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公認心理師・伊藤絵美さんに聞く、女性ならではのストレスとの上手な付き合い方

公認心理師・伊藤絵美さんに聞く、女性ならではのストレスとの上手な付き合い方 #emilyweek_journal

  • “女性は何かとストレスが多い...”そう感じることはありませんか? 生理や妊娠・出産、子育て、更年期など、女性はライフステージの中で心身が大きく変化します。

    仕事でも、家庭との両立を求められたり、男性と同等の評価を得られなかったりと、社会的にもストレスを感じる場面が少なくありません。そんな女性たちの状況を、臨床心理士の伊藤絵美さんは、「みんな本当に頑張っている」と労います。うつ病など心の不調にもつながりやすいストレス。できるだけ早めに気づいて、自分で対処したいものです。 

    そこで今回は、「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」を訪ね、所長である伊藤先生に、女性ならではのストレスについて伺うとともに、ストレスと上手に付き合っていくためのセルフケア「コーピング」について教えていただきました。

  • ▶︎ 女性ホルモンの変化もストレスに。女性ならではの心の不調

  • ―― 女性は、生理、結婚、妊娠・出産、子育て、更年期、介護、仕事...とさまざまな場面でストレスがかかることが多いなと感じます。伊藤先生は、女性ならではのストレスはあると思いますか?

  • 女性の場合、どうしても女性ホルモンの影響を受けるので、男性に比べると年齢による心身の変化がダイナミックですよね。ストレスというと外的なものをイメージしがちですが、そうした自身の体の変化ひとつひとつも、大きなストレスになります。

    私はいま更年期真っ只中なのですが、一時は生理周期がガタガタに崩れて、いつ来るかわからない状況になってしまって。いつも気が気じゃないですし、持ち物や服選びもすごくストレスに感じました。生理はあったらあったで大変だし、なくなるときもこんなに大変なのかと、女性の苦労をあらためて実感しました。

    体のことだけでなく、日本の社会構造的にも、女性の方にストレスがかかる場面は多いように思います。仕事でも男性と同じように評価されなかったり、子育てと家事を両立しなきゃいけなかったり......。でも、多くの女性が忙しくてそれを大変と感じる余裕もない。みんな本当に頑張っていて、えらいなと思いますよ。

  • :「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」所長、臨床心理士の伊藤絵美先生

  • ―― 先生に相談にくるクライアントの中には、そうした女性ならではのストレスや心の不調を抱えていらっしゃる方もいますか?

  • PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)だけに悩んでいるというよりは、それにプラスして過食やうつの症状があり、主治医から紹介されて来談される方が多いですね。そうした方は、婦人科で処方される薬と並行して、ここではカウンセリングなど精神面でのケアを行います。

    ほかに女性に多いのが、夫婦関係の問題を相談にくる方。夫のDVやモラハラ、育児と家事の負担が妻に集中して夫のサポートがないなど、それは女性だけが努力してセルフケアしても解決に至らない問題です。こうしたケースでは「自分が悪いんだ」と思ってしまう方も多いんですけど、そうじゃないとはっきり伝えると共に、家族対応という形で夫との間に入ることもあります。

  • ▶︎ まずは自分のつらさに気づくことが、セルフケアの始まり

  • ―― PMSなど生理前の心の不調に悩むクライアントには、どのようなアドバイスをするのでしょうか?

  • 「モニタリング」と言って、自分を見つめるもう一人の自分の視点を持つことを勧めます。今日の体調はどうかな?メンタルの状態はどうかな?と、日々自分を観察することで、いま自分がどれだけつらいのか、あるいは幸せか、という「ものさし」を持つ。これがセルフケアのためにはとても重要です。

  • 2つのものさしから直感的に感じた数値により、現在の自身の心身のコンディションを確認する。

  • PMSで悩んでいる人の場合、自分の気分の上がり下がりを把握することができれば、「そろそろ危ないぞ」と、前もって備えることができる。たとえ生理前に死にたいほどにつらくなってしまっても、これは特殊なことではなく、「そういう時期なんだ」と気づいてケアできればいいのです。そうすれば、自分自身に翻弄されなくなり、生理期の気分の波もうまく乗りこなせるようになります。

    また、PMSやPMDDの方は、自律神経の乱れが影響して精神的につらくなることも多いので、アロマを使った呼吸法など、体からアプローチをすることもあります。人によっては即効性があるんですよね。ここでは、そうしたストレスケアの方法や、自分を助ける手段「コーピング」も伝えています。

  • ▶ ぬいぐるみにアロマ、推し活...今日からできるストレスコーピング

  • ――「コーピング」について詳しく教えてください。

  • 「ストレスに意図的に対処する」ということですね。無意識に行う行為ではなく、自分がそのつらさに気づいた上で行う「自分助け」。逆を言えば、自分を助けるという意図があれば、どんなことも「コーピング」になり得ます。ため息をつくだけでもいいし、空を見上げるだけでもいい。その行為によって自分がホッとしたり、癒されたりすればいいんです。そして、自分なりの「コーピング」をたくさん持っているほど、自分をケアする手段をたくさん持っているということになります。

  • ―― 今日からでもできるおすすめのコーピングをいくつか教えてください。

  • 本来であれば、その人が自分自身で見つけるというのが一番いいのですが、いくつか例をお伝えしますね。一つ試して効果がなければ、また別のコーピング、また別の......と試していって構いません。自分の中でケアされた感覚が持てるようなアイテムや行為を探してみるといいと思います。

  • ●好きな香りを嗅ぐ
    香りは無視できないもの。嫌なことや痛みに注意が向いてしまっているとき、嗅げば必ずそっちに意識が向くので、強制的に気分転換になります。自分が好きなアロマは落ち着くためのアイテムとしておすすめです。

