

case:
009
Asahi Sasaki
動 画クリエイター
Photo_Shunsuke Shiga
Hair_Ayako Higashikawa
Make-up_Asahi Sasaki
Edit & Text_Rui Konno
case:
009
動 画クリエイター
Photo_Shunsuke Shiga
Hair_Ayako Higashikawa
Make-up_Asahi Sasaki
Edit & Text_Rui Konno
今年も春がやってきた。出会いと別れ、期待や不安。
色んな予感と気持ちが胸の中を巡りつつも
なぜだがジッとしてはいられない。
それは、輝いて見えるあの人たちだって変わらない。
新しい景色を見るために人知れず葛藤して、
今も挑戦を繰り返しているはず。
歳も性別も、畑も違う13人の人々が教えてくれた、
彼らの心を動かすもの。
時代の閉塞感がどれだけ強まっても、
好奇心と情熱は奪えない。
お気に入りの1着に袖を通したのなら、
さぁ、新たな自分に会いに行こう。
SNSが発達して自己発信の手段が増えた現代。
人と人との距離が
縮まったように感じる人もいるだろうし、
その正反対の人もいるだろう。
みんなの視線を集める個性というのは、
手の届きそうな親近感を与える一方で
ほとんどのフォロワーたちはその素顔を知り得ない。
だからこそ、佐々木あさひは異質な存在だ。
美容やメイク、女性の一番の表層を彩るための
アイデアを提案しながら、
そのためにもがく姿や、弱みをさらけ出すことも
いとわない。
一時停止ボタンを押したら、彼女の本音が聞こえてきた。
今でこそ動画配信は人気コンテンツの筆頭ですが、佐々木さんが動画制作を始められた頃は、まだあまりポピュラーではなかったように思います。その頃のお話から、聞かせていただけますか?
私が始めた当時は、顔出しせずにビューティブログをやっている人が多かった時代で、私みたいにすっぴんをさらしている人は少なかったと思います。今もメイクの過程を3コマで伝えている誌面とかってよくありますけど、これじゃわからないじゃん! とは思っていました(笑)。もちろん写真や言葉で伝えるのも大変だしすごいことだと思うけど、そういうところでは映らない部分や、わからないコツがあるだろうなぁとは今も感じます。
美容を追求して発信される方には完璧な自分や華やかなイメージだけを見せて、その裏側は意図的に隠す方がいまだに少なくない中で、当時すっぴんを公開しようと踏み切った理由は何だったんですか?
ひとつはすっぴんを見せてしまえば、それ以上に恥ずかしいことはあまり無いかなと思ったからです(笑)。もうひとつは、動画ってリアリティを出しやすくて、またそれを求められている場所だとも思ったので。ずっとキレイ、キレイしていることはリアルじゃないから、私の動画を観てくれている人たちは、そういうところを好いてくれているのかなと思います。始めた頃の動画は今は恥ずかしくて観られないんですけど、たまに観てしまっては薄っぺらいなぁ……って(笑)。
この日、佐々木さんのヘアを担当してくれた東川綾子さんは、仕事抜きでも仲の良い友人のひとり。偶然のブッキングで、メイクルームは終始和やかなムードに。
すっぴんだけじゃなく、内面や環境も動画に現れているんでしょうね。
出てると思います。自分で色んな動画を観ていても、どんな人なんだろう? って、見えないところで感じていますよね。
10年以上動画配信を続けられて、見えてきたことや得られた大きなものがあれば教えてください。
得てきたものはたくさんありすぎて難しいなぁ。発見ということで言えば、ひとつ大きなのが観てくれている人たちに、自信の無い人たちが多いなというのは感じました。実際にお会いするとすごく可愛いのに、自分に自信が無いのがコメントにも表れていたりして。
そういう方々は、佐々木さんのように自信を持ちたい! と思われてるんでしょうか?
