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クラーク志織さんと考える「ボディ・ポジティブ」マインド《EMILY WEEK journal》

イギリス在住イラストレーター・クラーク志織さんと考える、心地いい「ボディ・ポジティブ」マインドのあり方。#emilyweek_journal

  • 決められた美の基準から解放され、自分のありのままの姿を愛そうという「ボディ・ポジティブ」の考え方が、日本でも浸透しつつあります。ムーブメントが広がる一方、「そうはいっても、自分の見た目を愛するって、難しい…」と感じている人も少なくないのでは?

    今回は、フェミニズムや環境問題など社会課題をポップに発信し続けるロンドン在住のイラストレーター・クラーク志織さんに、どうしたらもっと心地よく、自分の見た目に向き合えるか、「私なりのボディポジティブ」について伺いました!

  • ▶︎「見た目」だけじゃなく「体の機能」に注目してみると、もっと気楽になれるはず

  • ――志織さんは、「ボディ・ポジティブ」をどう捉えていますか?

  • 女性は特に、「美しい」とか「セクシー」とか、勝手に見た目を判断されがちで、そんな中で女性たちが主体性を取り戻そうとする「ボディ・ポジティブ」の考えにはとても共感しますし、勇気をもらいます。でも、「自分のボディイメージに対して常にポジティブでいるのも、やっぱり難しいよね」と感じることもあります。 

    人間の体は、加齢や病気など、いろんな要素によって常に変化していくものだから、たとえ今の見た目を愛せるようになったとしても、その状態でなくなってしまったら、また好きになり直さなきゃいけない。前向きにいようと努力しても、たった一人の心無いひと言で、すべての自信を失ってしまうこともある。それって、なんだかエンドレスなつらさだなとも思うんです。

  • :オンラインでのインタビューに応えてくださったクラーク志織さん

  • ――「自分の見た目を愛する」って、大切なことだと頭では分かっていても、すごく難しいことかもしれませんね。

  • 「あの人、素敵だな」「あんなふうになりたいな」と思ったり、他人と比べて落ち込んでしまったりすることは、私もよくあります。でも自分の体をケアすることや、なりたい見た目に近づこうとする気持ちが、日々を前向きに過ごすためのモチベーションになることだってあるかもしれません。

    ただ、私を含め、多くの人が「自分の見た目」に意識の比重を置きすぎているような気がするんです。エンドレスなつらさから抜け出すには、この意識のバランスを変える必要があるんじゃないかな。

  • 最近、ボディ・イメージについての博士号をもつ双子の姉妹Lexie & Lindsay Kiteが提唱する考え方を知り、深く共感をしました。自分がどう見られているか、ということだけじゃなく、この体がどう機能してどう自分を生かしてくれているか、に焦点を当ててみることで、自分の元に再びパワーを取り戻せるという考え方です。例えば目の前のコップを持てたこと、呼吸していること…。

    そういうひとつひとつの体の機能に目を向け、「自分の体、すごいじゃん!」と認めてあげるんです。そうすると、もっと気楽になれるような気がしませんか? 無理矢理ポジティブにならなくてもいい。ただそのままを認めてあげるというくらいのマインドです。

  • ボディ・ポジティブムーブメントによって、「美の基準は1つじゃない」と周知されるようになったのは、すごくいいことだと思いつつも、最近は、そもそも女性の見た目が美しいかどうかが、最大の評価基準になっている状況に違和感を感じています。「すべての体は美しい」というコンセプトは、その風潮を強化してしまう可能性もあるのかもと思うんです。

  • ▶︎ 女子サッカーで選手がスポブラ姿に。女性が体のイメージが解き放たれた瞬間

  • ――志織さんが「ボディ・ポジティブ」を強く意識したできごとなどがあれば教えてください。

  • 今年の夏、イギリスでは女子サッカーの欧州選手権(ユーロ)がすごく盛り上がったんです。イングランドの優勝が決まったとき、ある選手が、男性選手がよくやるように、自分のユニフォームをバッと脱いで、汗だくのスポーツブラ1枚でピッチを駆けてまわりに喜びを表現したのです。その姿は下着姿のエロティックな存在ではなく、ただ全力な、ひとりの人間に見えました。

    このシーンを見て、「女性の体が、男性の体よりもいやらしく、隠すべきものだと誰が決めたのだろう? それってすごく男性中心的な視点だったんだな」と、改めて実感するとともに、これまでの下着姿の女性に対するイメージが一新された気がしました。

  • ――すごく素敵な瞬間ですね! きっと多くの人の心を動かしたのではないでしょうか?

