
ONCE UPON A TIME
IN ENGLAND
英国生まれのバブアーとワックスドコットン
バブアーが生まれたのはヴィクトリア朝の末期、1894年のイギリス。創業者、ジョン・バブアーの名前を冠したこのブランドはイングランド北東部の港町、サウス・シールズで始まりました。産業革命を経て多くの港湾労働者や漁師で賑わうようになったこの街で、ワーカーたちに向けた外套づくりを始めたバブアー。北海の不順な天候から体を守るための素材として同社が開発したのが、コットン生地に特殊なワックスを塗り込んではっ水性を持たせる、独自のワックスドコットンでした。堅牢であることや作業時に動きやすいことはもちろん、雨の多いこの国では水濡れへの対策が欠かせないものだったのです。できあがった防水ジャケットは革新的なワークウェアとして評判を呼び、バブアーは英国中で支持されるに至りました。第一次・第二次大戦時には軍の依頼を受けて防水服を供給していることからも、当時からこのブランドのものづくりが英国においていかに信頼されていたのかがうかがえます。乗馬用ジャケットとして'80年代に誕生し、現在もバブアーの代表的モデルとなっている"ビデイル"やミドル丈の狩猟用ジャケット"ビューフォート"など、その後も数多くの名作を輩出してきたこの英国の老舗は、その歴史の中で3つのロイヤルワラント(皇室御用達)の栄誉を授かるに至ったのです。

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1世紀以上もの間受け継がれている
往時のイングランドの力強さと上品さ
約100年前、英国連邦へと送られた販売用のカタログ。
雨の中傘をささずに帽子を被ってバブアーのコートを羽織り、
パイプを加えて杖を携えた男性の肖像は、
これぞカントリージェントルマンいうたたずまい。
ブランド発祥の地、サウス・シールドの名もしっかりと掲げられている。
SUSTAINABLE FABLIC
手入れによって増す、
風合いの良さと思い入れ
適切にケアすることではっ水性だけでなく、耐久性も保ってくれるのがワックスドコットンの特長のひとつ。
着ていくうちにワックスは抜けていくが、リワックスを行うことでその機能性を取り戻せて、着用者の愛着もより深まる。
こうして長く着続けられるバブアーのジャケットは、持続可能性の重要度が高まっている現代においても意義深いプロダクトなのだ。

STILL ADDICTED TO BARBOUR
バイヤー大瀧の“ぼくとバブアー”

大瀧北斗
EDIFICE ストアマーチャンダイザー/バイヤー
僕がはじめてバブアーを買ったのは10代の頃で、これまでに定番の
ビデイルやビューフォート、それにスペイジャケットというフライフィッシング用の
モデルまで色々と袖を通してきました。でも、今挙げたモデルはどれも古着で、
特に古いものはワックスドコットンに動物性の油脂が使われていたからニオイが
すごいものも多くて、買ったらまずは着たままシャワーを浴びたりしていました。
あまりにニオイが酷い個体を買ったときには母親にゴミと間違えられて
捨てられそうになったり、濡れたバブアーをベランダに干していたら近隣の人から
苦情が来たりと微妙な思い出も少なくないんですが(笑)、やっぱりバブアーの
あの質感が、昔から大好きなんです。この秋冬のために、僕たちがバブアーに
オーダーしたモデルにはそんな個人的な経験も活きています。生地が薄手で
かなり軽くなっていたり、ベタつきにくくてニオイも気にならなかったりと、
サンプルが出来上がったときはあまりの快適さに感動しました(笑)。
それでもクラシックさや質感の良さはちゃんと残っているから、
昔からのファンの人にもきっと楽しんでもらえると思います。
エディフィスが考えた
今着たいバブアー、2つの形
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BARBOUR FOR EDIFICE
HIKING COAT
この秋冬に登場したばかりのニューモデルを、エディフィスのオーダーによって身幅が大きく、着丈が短めのシルエットにアレンジしたフーデッドコート。とある海外のセレクトショップが過去に行なっていた別注モデルがそのルーツで、タブレットもすっぽりとおさまる大きめのポケットとフードが象徴的な1着。
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BARBOUR FOR EDIFICE
OVERSIZE BURGHLEY
乗馬用モデルとして生まれた人気作を、やはり全体的にゆったりとしたシルエットに置き換えて現代的なボリューム感を持たせたロングコート。着丈は少しだけ短くしたことで着やすくなっていて、ライトウェイトのワックスドコットンの採用も手伝い、見た目に反した軽快な着心地が楽しめるようになっている。