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ネパール・ニムディ村へ生理用品を届ける、林田沙織さん《EMILY WEEK journal》

10月11日(火)国際ガールズ・デーにお届けする、さまざまな状況で生理を迎える女性の話。#emilyweek_journal

  • 10月11日(火)は「国際ガールズ・デー」。
    国連で定められた、世界中の若い女性たちが直面している、児童婚、ジェンダー不平等、女性の権利などの問題に取り組むことを社会に呼びかける日です。「EMILYWEEK journal」初回公開となる今回は、国際ガールズ・デーを記念し、ネパール・ニムディ村へ生理用品を届ける活動をされている林田沙織さんにお話を伺いました。

  • ネパール南西部、都市カトマンズから飛行機で1時間、車で3時間という辺境にある小さな村、ニムディ。この地域ではかつて「カムラリ」という少女強制労働の風習があり、2006年に廃止された今もなお根強く残っているといいます。「ニムディプロジェクト」は、そうしたつらい過去を持つ女性たちと、写真家の阿部裕介さんが出会ったことから始まりました。

    日本で集めた化粧品や洋服を届け、メイクアップのワークショップを行ったり、その姿を撮影したり。女性たちの笑顔と尊厳を取り戻したいと、村との交流を深めながら活動してきたといいます。そして活動7年目を迎えた今年7月、阿部さんのパートナーである林田沙織さんの発案で、生理用品(布ナプキン)を届けるサポートもスタートしました。

  • ▶︎ 生理をタブー視する、ヒンドゥー教の過酷な慣習を知って

  • ――沙織さんが、ニムディ村へ生理用品を届けようと思いついたきっかけは何だったのでしょうか?

  • ネパールの「チャウパディ(Chhapadi)」という慣習について知ったことがきっかけでした。チャウパディは、主にヒンドゥー教の信仰の深い地域で行われていて、生理は不浄なものとして、生理期間中の女性を「生理小屋(Chhapadi hut)」へ隔離するそうなのです。隔離中は多くの場合、毛布や十分な食事なども与えられず、過酷な環境のなかで一人過ごします。この慣習は、2005年にネパール全土で違法とされ、廃止に向け取り組んでいるようですが、とくに極西部や山村などでは、いまだに残っているところもあるようです。

    記事では、21歳の女性が、窓のない小屋の中で暖を取るために火を起こし、煙や寒さのせいで亡くなったことを伝えていました。現代にこのようなことが起こっているなんて…と、衝撃を受けてしまって。ちょうどそのとき、私自身、生理中だったこともあって、たまらない気持ちになりました。

    生理用品は世界共通で女の子に必要なもの。私は寄付できるようなお化粧品は持っていなかったけど、生理用品なら、過酷な環境に生きる女の子たちの役に立てるかもしれないと思ったんです。

  • ▶︎ みんなで手作りした30枚の布ナプキン

  • ――どのような生理用品を用意したのですか?

  • 最初は使い捨ての生理用ナプキンを持っていくことも考えたのですが、ゴミ処理や焼却の環境が整っていない現地の環境を考えると、村の環境の負担になってしまうかもしれないと思いました。それに、使い切ってしまったら終わりですよね。そこで、現地にある材料で作れて、洗って繰り返し使える布ナプキンなら、経済的な面でも長期的なサポートにつながると思い、布ナプキンを作って持っていくことにしました。

  • ――布ナプキンはどのように作ったのですか?

  • Youtubeで作り方を調べ、友人の力も借りながら、ミシンでひたすら塗っていきました。

  • : 布ナプキンの中身

  • 作成したナプキンは5層構造になっています。
    肌にあたる1枚目にはダブルガーゼ、2枚目には吸水性と速乾性に優れた機能性生地を入れました。3枚目には水分をしっかり吸水するタオルやガーゼ生地、4枚目は、湿気は通すけど水分は通さないという「透湿性防水シート」を挟み、5枚目にはコットン生地のダブルガーゼを使用しました。