むしろ私もずっと自信が無くて、自信をつけるためにいろいろやってきた人間なんですよ。だから、視聴者さんが自分の良さに気付けて自己肯定感を高めるヒントになれたら嬉しいなといつも思ってます。それが今すぐじゃなくても、若い子が30代になってからでも、タイムカプセルみたいに私の動画に出会って、そのときの心情に刺さったり、自信をつけるためのパワーになったら良いなと思って活動していますね。
淡色のグラデーションにマッチした大ぶりなピアスは、ファンの方からいただいたというハンドメイドのもの。「どんな方かは知らないんですが、普段から観てくださっているから、つくってくださるものが私の好みに思いっきりツボなんです」と佐々木さん。
10代、20代の佐々木さんはどんな人だったんですか?
学生のときは学級委員長とか応援団長とかをやっていて、活発で人前に出るのが好きだったんです。でも、20代でそれを一気に失くしてしまうきっかけのような恋愛をして、そこから自信が無くなりました。否定されたというか、自分がわからなくなっちゃったんです。それで自信が無かったからこそ、YouTubeを始めたんですよね。どうにか自信をつけたくて。それでも昔はすっぴんは見せているけど、心はそうじゃなかったと思うんです。今は心からすっぴんになれている気がしますね(笑)。
こうしてお話を聞いていると、今の佐々木さんからは自信もちゃんと感じられます。それが自覚できたのはいつ頃からだったんですか?
今、これで自信がつきました! という明確なことは無いですね(笑)。日々の繰り返しです。ただ、31歳の時に1年半、アメリカに留学をしたんですけど、それは刺激になりましたね。私より年上の人がたくさん、ポジティブに自分の未来のことを考えていて。当初は留学から帰ってきたら結婚したいな……なんて考えていたんですけど、行ったら途端に結婚願望が一切なくなりましたね(笑)。「私、まだやりたいことたくさんあるじゃん!」と思って。
気になった言葉やアイデアは、iPhoneのアプリでメモするのがお決まりのパターン。「あとで見返してみると、“面白ボックスを心に作って入れる”とか、“男は女で釣れ、モチベーションは女、欲”とか、謎なキーワードばかりですね(笑)。誰が言ってたんだろう? これ(笑)」。
吹っ切れたんですね(笑)。美容やファッションに関心の高い女性には、老いをネガティブに捉えている方が一定数いると思うので、そういう意味でも希望があるエピソードですね。
私が活動しているYouTube自体、若い方が多いコンテンツなので、年齢について指摘されることもあるんですけど、私自身は20代の頃より今の自分の方が好きです。それに、これからどんどん好きになっていくとも思っているので、女性が若くないと価値が無いという考え方はもったいない文化だし、男性にももっとそこに気づいてほしいなと思います。そこで肩身が狭くなってしまって、私なんて……って悩んでいる人たちがいるから。そこから抜け出せたら、きっと楽しくなるから。おこがましいけど、その背中を押してあげられたら幸せなことだなと思っています。
最後に、佐々木さんが考える女性の美しさについて、教えていただけますか。
どう着飾っても芯というか、内側がにじみ出るもの。だから、老いも含めて美しさだな、って感じています。私自身もそういう意識を持ち続けることが使命だと思っていて。20代で自分が動画制作を始めた頃はわからなかったけど、今はどんなメンタルでいるべきなのかも考えるようになりました。自己肯定感って、持とうと思って持てるものじゃない。でも、例えば私の動画を観てくれた人が、「私もこういうアイラインを引いてみようかな」と思ってくれて、鏡を見るのが少し楽しみになってくれたら、それでいいと思うんです。家の中で良いメイクができたら、やっぱり外に出たくなるじゃないですか。
PROFILE
佐々木あさひ / ささきあさひ
1984年生まれ、東京都出身。歯科衛生士の専門学校を卒業後、電気屋勤務や仲居などの仕事を経て、2011年より動画配信を始める。独学によるメイクアップのテクニックやセンスが同性から支持され、ビューティ系動画クリエイターの第一人者として不動の地位を築いた。
最新の動向はYouTubeのメインチャンネルにて発信中。
Youtube : @sasakiasahi
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