

case:
002
Megumi Shinozaki
フラワークリエイター
Photo_Shinpo Kimura
Hair & Make-up_Yuko Aika
Edit & Text_ Sota Nagashima
case:
002
フラワークリエイター
Photo_Shinpo Kimura
Hair & Make-up_Yuko Aika
Edit & Text_ Sota Nagashima
今年も春がやってきた。出会いと別れ、期待や不安。
色んな予感と気持ちが胸の中を巡りつつも
なぜだがジッとしてはいられない。
それは、輝いて見えるあの人たちだって変わらない。
新しい景色を見るために人知れず葛藤して、
今も挑戦を繰り返しているはず。
歳も性別も、畑も違う13人の人々が教えてくれた、
彼らの心を動かすもの。
時代の閉塞感がどれだけ強まっても、
好奇心と情熱は奪えない。
お気に入りの1着に袖を通したのなら、
さぁ、新たな自分に会いに行こう。
よく晴れた朝、取材先である代々木上原のビルの三階。
ドアを開けると、大きな窓から入る陽の光に
照らされた花たちに負けないくらいの笑顔で
女性が出迎えてくれた。
独自の感性で花に新たな価値を創造する
フラワークリエイター、篠崎恵美。
彼女が手掛けたショップ「edenworks bedroom」
にて話を聞いた。
これまで花を軸に縦横無尽に活動してきた
彼女の活力とその目線の見据える先について。
本日は撮影ありがとうございました。普段はどのようにお洋服を選ばれることが多いですか?
モノトーンのものなどが多いです。お花がそのままで綺麗なので、自分が着る服は少しモノトーンとか目立たないような色が多いです。でも、やっぱり洋服は好きなのでよく買います。シルエットや形に惹かれることが多いですが、今日のベストも着るとよりしっくりきて、気に入っています。
服を選ぶときに今日は雨だからこの服とか、そんな風に日々服を選ぶような感覚でお花も選べたら、きっと楽しいんだろうなと思います。
そうですね、その感覚はお花にもあると思います。例えば、ウエディングの時はもちろん菊は選ばないですが、この時はこのお花を選ばないとか、人間がただ決めたことなので、その古典的な固定観念はあまり好きではないです。好きなお花を好きなだけ選べば良いと思いますし、今言われたように洋服を選ぶようにお花を選ぶという感覚が日々を楽しむことに繋がると思います。それは着る服も一緒で、お花屋さんだから汚れてもいい恰好をしなくてはいけない、長靴を履かなくてはいけないということは全くなく、ブーツでも仕事していますし、着たい服は着ていいと思っています。日々自由にお花を選ぶように、今日は寒いからこのワンピースを着ようとか、そういう風に楽しめるほうが私は好きで、それをおすすめしています。
篠崎さんは、元々ファッションの仕事をされていたんですよね。ファッションの仕事が小さい頃からの夢だったんですか?
興味を持ったのは高校生ぐらいからです。それで洋服の学校で勉強をし始めたら、なんかもう凄いなって思う人ばっかりで。誰かの真似になってしまうではないかとか思ってしまって、自分らしさみたいなものを見出すのが難しかったんです。勉強したことによって逆に身動き取れなくなっていました。アパレルの仕事に就いてから半年後、フラッとお花屋さんに入ってみたら、すごい生き生きとして個性豊かに見えて、自由を感じたんです。そして、すぐその場で仕事したいと伝えました。
フラッと立ち寄ったその日にすぐ転身することを決心されたんですね。
そうです。その後6年半くらいそのお花屋さんで働きながら独学で勉強して、独立しました。
そこから、いわゆるお花屋さんという枠を超えたような活動されていった理由は?
師匠がいなかったのが一番大きいと思います。こういうのが正解、不正解みたいなことを教わらなかったんです。撮影の現場でご一緒するフォトグラファーやスタイリストとか、色々なクリエイターの方々からの影響もあったと思います。あと、そういうスタイルにした理由は、店舗を持ってお花を並べておくと、鮮度が命なので古くなったら捨てちゃうんですね。お店にいた頃からそれが毎回すごく嫌で、6年経っても仕事として割り切れなかった感じがしたんです。そして、もし独立するのであれば、撮影や装飾でのお仕事は事前に打ち合わせで量を決めて必要な分だけ買うというスタイルにしたいと思うようになりました。
なるほど。ドライフラワーのショップをオープンさせたのも、その捨てるという行為が嫌だったからですか?
