
スケートを始めて、すぐにやめた。街ではショートヘアの女の子ばかりをやたらと目で追ってしまうようになった。ビデオテープが擦り切れるまで観た映画はこれが初めてだった。どれもきっと、Chloë Sevigny(クロエ・セヴィニー)が映画『KIDS』で演じた、ジェニーのせいだろう。
『KIDS』が放映された1995年は世界的にもさまざまな出来事があったが、僕らの先輩たちはどのような日々を過ごしていたのだろう。この夏〈JOURNAL STANDARD〉がリリースした、1995年のクロエを切り取ったフォトTシャツを着た10人とともに、29年前の東京をプレイバック。
Photo_Atsushi Fujimoto
Photo Assistant_Daichi Oi / Yuya Yoshimoto / Kazuma Goto
Text&Edit_Nobuyuki Shigetake
Planning_Yusuke Takayama(JOURNAL STANDARD)


1995年はどんな年でしたか?
「覚えてるわけないだろ(笑)。多分、今とあんまり変わらない。まあ、今よりは遊んでただろうけどさ」
馬場圭介 1980年代に渡英。帰国後、スタイリストの大久保篤志氏に師事。その後、独立。原宿の奥の奥に自身のショップ・Council Flat 1を構える。クロエについては「『KIDS』の印象が強い」。
Instagram:@keisukebaba1007 /@councilflat_tokyo /@royalwarrantsociety


1995年はどんな年でしたか?
「とにかく飲んで、遊んで、仕事してました。20代から40代まではずっと全力疾走。今はちょっとは落ち着いたけどね」
野口強 大久保篤志氏に師事し、1989年に独立。ファッション誌、広告を中心にスタイリストとして第一線で活動。クロエについては「ずっと印象が変わらない。俺の中では『KIDS』の頃のまま。あれから30年近く経っているはずなのに。不思議だね」。


1995年はどんな年でしたか?
「芝浦GOLDが閉店して、CASBAがオープンする前の年。何かが終わって何かが始まる直前の、バタバタしていて目まぐるしい日々を過ごしていました」
増田令子 恵比寿の会員制BAR・CASBAのオーナー。クロエについては「22年前にCASBAに来てくれたのをよく覚えています。偶然居合わせたジェレミー・スコットと並んで座っていましたよ」。
Instagram:@paradise_2017_rm


1995年はどんな年でしたか?
「NOWHEREに入社するかしないかくらいのタイミングですね。原宿に入り浸る毎日。(一徳)」
「メディアに出始めたのもこれくらいの頃です。雑誌のストリートスナップにめっちゃ出てました。(勧二)」
山野辺一徳・勧二 裏原ブームを牽引した伝説のショップ・NOWHEREの名物ショップスタッフとしてキャリアをスタート。現在は、数々のブランドでクリエイティブディレクターを務める。クロエについては「知ったのは『KIDS』がきっかけです。当時は僕らもずっと街にいたし、共感できることも多かったですね。若いエネルギーが渦巻いている感じとか、原宿とニューヨークは当時少し似ていたところもあるように思います(一徳)」。
Instagram:@kzn_r /@knjym


1995年はどんな年でしたか?
「スポーツも、カルチャーも、ファッションも好きな普通の大学生でしたね。フレラコとか着て、冬になったらゲレンデで住み込みでバイトして、みたいな」
栗原潤 1997年にベイクルーズに入社。商品管理からキャリアをスタート。バイヤー、ディレクターを経て、現在は、商品戦略を含めたメンズセクションの総指揮を執る。クロエについては「『KIDS』の頃も素敵だったけど、大人になってからすごくかっこいい女性になったな、と個人的には感じています。若い頃にいろんな経験をした人ならではの円熟味というかね」。


1995年はどんな年でしたか?
「〈realmad HECTIC〉が地下に移る前、まだ路面店だった頃。買い付けで月イチはニューヨークに行ってました。今日被ってるキャップはニューヨークのローカルイタリアン『PEPE ROSSO』のもので、多分クロエも行ったことあるんじゃないかな?!」
江川芳文 1972年生まれ。1994年から〈HECTIC〉のディレクターとして活躍。2012年に〈Hombre Nino〉を発足。愛称はYOPPI。クロエについては「俺らみたいな奴らとも対等に喋ってくれそうで、素敵ですよね」。
CARDINAL GENERAL STORE 松陰神社駅から徒歩1分の場所に位置する、スケーターによる、スケーターのためのショップ。東京都世田谷区世田谷4-13-20 松陰PLAT 1-B。12時〜20時。水木定休。
Instagram:@cardinal_general_store


