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( 企画した人 )
大瀧北斗
EDIFICE ストアマーチャンダイザー/バイヤー1984年生まれ、宮城県仙台市出身。学生時代からショップスタッフとして働き始め、数社を経て26歳でベイクルーズに入社。28歳からバイイングを担当している。老舗もストリートブランドもイケる雑食派で、現在はエディフィスのメンズのほぼ全企画に携わっている。現在の目標はUK再訪と、ドイツのアディダス本社へ工場視察に行くこと。
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( 教わる人 )
高津戸真吾
EDIFICE プレス1989年生まれ、栃木県出身。ショップスタッフを5年間経験したのち、2017年よりエディフィスのプレスに就任。ドレスセクションの担当が長かったため、テーラードやトラッドなアイテムは大得意だが、その反動で近年はカジュアルな着こなしへのモチベーションが高まり続けている模様。ゴルフがマイブームがだが、スコアが上がらないのが悩み。
CRAFT WITH PRIDE IN UK
直に触れてわかった、本物の英国製
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高津戸
大瀧さん、お疲れ様です!
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大瀧
おつかれさま。どした?
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高津戸
各媒体でアウター特集が始まってきてるんですけど、今季何かイイのありますか?
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大瀧
ありますよー。この秋冬はコート推し。特にマッキントッシュは別注ものをたくさんやらせてもらったから、それとか良いと思う。
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高津戸
あ、マッキントッシュ別注、3型6種類もあるんですね! 今季は特に多いなぁ。
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大瀧
マッキントッシュの別注自体は僕の前任の前任の前任くらいからずっと続いてるけど、ここまでのバリエは多分なかったんじゃないかな?(笑)
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高津戸
改めてこれだけの数を企画したのは何でなんですか?
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大瀧
マッキントッシュって今では日本でも完全にお馴染みだけど、そうなる過程でエディフィス別注がインラインにも影響を与えたりもしてたみたいなんだよね。
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高津戸
そんなことがあったんですか。
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大瀧
うん。昔のバイヤーが「ゴム引きよりケアしやすいウールコートがつくりたいです」って言ってマシンメイドのものを別注させてもらったりとか。ライニング仕様のキルティングコートはエディフィスの発案だったんだって。
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高津戸
そんな過去が……。マッキントッシュってマシンメイドとゴム引きコートをつくりるためのハンドメイドのラインがあるんですね。
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大瀧
そうそう。工場も別で、ゴム引きコートの制作はスコットランドのグラスゴーで、マシンメイドはイングランドのネルソンにある。
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高津戸
あ、もしかして今年の初めに行ってた出張ってここだったんですか!?
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大瀧
そうだよ。どうしても行きたくて、ミラノとパリの間にねじ込んだの。
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年始早々、3週間出張ですもんね。
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高津戸
そういえば出張中も連絡し続けてましたね、僕。
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大瀧
割とちゃんと返してたでしょ?(笑)
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高津戸
まぁ……。で、どうだったんですか? 工場は。
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大瀧
それがスゴかったんだよ! さっきの写真はスコットランドの方なんだけど、働いてる人たちも地域の人とかばっかりで。本物のメイドインスコットランド。
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高津戸
本当に手作業すね!
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大瀧
接着の糊とかも手で塗ってたよ。あと、ベンチレーションのおばあちゃんがヤバい。
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高津戸
……?
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大瀧
脇下にあるじゃん。ベンチレーションホールが。それを打つ担当のおばあちゃんなんだけど、まったく機械使わないのに全部完璧に同じ場所に打ち続けてるんだよ。
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高津戸
マジでコンピューターおばあちゃんじゃないですか(笑)。
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大瀧
だよね(笑)。スゴすぎてずっと見てたよ。
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高津戸
ここではゴム引きのコートを作ってるんですよね?
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大瀧
うん。
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高津戸
今季のエディフィス別注のゴム引き、かなりシンプルでしたけど、何か理由があったんですか?
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大瀧
実はゴム引きでマッキントッシュに別注させてもらうのは10年以上ぶりなんだけど、今回のアイデアはこの出張中に浮かんだんだよね。
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高津戸
何かヒントが見つかったんですか?
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大瀧
うん。マッキントッシュの工場にあったアーカイブがスゴくてさ。昔、生産を請負ってた某メゾンの。
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高津戸
もしや、パリの名門の……!
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そう、そのグランメゾン。このコートが裏地にタッターソールのチェック地を使ってるんだけどさ、それがめちゃ格好良くて。
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大瀧
英国流のコートだけどフレンチらしさも入ってるというか。
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高津戸
それで今回の別注も裏地がチェックなんですね!
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大瀧
そういうこと。逆にそれ以外は極力シンプルにしたくて。裏地だから着ると見えないんだけど、それが洒落てるかなって。ちなみに、その裏地の生地もこの工場で見つけたデッドストックだよ。
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同名で展開されるマッキントッシュの定番バルマカーンコートをアレンジした特別版。
某フレンチメゾンに向けて同社が生産したホースライディングコートから着想を得て、
デッドストックのタッターソール生地を裏地に充てた。1枚袖のように自然なショルダーラインを描く、
ゆったりとしたハギ入りのスリーブを採用したクラシックモダンな1着。
- BUY
MACKINTOSH for EDIFICE "DUNNANS"
¥168,000 +tax
THE CHOICE IS THEIRS
訪れた現場で出会った、イイ素材
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高津戸
また高いところから見つけましたね。
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大瀧
3mくらいの棚の上にあったからね(笑)。指差して「あれ取ってください」って。
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高津戸
なんか、おもちゃ屋さんみたいですね……。工場視察は生地選びも兼ねてたんですね。
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そうだね。特にマシンメイドのコートはゴム引きよりも生地の自由度が高い分、選べる生地が少なかったらどうしようって出張に行く前からすごい心配だったなー。
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大瀧
2、3種類しかなかったらどうしようかな、って。
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高津戸
実際はどうだったんですか?