  • : ミシンで布ナプキンを製作中。強力な助っ人となってくれたというデザイナーの友人

  • : 完成した布ナプキン

  • でも、よくよく考えたら、初めて出会う人にいきなり生理用品を渡されたら、村の女性たちもびっくりしてしまうのではと心配になってしまって。現地のコーディネーターの女性に相談してみたところ、「現地の女性たちの生理事情は過酷だから、きっととても喜んでくれるはず」と言ってもらい安心しました。さらに、日本のような洗濯環境のないことを考慮して、汚れが目立ちにくいようにしてはどうかとアドバイスをいただき、柄物の布を使うことに。生理のつらい時期も花柄で気持ちが少しでも和らいだらと、可愛いリバティプリントを選びました。

  • : 布ナプキンの作り方を伝えるワークショップも開催することに。「指差し会話帳」で言葉を調べ、イラストを描いた「布ナプキンの作り方」を用意した

  • ▶︎ 「お姉ちゃんや、妹と作りたい!」村の女性たちとのワークショップ

  • ――ニムディ村では「布ナプキン」の作り方について、ワークショップを行なわれたのですよね。

  • そうなんです。ワークショップを始める前に、「チャウパディ」のことを聞いてみると、みんな「知ってる」と教えてくれて。ニムディ村では生理小屋に隔離されることはないけれど、やっぱり生理期間中には台所に入れなかったり、食事や寝るところは家族と離れた場所で過ごしたりするということでした。これは首都カトマンズでもほとんどの女性が同じだそうで、おばあちゃんやお母さんもずっとそうしているから、それを当たり前のように受け入れている、という印象でした。

  • : ワークショップには、13歳から22歳の女の子たちが参加してくれた

  • 「生理用品はどうしてる?」と聞くと、ほとんどの子は、学校で月に8枚の使い捨てナプキンをネパール政府から支給されているということでした。ただ、8枚では足りないという声や、生理用品は高価で買えないという声も。18歳以上で学校に通っていない女性は、木綿サリーやタオルなどの古布を折りたたんで、手製の布ナプキンとして使っていると言っていました。

  • ――布ナプキンに対してはどんな反応でしたか?

  • みんな「かわいい!」と喜んでくれて嬉しかったですね。参加してくれた子たちのなかには、「お姉ちゃんや妹と作ってみよう」という子もいたし、生理用品は高価で買えず、古布を使っていると教えてくれた21歳の女性は、「自分で作ってみたい」とすごく興味を持ってくれて。

    ただ、布ナプキンは、ちゃんと乾かさないと雑菌が繁殖して逆に不衛生になってしまう心配もあります。日本のように洗濯機や乾燥機はないですし、とくに雨季は気をつける必要があります。「清潔に使ってね」と、ケアについても伝えました。

  • 洗濯やシャワーなどを行うニムディ村の水場の様子

  • 村の女性たちに生理のことを聞いて、ひとつ印象的だったのは、普段あまり肉を食べない影響なのか、みんな経血の量がそんなに多くないということ。それに、生理痛もあまりひどくないようでした。生活環境によってそういう違いがあるんですね。

  • ▶︎ 出会えたから知れた、彼女たちの素敵な美意識

  • ――ニムディ村の滞在中には、ほかにどんなことをしたのでしょうか?

  • 今回のプロジェクトには、ヘアメイクアーティストの白水真佑子さんと、エディターの大司麻紀子さんも参加してくれたのですが、白水さんが女の子たちにメイクをほどこし、その姿を阿部くんが撮影したり、大司さんは、「女の子たちに本を読む楽しさを知ってほしい」と、英語の本をプレゼントしたりしました。

  • : 日本から持ってきたたくさんの化粧品を広げて、好きな色を選んでもらう

  • : メイクをほどこす白水さん

  • はじめはすごくシャイで緊張していた子たちも、メイクした姿を鏡で見るとすごく明るい笑顔になって、何度も鏡を見ていました。

  • 「ハリーポッター」を夢中で読む女の

  • ――実際に村の女性たちと触れ合い、話をすることでわかることが、きっとたくさんありますよね。

  • 彼女たちに出会って感じたのは、化粧品でもお洋服でも、みんな自分に似合う色をよくわかっているということ。ネパールの女性たちは、普段からお手製の鮮やかな色や柄の民族衣装クルタを着ているのですが、“装う”ということがとても自然なんですよね。彼女たちの持っている色彩感覚や美意識は本当に素敵で、感動しました。「ニムディプロジェクト」開始当時の様子はわからないのですが、私が出会った女性たちはみんな、しっかりと自尊心を持って生きているように感じました。

