションの作品で構成される本展だが、実際に現地で作品と対峙すると、すべての美術作品に共通して言えることではあるが、画面上で見るのとでは随分と印象が異なることに気が付く。
幾何形体で構成されたミニマルな絵画たちは、実はプリミティブな手法のもと、アウトプットされているそうだ。たとえば、気持ちがいいほどまっすぐ描かれているように見える線は、マスキングテープや定規などを用いずにフリーハンドで描かれているため、よく見るとわずかに揺れている。
また、本展の多くの描き下ろし作品はキャンバスに描かれており、キャンバスという素材の性質上、絵の具を用いて布に染色していくように絵画が構築されている。そのため、平面的に見える塗りの部分も、実は複数色の絵具を積層した結果の色であり、キャンバスのフチには、塗り重ねられた色の履歴(の一部)を見て取ることができる。これは紛れもなく絵画の完成までにかかった時間を物語っているものであり、一枚の絵が完成するまでに、さまざまなプロセスを経ていることに改めて思いを馳せることになる。
デジタルアートとはまた異なる鑑賞感を得られる五月女哲平『GEO』展は、10月14日(月)まで。スマホやPCには写し出されない、アートの本質や面白さを、是非とも虎ノ門で体感してみてください。
五月女哲平『GEO』
会期:2024年8月30日(金)〜2024年10月14日(月)
場所:art cruise gallery by Baycrew’s
東京都港区虎ノ門2-6-3
虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F SELECT by BAYCREW’S内
観覧料:無料
今月も〈art cruise gallery〉の“おとなりさん”から「これはアートだ!」とビビッときたモノたちをご紹介。ギャラリーに足を運び、“アート脳”のままお買い物なんて、財布の紐が緩んじゃいそうだ! いずれも販売は〈SELECT by BAYCREW'S〉の店頭のみ。売り切れ御免。 気になったなら、いますぐ虎ノ門へGO。
28,800円(税込価格)
〈Herman Miller〉社の『イームズシェルチェア』でも特に人気の高い、エレファントハイドグレーのカラーリングを落とし込んだ、コレクター必見のポラロイドカメラ。セルフタイマーや二重露光、2レンズのオートフォーカスシステムなど、使い勝手の良さとデザイン性の高さが高いレベルで融合した、手元に置いておきたくなる、嗜好性の高い日用品です。イームズトイを象徴するジオメトリック柄のリストストラップ付き。さらに、USB-Cで充電が可能なのも嬉しいポイント。
80,080円(税込価格)
〈ADADA〉のハンドメイドソフトトイには1点ずつ名前、性格、ストーリーが決められており、見た目の愛らしさとあいまって、絶妙に購買意欲をくすぐられる。左はブタの『Helmut』くんで、右はネズミの『Hector』くん。この2匹はどんな性格で、それぞれにどんなストーリーがあるかは、買ってからのお楽しみ。