

case:
006
Ai Inuki
ヘアメイクアップアーティスト
Photo_Masahiro Yamamoto
Edit & Text_Sota Nagashima
今年も春がやってきた。出会いと別れ、期待や不安。
色んな予感と気持ちが胸の中を巡りつつも
なぜだがジッとしてはいられない。
それは、輝いて見えるあの人たちだって変わらない。
新しい景色を見るために人知れず葛藤して、
今も挑戦を繰り返しているはず。
歳も性別も、畑も違う13人の人々が教えてくれた、
彼らの心を動かすもの。
時代の閉塞感がどれだけ強まっても、
好奇心と情熱は奪えない。
お気に入りの1着に袖を通したのなら、
さぁ、新たな自分に会いに行こう。
“ヌケ感メイク”を合言葉に
数々の人気タレントたちのヘアメイクを手掛け、
女性がいま最も羨む顔を作る
ヘアメイクアップアーティスト、犬木愛。
話は彼女がヘアメイクの道を志した経緯に始まり、
何故ヌケ感が必要とされるのかということへと続く。
そこには、人生を少し楽に生きるための
屈託なきアドバイスがあった。
本日は撮影ありがとうございました。いつもファッションの現場でお仕事をたくさんされていると思いますが、犬木さん自身はどのようなスタイルが好みですか?
若い頃は安くてもトレンドの物を着たいという意識がありましたが、ある程度年齢を重ねるにつれて、トレンドだけを意識していても今度はカジュアルすぎて見えてしまうと思うようになって。だから、生地感や素材感を気にする様になりましたね。
安い物をたくさんというより、良い物をより長く使うというような。
そうですね。
実際にどんなアイテムを選ぶことが多いですか?
ワンピースが多いですね。撮影の時もロングワンピースは楽なんですよ、しゃがんだりもしやすいですし。アクティブに動けるけど、女性らしさもあって。でも、今日みたいなデニムとかもすごい好きなんですけど、身長が低いことを強調するかなと思っていて。
では、今日のような上に長い羽織りものがあったりすると、そういう点も気にせず着れそうですね。
はい、すごい好きです。ネイビーだから背が高くスタイル良く見えそうですよね。大人っぽさもあるし、前を閉めたらもっと女性らしくなりそう。後は、生地感も軽いので動きやすかったです。
改めて犬木さんがヘアメイクを志されたきっかけを聞いても良いですか?
元々、美容師をやっていたんです。美容師って、美容学校でメイクの勉強も少しするんですけど、その時はすごい中途半端な気がしていて。それから美容師って本当に忙しくて、20代前半の頃に辞めた時、メイクの学校に通いたかったことを思い出して。それで学校に通い始めたら、たまたまメイク事務所の方が講師に来ていて。その方に声をかけて頂いたのがきっかけです。それから現場へ行ったりするようになって、ヘアメイクの楽しさに気付きました。
なるほど。美容師の頃には無かったヘアメイクの仕事の魅力って何だったんですか?
毎日同じ場所に同じ時間に行くっていうより、違う場所に行って、違う時間に違う人たちと仕事をするっていうことが、それだけで楽しかったんだと思います。
現在ではヘアメイク本も出版されていますが、ヘアメイクアップアーティストとしての犬木さんを形成したターニングポイントは何ですか?
アシスタントから独立した時は、とにかくみんなに追い付こうと必死で、周りと同じ様なメイクをしていたんです。でも、その頃目の周りは真っ黒で、つけまつ毛というようなギャルメイクが全盛期で。元々ギャルメイクがそこまで好きではなかった私は、みんなと同じ様なメイクをするのを辞めようと思ったんです。アイライン引くのを止めようよ、つけまつ毛も止めようよという風にどんどん引き算をしていたら、周りのライターさんや美容関係の方たちが面白がってくれて。そこから雑誌でメイクの特集をいただける様になり、本を出すということになりました。その本のタイトルが『ヌケ感メイク』だったんです。
ヌケ感メイクはギャルメイクのカウンターとして生まれたものだったんですね。犬木さんの「ヌケ感」に対するこだわりを教えていただきたいです。
メイクだけじゃなくて、ファッションや人柄、生活など何事においても大体80%ぐらいの人がちょうどいいなと思っていて。すごい力が入り過ぎている人を見たりすると、もうちょっとリラックスすればいいのにと思ってしまう。ヘアメイクを始める前からそれはずっと思っていて。抜け感のある人って、お洒落じゃないですか。ちょっと隙があるというか。
そう思います。男性でも肩の力を抜いていてもカッコイイ人が魅力的に見えますよね。
その方が人柄的にも話し掛けやすいとか、友達も出来やすいかもしれないし。完璧過ぎると鎧を被っている様に感じて恐いと思われるし、逆に隙を見せ過ぎても今度は安っぽく見える。その一番ちょうどいいところが80%ぐらいなのかなと思います。それをメイクにしただけです。
確かに例えばデートに行っても、相手が完璧過ぎる女性だと男性は緊張してしまいますもんね。
そうなんです。緊張して疲れちゃうじゃないですか(笑)。私も独立した頃、頑張らなきゃいけないと思って力み過ぎていたんです。でも、年上の先輩達がサラッと仕事をこなしているのを見たりして、あぁカッコイイなと思ったんです。そういう人を見て、私は力み過ぎている事に気付きました。仕事じゃなくても、その日にちょっと会った人とか、すれ違った人でも素敵だなと思う人は大体力がちょっと抜けている。余裕がある様に見えるんですよね。
今後ヌケ感に加えて何か提案したことってありますか?
私、透明感をすごい重視していて。透明感がある人って、すごく可愛く見えるし綺麗に見える。元の肌がすごい綺麗な人だけじゃなくても、ある程度メイクで透明感は出せると思います。だから、ヌケ感に透明感もあったら最高ですね。
犬木さん自身、今後挑戦したいことを教えていただけますか?
あんまり私欲が無いんですけど(笑)。でも、本はいつかまた出したいと思ってます。また違う視点でヘアメイクの本を。ヌケ感メイクにプラスして、その人のライフスタイルやメンタル的なことなど幅広く話せたらいいなと思います。すっぴんもメイクの一つだと思っているので。後、ヘアメイクはずっと現役でいたいと思ってます。一応目標は75歳かな(笑)。担当しているタレントの子たちとかに私75まで現役でヘアメイクやるから、みんなも引退しないでねって言ってます(笑)。偉くなりたいとか、トップに立ちたいとかは無くて、今がすごく楽しくて幸せなので。これがずっと続けていけたらいいなと思います。
PROFILE
犬木 愛 / いぬきあい
美容・ファッション誌、広告など幅広い分野で活躍するヘアメイクアップアーティスト。ヌケ感メイクなど、女性が憧れるスタイル作りに定評を持つ。過去に「恋される女子になる大人かわいいヌケ感メイク」や「大人のヌケ感メイク」などのヘアメイク本を出版する。
Instagram : @inukiai
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