仕掛け人達から紐解く『SHEFFIELD RECLINING SOFA』が選ばれ続ける理由(前編)
世界各国のヴィンテージ家具から得たインスピレーションをベースに、ファッションブランドが手掛けるインテリアブランドとして、独自の世界観やプロダクトを提案しているJOURNAL STANDARD FURNITURE。
しかし、『どのようにモノが生まれているのか?』その背景を知っている人は意外と少ないのでは?
そこで、バイヤーやデザイナーなどJOURNAL STANDARD FURNITUREの商品を作り出す仕掛け人達に話を伺い、彼らが生み出すプロダクトへのこだわりや製作背景などを紹介していきます。
今回は、ヴィンテージの雰囲気を残しつつ現代的でモダンな『SHEFFIELD RECLINING SOFA』についてフォーカス。アメリカンカルチャーに造詣が深い家具デザイナーの野田さんと、実際にお客様と接し魅力を伝えるショップスタッフの永井さんに話を聞いてきました。
まず初めに、お2人のルーツについてお伺いしていきます。
アメリカンカルチャーや家具にハマっていったきっかけを教えてください。野田:中学生くらいの時からスケートボードにハマっていって、スケボーのビデオを観ていると使われている音楽がヒップホップで「この曲かっこいいよね」というところからスケートとヒップホップ、アメリカのストリートカルチャーにどっぷりハマっていきました。
その後に、建築系の大学を出て内装の設計事務所で働いていたのですが、もっと細かいデザインのディティールに拘りたいと思って家具に興味を持ち出したのがきっかけです。目黒通り沿いの鷹番にACME Furnitureがまだ1店舗しかなかった頃に少しだけ働いていた経験があり、別の家具屋を何件か経験して現在のACME Furniture、JOURNAL STANDARD FURNITUREに数年前戻ってきました。
デザインをする上でヒップホップやスケボーが与えている影響は大きいんですか?
野田:めちゃくちゃありますね。現代はモノや情報が溢れていて新しくゼロから何かを生み出すことは非常に難しいので、それこそヒップホップでいうとサンプリングして音楽を作っていくところとかは、古いレコードから1フレーズを抜き取って、そこに新たにドラムを乗せて、全く新しいサウンドを作り上げる、そういう組み合わせ次第で新しい何かをクリエーションするという点。スケボーにしても、同じトリックでもやるスポットによって見え方が違ったり、技の組み合わせで新しく見せたりという点では、似ている部分はあるのかなって思います。もちろんヒップホップやスケボーに限らず、映画や昔のヴィンテージアイテムを見る事でアイディアが生まれることも多いですね。
家具を選ぶ上でのこだわりはありますか?
野田:デザインと使い勝手のバランスですかね。テーブルとか椅子、ソファなんかは使っていて体が触れている時間が長く、家具と言えど「使う道具」だから使い勝手の部分の比重が大きく、チェストとかシェルフに関しては取っ手の使い心地と棚のピッチとか以外はデザイン重視で選べるのかなと。どれだけカッコいい椅子でも座り心地が悪いと座らなくなっちゃうので。
デザインだと最近のトレンドとか気になっている家具はありますか?
野田:自宅で使っているのは北欧デンマークのヴィンテージ家具が多いですね。アメリカの家具はデカいから、日本の住宅にフィットできないものもあったりするんです。その点、北欧のヴィンテージ家具はサイズ感も使いやすいのが多くて選ぶ傾向にありますね。ここ何年かはオランダのヴィンテージが気になってます。
ありがとうございます。
次に永井さんがアメリカンカルチャーや家具にハマっていったきっかけを教えてください。永井:20代前半の頃にバレリーナをしながら渋谷にあるハンバーガーショップ "THE GREAT BURGER"で働いていたんですけど、社長がスタッフをアメリカに連れて行って、実際にお店や商品がどのようなインスピレーションからきているのかを説明しながらアメリカを旅する研修があったんです。元々アメリカンカルチャーは好きなんですけど、リアルなアメリカの雰囲気を感じてインテリアや内装にのめり込むようになっていきました。
アメリカの旅でのめり込むようになったきっかけはあったんですか?
永井:まず日本のカルチャーと全然違う事に衝撃を受けましたね。特に、当時ブルックリンのデザイナーズホテルの先駆けだったWYTHE HOTELに行った時が印象的で。20世紀初めに建てられた縫製工場をリノベートした内装が、工場の雰囲気を残しながら現在のデザインを上手くミックスさせていて本当に素晴らしかったのを覚えています。内装だけでなく見た目は高級ホテルでありながら、働くスタッフは気さくでフランクに接してくれてホテル全体が一つのブランドとして確立されている事に驚きました。
アメリカで影響を受けた後、実際に永井さんは現在ショップスタッフとして店頭に立っていますが、家具を選ぶ上で大切にしているポイントはありますか?
永井:私は年齢やライフステージが上がっても「長く使えるモノかどうか」を選ぶ時のポイントにしています。例えば、流行りすたりがないものであったり、価値のあるモノかどうかも重要です。実際に自分が対面しているお客様の多くも「長く使えるモノ」といったことを気にしている方もとても多いので、自分がいいなと思ったものとか感じたことを提案したり伝えるようにしています。それもあってか昔からある老舗ブランドや新しいブランド関係なく歴史や背景を見る事を大事にしていますね。
ありがとうございます。
そして今回『SHEFFIELD RECLINING SOFA』についてフォーカスしていくんですが、後編ではこのソファがどのように作られていったのか、気になる話をじっくり掘り下げ聞いていきます。