  • 新聞でもSNSでも、その瞬間が大々的に取り上げられて、話題になりましたね。そんな女子サッカーの雰囲気もあってか、この夏、ロンドンではスポブラや水着のようなトップスで歩く女性たちをたくさん見かけました。実は私も、10数年ぶりにへそ出しに挑戦しました! それから、通っているヨガ教室でも、今までずっと着心地があまりよくないけれど、露出の少ないTシャツを着ていたのですが、思い切って動きやすいスポブラタイプのウェアに変えてみたんです。そうしたら、ものすごく心地よくて…。

    ふと見渡せば、60代の女性も同じように解放的な姿でヨガをしていて、なんだか幸せな気持ちになりました。これまで「露出なんて無理!」と思っていた自分が、女子サッカーの影響で、変われたような気がします。

  • ▶︎思い込みや偏見を取り除くために心がけている「unlearning」

  • ――志織さんが自分の容姿と上手く付き合うために、日々心掛けていることなどがあれば教えてください。

  • 最近心がけているのは、unlearning(アンラーニング)するということ。自分の中に染み付いた思い込みや偏見を、一個一個洗い出して、解き放していく作業をするようにしています。それで気づいたのが、社会にある無数の偏見を、自分の中にもしらずしらず内在化していて、自分自身をも厳しくジャッジし続けていたかも、と。だから、unlearningによって、そういった視線が自分の中にもあるとまず認め、取り払うように努力をすることで、自分にも優しくなれるし、世間の人にも偏見を振り撒かないようになれるんだと思います。一人一人の変化が、ボディ・イメージだけじゃなく、いろんな問題への意識につながっていくんじゃないかな。

    そして、自分の考え方をシフトすることはもちろん大事だけど、やっぱり一人の力では立ち行かないこともあります。「誰かをむやみにジャッジしない」という雰囲気を、メディアや周りの雰囲気、みんなで作っていくことがすごく大事だと思います。それがなくならないと、やっぱり個人個人のつらさはうまく取り除けないんじゃないかな。

  • :クラーク志織さんのイラスト

  • ▶︎ 考え、見つめ、声を上げ続けることの大切さ。

  • ――「ボディ・ポジティブ」だけでなく、フェミニズムや環境問題などさまざまな社会課題について、イラストを通じて私たちに考えるきっかけをくれる志織さん。今、気になっていることがあれば教えてください。

  • まだまだ問題は果てしなく山積みだけど、ずっと前からたくさんの人々が声を上げ戦ってくれたおかげで、女性を取り巻く環境は少しずつでもよくなっていると感じます。でも、それで安心はできない。今年、アメリカで中絶違憲*の判決が下されて、時代の逆戻り、バックラッシュが、本当に起こるんだということを実感しました。だからこそ、私たちは常に政府がどういう動きをするのかをちゃんと見て、声を上げ続けていかなければいけないんだなというふうに思っています。

  • 【※中絶違憲… 2022年6月米連邦最高裁はアメリカで長年、女性の人工妊娠中絶権は合憲としてきた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断を示し、この判決を受けて、アメリカでの女性の中絶権が合衆国憲法で保障されなくなりました。】

  • ――最後に、志織さんからメッセージをお願いします!

  • 今、世界では本当にいろんな問題があって、落ち込むこともたくさんあるけど、みんなで一緒に、前向きに取り組んでいけば、きっと現状は変わっていくはず。だから、私はこれからもイラストで伝えていこうと思っています。真剣に考えるけど、いつだって楽しむことを大切に。この世界のカラフルさを忘れずにがんばろうって。

  • :クラーク志織さんのイラスト

  • クラーク志織

  • イラストレーター。2012年イギリス。ロンドンに移住。雑誌、装丁、広告、店内ディスプレイ、飲食のパッケージング、ファッションブランドとのコラボレーション、陶器への絵付けなど、幅広く活躍。最近は、フェミニズムやSDGsをテーマとしたコラムの執筆も。作品を通じて、社会問題に対してイラストを通してメッセージを発信し続けている。(instagram: @shioriclark)

  • staff credit
    編集・文 / 秦レンナ
    デザイン / 中森陽子
    企画・ディレクション / 柿沼あき子

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    #EMILYWEEK_JOURNAL では、さまざまなゲストをお迎えし「女性が心地よく生きるには?」について考えます。

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