1995年はどんな年でしたか?
「おそらく『VINTAGE KING』でバイヤーをしていた頃ですね。月イチペースでニューヨークに行っていて、よく滞在していたイーストヴィレッジのセントマークスは今でも大好きなエリアです」
真柄尚武 『VINTAGE KING』『realmad HECTIC』などのバイイング、プロデュースを経て、2011年に自身がオーナーを務めるセレクトショップ『A-1 CLOTHING』を立ち上げる。クロエについては「世代的に『KIDS』がリアルタイムだったんで、その印象が強いです。ストーリーどうこうではなく、良い映画ですよね。若者たちって全世界共通でこんな感じなんだなって思いました」。
Instagram:@a1clothing_official


1995年はどんな年でしたか?
「オシャレに目覚めた年。〈Xgirl〉のお店に父に一緒に並んでもらったのを覚えています。忘れもしないキムゴードンのネーム! ピンクのアノラックを購入しました」
「生まれてないから分かんなーい(娘)」
小椋麻未 〈K3〉のバイヤーを手がけたのち、自身のブランド〈脳論〉を立ち上げる。クロエについては「ずっと私にとってのファッションアイコン。前職時代にChloe Sevigny for Opening Ceremonyの買い付けに鼻息を荒くしたのを覚えています」。
Instagram:@asamiogura /@nouron_official


1995年はどんな年でしたか?
「小学生でしたが、海外の音楽を聴くようになったのがこの頃。ケミカル・ブラザーズやマッシヴ・アタックを聴いて衝撃を受けていました。特にマッシヴ・アタックの『Unfinished Sympathy』は今でも現場でかけるくらい好き」
Gem Wallow 東京を拠点に活動するDJ、プロデューサー。日本国内だけでなく中国、香港、ベトナム、ロサンゼルス、サンフランシスコ、スペインでのツアーを成功させる。クロエについては「映画『KIDS』で見せる、可愛いけど切ない表情に、ずっと虜になっています」。
Instagram:@gem_palmbabys
Lighthouse Records ハウスをキーワードに新譜から中古までレコードオンリーの品揃え。独自のセレクトのハウスを中心とした新譜から再発モノ、中古もハウス、ディスコ、和モノなども取り扱う。東京都渋谷区道玄坂2-9-2 ブルマン正実ビル 4F。
Instagram:@lighthouserecords.jp


1995年はどんな年でしたか?
「小学生でしたが、ずーっと海外ドラマを見てました。海外ドラマは大人になった今でも大好き。今とそう大きくは変わらないです」
笹岡莉紗 アパレルの販売員、プレスを経て、現在はさまざまなファッションブランド、イベントなどのPR、キャスティングを手がける。クロエについては「何年か前に〈Xgirl〉とコラボして来日していたときに一緒に写真撮ってもらいました。めっちゃ優しかったです」。
Instagram:@sasarisa0110
Hachienda 乃木坂に位置するコーヒーショップ。コンセプトは「GOOD COFFEE, GOOD MUSIC, GOOD VIBES」。先日〈GRILLZ JEWELZ〉との初となるコラボレーションアパレルをリリース。東京都港区赤坂7-5-27 赤坂パインクレスト103。10時〜24時。不定休。
Instagram:@hacienda_coffee_
KEVIN HATT PHOTO EXHIBITION
『Downtown NYC 1995』

2024年9月27日(金)~
STANDARD 表参道
東京都渋谷区神宮前5-25-4 BARCAビル1F・2F
ニューヨークを拠点に活動をするカナダ生まれのフォトグラファー・Kevin Hatt(ケヴィン ハット)。1990年代よりさまざまなファッションブランドや広告などを撮り下ろしてきた同人物による特別なPHOTO EXHIBITIONを〈JOURNAL STANDARD〉の表参道店ギャラリースペースで開催します。
数ある作品の中から〈JOURNAL STANDARD〉がフィーチャーしたのは、アメリカのユースカルチャーに多大な影響を与えた映画『KIDS』でジェニー役を演じた、若かりし頃のChloë Sevigny(クロエ・セヴィニー)。米国での公開年である1995年に撮影された、貴重なプライベートポートレートが展示されます。また、同会場ではこのポートレートを落とし込んだ限定Tシャツの販売もおこないます。