そうです。最初はクリエイターとして活動していたんですけど、一般の方と会う機会が全くなくて。やっぱりそういう一般の方へお花を作ることもやりたいなと思っていたのですが、毎日営業するとやっぱりお花のロスが出て、捨てるという問題が起きる。だから、お客さんがよく来てくれる土日だけ営業する「edenworks bedroom」をオープンしました。そうしてお店に立って花束を作っていたら、ほぼ100%のお客様がドライフラワーになるかどうか聞くんですよね。
確かに気になりますよね
はい。そこでお客さんもお花を捨てたくないんだと教わり、自分と同じ気持ちなんだと思ったので、何か捨てないようにする良い方法はないか考えた時に、ドライフラワー専門店「EW.Pharmacy」をオープンしました。
なるほど。もう一つの場「PLANT by edenworks」はどういう経緯でオープンしたのですか?
「EW.Pharmacy」のドライフラワーは、アトリエで綺麗にドライにしているんですが。そういう作業の過程もお客さんに見てもらえるようにしたかったことが、一番大きな理由です。
何故その過程を見せたいと思うようになったのですか?
私がお花を捨てずにどういう風に大切にしているかとか、どういう風に仕事して向き合っているのかということを、まず見てもらいたかった。そこから、お花を大切にすることを通して別のものに繋げていきたいなと思って。花だけではく、服や物など他の物に対しても、みんながそういうスタイルになったら素敵だなと思います。
今までの活動にはただ「お花を捨てたくない」から、という思いが根底にあることが多いんですね。
そうですね。今サステナブルとかエシカルといった言葉を聞くことが多いですが、花も生き物なので、ごみ袋に入れるのはちょっと嫌だなと本当にシンプルに思っていたんです。後は、お客様にも教えてもらったと思います。私が自分をアーティストと言っていないのもそうですが、自分の作風みたいなものを全面的に打ち出してこれが私ですというより、世の中に必要なことを伝えたり、今スタッフにも若い20代が多いので、そういう人たちに繋げていきたい想いを伝える為にもお店があったりします。
では、花にまつわることであれば、今後も選択肢は狭めずに何でもやっていきたいですか?
そうですね。可能性を広げることは今後もしていきたいです。それは、やはりお花の命はすごく短いものだから、写真で撮り残したり、色々な形に変えていきたいです。
そういった可能性を考える中で、新たにチャレンジしてみたいことを教えてください。
私、感覚を逆転することが結構好きなんですよ。
逆転?
思っていたことの真逆のことをしたり、苦手と思うことをやったり。例えばですが、いつもの道を通らずに帰ったりすることが好きで。今まで自分がしてきたこととはまた違う視点で何か作り出したいと思っています。私っぽさを貫くというより、時と場合によって逆転させることがすごく好きです。
では、今考えられる篠崎さんの逆転って何でしょう?
何だろう…。今まで作ってきたお店は、あまり普通ではないというか、プロポーズや誕生日など特別な時に来る方が多いと思うんです。駅前にないし、edenworks bedroomは土日しかやっていないし、三階だし。だから、普通の街のお花屋さんを私がやったらどうなるのかなという想像はいつもしています。でも、結局普通にはならないと思うんですけどね(笑)。
PROFILE
篠崎恵美 / しのざきめぐみ
edenworks主催。ウィンドウディスプレイや店内装飾、ブランドとのコラボレーション、雑誌、広告、CM、MVなど、花にまつわる創作にてその活動領域は多岐にわたる。フラワーショップ「edenworks bedroom」、ドライフラワーショップ「EW.Pharmacy」を手掛け、2019年よりedenworksのクリエイションを生むアトリエとして「PLANT by edenworks」をスタート。
Instagram : @megumishinozaki
edenworks bedroom
東京都渋谷区元代々木町8-8 3F
土・日のみ営業 13:00〜20:00
https://edenworks.jp/edenworks-bedroom/
Instagram : @edenworks_bedroom
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