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めちゃくちゃあった。
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大瀧
たぶん、数百種類以上。
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高津戸
これは……。
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大瀧
むしろ全部見切れるのかが心配だった……。生地を管理してる工場のおじさんがいて、その人が手伝ってくれたんだけど、棚からロールを抜いては戻し、抜いては戻しで。
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高津戸
うわぁ……。
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大瀧
でも、おかげでヤバいの見つかったんだよね。
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高津戸
どんな生地だったんです?
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大瀧
それがさ、質感と柄がよくて選んだら偶然ロロ・ピアーナのウール生地で。
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高津戸
へぇ~!
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大瀧
デッドストック生地だからつくれる着数には制限が出ちゃうんだけど。工場の人からも「お目が高いね」みたいなこと、言われたもんなぁ。
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高津戸
おじさん素敵っす(笑)。生地探し、手伝ってくれてありがたいですね。
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大瀧
「必ず使い切ってくれ。もう棚に戻したくない」って笑いながら言われたけどね。
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高津戸
そりゃそうなりますよね(笑)。そのロロの生地を使ったやつが、この"ダンケルド"ですか?
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大瀧
そうそう。もともとはフロントが比翼仕立てのモデルなんだけど、ボタンスルーに変更してて、オンオフ両方で着られるようにと思って大きすぎないボリューム感にしてる。一番大人っぽく見えるバランスなんじゃないかな。
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高津戸
なるほど。確かに使い回しやすそうです。
工場に眠るデッドストックの中から探し当てたのは
イタリアの名門ファブリックメーカー、
ロロ・ピアーナのヘリンボーン織りのウール生地。
しなやかで厚すぎない素材感は、
さらりと羽織れる膝上丈のバランスも相まって
軽快さを感じさせてくれる。
襟はコートとしてはやや小ぶりなサイズで、
スマートな着こなしが可能。
- BUY
MACKINTOSH for EDIFICE "DUNKELD"
¥127,000 +tax *each
WE'VE NEVER SEEN BEFORE
どうせなら、夢見がちな別注を
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高津戸
最後の1型も、ネルソンの工場ですか?
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大瀧
そうだね。"ブラックリッジ"っていうモデルなんだけど、これは去年のワンシーズンだけマッキントッシュが展開してたモデルで。
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高津戸
それをベースに指定したんですか。よく受けてくれましたね。
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大瀧
うん。「もうできません」って言われるんじゃないかって不安だったけど、お願いしてみるもんだよね。
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高津戸
(笑)。
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大瀧
やっぱり別注は、一番最初はアホのフリして夢見がちな提案しちゃうからなぁ(笑)。「できませんかね??」ってすぐ聞いちゃう。だいたい冷たく返されるけど。
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高津戸
マッキントッシュさんはあったかい人たちだったんですね(笑)。
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大瀧
ありがたいよね。まずは売れそうかどうかとかよりも、「こんなのあったら欲しくないですか?」ってとこからスタートしないと別注は面白くないからさ。
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高津戸
間違いないです。この"ブラックリッジ"、ライナーが外せるんですね。
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大瀧
そうそう! そこに使ったガンクラブチェックの生地をネルソンの工場で見つけたんだけど、めちゃくちゃイイ生地で本当は裏地に使うようなレベルのものじゃないんだよね。
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高津戸
贅沢っすね! でも洒落てるなぁ。
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大瀧
めちゃくちゃ強行軍だったけど、やっぱり自分で工場に行ってなかったらどのモデルもできてなかったら、行けてよかったなぁ。
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高津戸
バイヤーチームに確認することがめっちゃ多い時期だから、プレス的にはハラハラしますけどね……。
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大瀧
ごめんね(笑)。
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高津戸
いいですよ。英国出張、楽しめたみたいでよかったです。
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いや、ホントに行ってよかったよ。
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滞在中も雨が降ってたんだけど、夜遅くなっちゃってまだメシ食えるところはあるかな? ってジャーミンストリートに出たらさ、おじいちゃんが大きいコートだけバサッと羽織って、傘をささずに歩いてて。
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大瀧
あれも多分マッキントッシュだったと思うんだよなぁ。
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高津戸
本当に僕らがイメージするイギリス、そのまんまの光景ですね。いいなぁ。
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大瀧
そうそう。あぁ、やっぱりこうなんだ……ってしみじみ思ったよ。
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いい話ですね~。
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高津戸
話聞いてたら僕も欲しくなってきたんですけど、1着選ぶならどれがいいと思います?
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大瀧
うーん。高津戸くん、どうせいいコート着てモテたいだけだしなぁ。
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高津戸
そんなことないですよ!(笑) 多分……。
ジップで着脱ができるウール地のライニングを設けたモデル。
表地にはレインテック、通称ニューマッキントッシュクロスと呼ばれる2レイヤーのコットンポプリンを使っていて、
ゴム引きに似た質感と、自然になびく柔らかさを兼ね備えている。形は大きめのAラインで、シックなブラックと、
ヘーゼルナッツのような赤みのあるブラウンとの2色展開。
- BUY
MACKINTOSH for EDIFICE "BLACK RIDGE"
¥148,000 +tax *each