  • : 女の子と本を読む大司さん

  • ▶︎ ネパールから考える、同じ時間を生きる世界の女性たちのこと

  • ――最後に、今回の「ニムディプロジェクト」の活動を通じて、女性の生理や健康について感じたことや考えたことを教えてください。

  • 「チャウパディ」のような古くからある宗教の考え方や慣習をなくすことは簡単なことではないですし、変化していくためにはきっと時間が必要ですよね。まずは、女性だけの問題としてだけじゃなく、男性も一緒に、女性の身体や生理についての知識を知ることがとても大事だと思います。教育の中に組み込めたら一番いいですよね。今回、ニムディ村では女性だけでワークショップをしたので、次回は男性も交えてできたらいいな。

    また、ニムディ村よりも奥地にあるような、山村の地域にも生理用品を届けたいと思っています。ネパール現地で「カムラリ」や「チャウパディ」の問題に取り組んでいる団体があるので、次回行くときは、そういった現地サポーターたちの話を聞いたり、活動にも協力したりしたいと思っています。

  • 今回たくさんの人たちが支援してくださった洋服や化粧品、本、生理用品など、とても喜んでくれました。そのうれしい気持ちがモチベーションになって、彼女たちの興味や世界が広がっていくといいなと思います。

    ネパールに限らず、過酷な環境で生きる人たちが、“いま、私と同じ時間を生きてる”と、心の片隅に置いておくだけでも、もしかしたら普段の生活での選択が変わるのかもしれません。私自身もっと学んで、できることを増やしていきたいです。

  • 林田 沙織

  • セレクトショップでの販売・バイヤーを経て、2018年からSkyrocket 株式会社でWebメディア『Signpost』『DIRECTION』『lute』の企画・編集を行う。日本各地で地域の人々の暮らしやものづくり、自然に触れながら取材を重ねる。( Instagram: @saori8 )

  • < 国際ガールズ・デー記念 SPECIAL NOVELTY >

  • EMILY WEEK 店頭では「国際ガールズ・デー」を記念し、本日より10月31日(月)まで、ティーン向けアンダーウェアシリーズ「TINY(タイニー)」を1点以上ご購入いただいたお客様へ、生理用品も入れられるオリジナルポーチを1つプレゼント致します。ぜひこの機会にご来店ください。

    配布期間:2022年10月11日(火)〜10月31日(月)
    対象店舗:ニュウマン横浜店、ベイクルーズ名古屋PARCO店、大丸梅田店

    ※カラーは3種類よりお選びいただけます。
    ※お一人様1点、一回限りのお渡しとなります。
    ※キャンペーンは予告なく終了する場合がございます、あらかじめご了承ください。

  • ▼ノベルティ配布対象商品

  • EMILY WEEK

    【TINY】オーガニックコットン混 ブラキャミソール

    ¥1,430

  • EMILY WEEK

    【TINY】オーガニックコットン混 ブラキャミソール

    ¥1,430

  • EMILY WEEK

    【TINY】オーガニックコットン混 吸水ショーツ

    ¥3,080

  • EMILY WEEK

    【TINY】オーガニックコットン混 吸水ショーツ

    ¥3,080

  • staff credit
    編集・文 / 秦レンナ
    デザイン / 中森陽子
    企画・ディレクション / 柿沼あき子

  • 日々を頑張るすべての女性の日常を、心地よいリズムに。

  • EMILY WEEK(エミリーウィーク)
    Harmony in Rhythm for Women's daily life.
    "日常を、心地よいリズムに。"
    EMILY WEEKは、女性の体の変化とそれぞれの選択を、心地よいアイテムでサポートします。