  • ●ぬいぐるみを抱きしめる
    お気に入りのぬいぐるみを抱っこしてヨシヨシしてみると、自分がヨシヨシされているような感覚になります。自分を自分で抱きしめながらトントンと叩くのも、心を落ち着かせる効果があります。

  • ●書き出す
    「外在化」と言って、自分の思っていることや、ぐるぐる考えていることを、見える形に書 き出してみるのは、精神面にとってとてもいい効果があります。私もTwitterの鍵アカウントで毒を吐くことがあるのですが、自分なりの吐き出す場所をつくってみるのもいいかもしれません。

  • ●メイクやネイル
    メイクやネイルも、好きな方はケア効果があると思います。特にネイルは、目に入るたびに気分が上がるし、いい気持ちになれますよね。ケアしているという実感も得られやすいかもしれません。

  • ●推し活を楽しむ
    推し活も、気分転換や、楽しい気持ちになれますよね。それがペットなど、アイドルなどの人でなくとも構いません。愛情を注ぐ対象があるのはコーピングになると思います。

  • ●着心地のいいものを身につける
    女性の場合、合わない下着による締め付けや痛みなど、身に着けるものがストレスになることもありますね。肌に心地いいものを身につけることもセルフケアの一つだと言えるのではないでしょうか。

  • :伊藤先生のオフィスにはたくさんのアロマオイルが常備されている

  • ▶ 「私たちよく頑張っているよね」と互いにケアする

  • ―― 自分で取り組むコーピングだけでは心もとないとき、どんなメンタルケアの方法があるでしょうか?

  • 本人のしんどさ次第だと思うのですが、セルフケアでも耐えられないと思ったら、誰かの助けが必要になります。私もカウンセラーですが、コロナ禍には精神的にしんどくなることもあり、カウンセリングを受けていました。病院や施設に電話をして予約を取ってとなるとハードルが高いですが、今はオンラインやメールでもカウンセリングを受けられるところがあります。自分の時間に合わせることができるので、おすすめですよ。

    カウンセリングではなくとも、友達とただおしゃべりすることも一種の「外在化」になります。いま、心理療法の世界で「セルフコンパッション」という考え方が注目されているのですが、その一つの概念が、人間の共通性。「結局みんな生きるのはつらいよね」とか「みんな大変だよね」と、人間の共通性を見出すことで、つらさが緩和されていくというものです。女性が体験するつらさは、共通して多くの女性が感じることでもあると思うんですよね。最近は「互助会」という言葉も話題ですが、「つらいよね、私たちよく頑張っているよね」と言い合えることが、ケアにつながります。

  • ▶ しんどさを否定しないで。自分の中の小さな子どもに耳を傾けてあげよう

  • ――「セルフケア」という言葉は理解できても、なかなかそれを行動に移せない、どうしたら良いのかわからない…という人も多いと思います。どうすれば自分に意識を向けたり、自分を大切にしたりできるのでしょうか?

  • 「セルフケアって何だろう?」と頭で考えるよりは、小さなコーピングをたくさんやってみて、「ケアする実感」を持つ方が早い気がします。

    女性に限らずですが、「こんなことでつらいなんて思ったらダメ」と、自分を否定してしまう人が多いのですが、そうすると余計につらくなってしまうんですよね。まずはつらさを認めることが何より大切です。例えば、子育てをするなかで「産まなきゃよかった」なんて気持ちになってしまったとき、「そんなこと考えちゃダメ」ではなくて、それくらい私はしんどいのだと認める。自分のしんどさを否定しないこと、しんどくてもいいのだと受け止めるようにしてほしいのです。

    自分の中にいる小さな子どもをケアするようなイメージで、その子の声に耳を澄ましてみてください。「どうしたの?」と問いかけていくことで、お腹が空いているのかな、寒いのかな、疲れたのかな、トイレに行きたいのかな……と、内なる子どもの要求がわかってくるはずです。

  • :伊藤先生がいつもそばに置いているぬいぐるみ「チョコっとちゃん」

  • ―― 最後に今、ストレスや心の不調に悩んでいる女性に向けて、伊藤先生からメッセージをいただけますでしょうか。

  • 日本の場合、やっぱり女性に大きな負担がかかることがまだまだ多いですよね。この社会構造が変わることはもちろんですが、女性はもっと怒ってもいいんじゃないかなと思うんですよね。自分が怒っていると気づくこともとても大事なことで、じゃあそれにどう対処していくかを考える。それもケアへとつながっていきます。

    コーピングは、一つ何かするとすぐに楽になるという話ではありません。この苦しい社会のなかでできるだけ心地よく生活していくためにも、コーピングのレパートリーをたくさん持つこと、そして自分助けになる考え方や、サポートしてくれる人など、周りからもいろんなケアをかき集めてほしいなと思います。

  • 伊藤絵美(いとう えみ)

  • 公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。千葉大学子どものこころの発達教育研究センター客員教授。専門は臨床心理学、ストレス心理学、認知行動療法、スキーマ療法。大学院在籍時より精神科クリニックにてカウンセラーとして勤務。2004年より認知行動療法に基づくカウンセリングを提供する専門機関を開設。カウンセリング歴は30年以上。主な著書に『つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。』(医学書院)、『セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク』(晶文社)などがある。(Twitter: @emiemi14)

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  • staff credit
    編集・文 / 秦レンナ
    デザイン / 中森陽子
    企画・ディレクション / 柿沼あき子

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    #EMILYWEEK_JOURNAL では、さまざまなゲストをお迎えし「女性が心地よく生きるには?」について考えます。

  • 日々を頑張るすべての女性の日常を、心地よいリズムに。

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    EMILY WEEKは、女性の体の変化とそれぞれの選択を、心地よいアイテムでサポートします。