理論的で非理論的なミリタリー 〜共感するなんてものは何もない〜
なぜ我々はミリタリーに魅力を感じるのか
幼い頃の記憶はひどくおぼろげで、自身に都合の良いことしか思い出せないものだ。
ただ一つだけ、はっきりと覚えていることがある。
小学生の頃だろうか。
夏の縁日、あるいは土産屋で陳列された安っぽいモデルガンや木刀にとてつもない魅力を感じた。
理由はわからない。心の底から「かっこいい」と感じていた。
両親にねだり、やっとの思いで買ってもらった小さなモデルガンをくたびれたカンカンに入れて大切に飾り眺めていたものだ。
…何が言いたいかと言うと
男の脳細胞を焼きつける鋭い魅力を放つモノに理由はいらない。ということです。
今回は
リアルクローズとして'理論的"に作られた物…つまり、「ミリタリー」に感じる'非理論的"な魅力。
そんなお洋服のご紹介です。
イギリス軍のバトルドレスジャケットをデザインソースとしたこちらの羽織り。
白とグレーの糸を使用したデニム生地ですが、決して硬くはなく、シャンブレーを彷彿とさせる柔らかさと光沢。
着丈は少し短く、裾のアジャスターでシルエットの調節が容易です。
ユーロミリタリーらしく上品な仕上がりに。
その上品さを、搭載のバックベルトにより急カーブでラギッドに。
アイテム数が少なくなる春先に襟物と掛け合わせたいですよね。
武骨と綺麗の掛け合わせ。
究極の「あまじょっぱい」を味わえます。
中に挟んでいるネル生地のアノラックも、'モデルガン"的な魅力を放っていますよね。
60年代の香りがするチェックとフリンジ感。
今季ジャーナルが提案するMERICANなテイストとも相性が良く、スタイリングに落としこめば、玄人な雰囲気を感じずにはいられません。
少しやりすぎてるくらいがちょうどいいかもしれないですね。
最後を飾るのが、これまたイギリス海軍。
腰回りのワンタックと太すぎないシルエットでより街に馴染みやすい印象。
ヌメっとした光沢と洗いにかけたような風合いの生地はアメリカ物よりも綺麗かつラフな雰囲気に。
注目して欲しいのはポケットのディテール。
大きめのサイドポケットのフラップをめくると、間に小さな当て布が。
物をしまう時は入れやすく、落ちないように。
パラシュートボタンなのも嬉しいところです。
さらに左のバックポケットは、アジャスターから斜めに入る大きめの物に変更。
ここまで細かく再現され、かつusedの物にはないカラーやディテールのアップデートを見ると思わずニヤリとしてしまいます。
ポケットにしろバックベルトにしろ、現代ではそこまで実用的に使う機会は少ないかもしれません。
むしろ、だからこそ魅力に感じてしまうのかもしれない。
モデルガンと同様に
私たちが生まれる何年も前から情熱を込められて作り込まれたディテールや技術。
'戦闘"という非日常的な分野に特化した衣服は、異質でありながらも惹かれてしまう、言葉には表しがたい妙な輝きを放つのです。
理論的に、掛け合わせが〜とか
この部分が〜などを綴ってきましたが
『カッコいい服を着たい』
という非理論的な感情はいつまでも心の奥底に、ブレない芯としてあるべきだと再確認させられました。
共感するなんてものは何もない、カッコいいミリタリー。ぜひ店頭にてご体感ください。
今回は以上となります
若林