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  3. ÉDIFICE CONCEPTOR & CLOTHING BUYER 25周年の次の年。支持され続けるブランドで在る為に必要なこと。
常にお客様に共感され、そして時に半歩先を見据えた提案を続ける為に、
これからのEDIFICEが仕掛けることとは一体何なのか?
EDIFICEのコンセプトを考え、商品企画にも携わる紺野浩靖氏と
Baycrew’sグループ唯一のメンズクロージング部門のバイヤー愛宕勝彦氏との
熱いトークセッションにその答えを見出します。
  • 《SEASON CONCEPT》

    自分たちはスタイルを作っていくブランド。その為には常にニュートラルな姿勢であり続けたい。

  • ― 今季のEDIFICEのテーマは【NEUTRAL “CHIC”】でしたね?このテーマに至った経緯とは何だったのでしょうか?

    紺野:そうですね。昨年に25周年を迎えて改めて自分たちのブランドを俯瞰して見たときに、自分たちはモードを押し出すブランドではなく、ましてや懐古趣味なクラシックを売りにするブランドでもなく、『スタイル』を提案するブランドなんだと強く感じました。と同時にフレンチという解釈を原点に持ち、スタイルを提案していく上で、常にフラットでニュートラルであり続ける姿勢が大切だと。 何かに偏ってしまうと、洋服を着た時に急に攻撃的になったり、保守的になったり。
    アイテムに置き換えると、太すぎたり、細すぎたりしてしまうので、常にニュートラルな姿勢で、なおかつシックで上品なスタイルを僕たちは伝えていかなければ、と思ったのが始まりでしたね。

  • 紺野氏が今年の1月に訪れたパリの街並み。EDIFICEの原点であり頂点となる存在。
  • ― 愛宕さんに質問ですが、メンズクロージングというカテゴリーに対しても同じアプローチなのでしょうか?

    愛宕:基本的にはそうですね。今まで「これはカジュアルのアイテム」、「これはクロージングのアイテム」、とカテゴリーに分けて考えていました。そういった既成概念を取り払い、EDIFICE本来の持つ「MIXするスタイルを楽しむ」といった視点でモノづくりや、商品構成を考えたのが大きな変化と言えます。
    例えば、スーツというモノを”ビジネスに必要なユニフォーム”的に捉えるのではなく、”上質なセットアップ”という価値観で捉えて、ニット素材のTシャツやバンドカラーのシャツなどと合わせてコーディネートを組む。“上品にドレスダウンする”といった感覚で、洋服を着ることの楽しさみたいなものを感じて頂ければなと思っています。

  • 《TRIXION SET UP》

    太すぎず、細すぎずな、まさにジャストルーズなシルエット。

  • ― “スタイルを提案する”上で最も重要なアイテムはありますか?

    紺野:やはり、何と言ってもセットアップですね。今季はオリジナル、インポートアイテムと幅広くご用意しています。その中でも特にアイコンとなるセットアップが、《TRIXION SET UP》。TRIXIONという機能素材を使用している事はもちろんですが、シルエットに関して太すぎず、細すぎずな、まさに”ジャストルーズ”なシルエットになっているのが特徴です。
    こういったシルエットで変化を付けつつ、上品な梳毛見えの合繊素材を使用する事で、”品”も持ち合わせており、今季のテーマを象徴するようなアイテムと言えます。

  • 《WOOL NEP CHECK 3PIECE》

    紺野:さらにテイスト違いでももうひとつ。
    こちらもシーズンを象徴するアイテムと言える、ジャケット、シャツ、パンツの3ピースですが、レトロチェックな格子柄を定番カラーのグレーで新鮮に魅せていて、いつもの慣れ親しんだスタイルに取り入れていただくだけで、いつものスタイルの雰囲気をガラッと変えて楽しんでいただけると思います。

  • パンツは2タックのワイドストレートで自然なゆとりのあるシルエットを意識しています。
    タックパンツも今季はますます気分のアイテムと言えます。

  • 《CARUSO Exclusive BLAZER》

    スタイリングの起点となるマスターピースという位置づけ。

  • 愛宕:そして、今季のEDIFICEを象徴するアイテムで忘れてはならないのが、ブレザー·ジャケットです。
    世界的な潮流でも再び注目されているネイビーブレザーですが、EDIFICEのフレンチなアプローチにはやはり必須なアイテムと言えます。クラシックで確かなモノづくりが根底にありながらも、ファブリック開発や、シルエット·細部のディテールなどで巧みなモダンさを取り入れたCARUSOの製品は、今最もコンテンポラリーさを感じさせるテーラードアイテムです。

  • ― そのブレザーに合わせているシャツも存在感ありますね?

    愛宕:はい。これはイタリアはナポリのブランド《サルバトーレ·ピッコロ》のシャツです。
    もともとオーダーシャツの職人として名を馳せたサルバトーレ氏。今回の展開のバンドカラーはカジュアルですが、テーラードの技術が随所に取り入れられた作りになっており、クオリティーの高さは抜群です。

  • カジュアルブランドが作るバンドカラーとは一線を画す、ドレスシャツの台襟の面影を残した曲線や、少し高めのバンド部分のディテール、肘部分の立体感と動きをカバーするダーツ等に加え、ドレープ感のある生地チョイスやレジメンタルを模したストライプ柄も、ただのクラッシックでは無い、サルバトーレ氏のユーモアやセンスが感じられます。
    是非CARUSOのセットアップやブレザーのドレスダウンスタイルとしてコーディネートして頂きたいですね。

  • 《CROCKETT & JONES》

    EDIFICEのスタイリングには欠かせない、上品な抜け感。

  • ― 今まご紹介頂いたアイテムの足元に合わせるイメージで、今季イチオシのものはありますか?

    愛宕:《クロケットアンドジョーンズ》ですね。
    ブランド自体はクラッシックなシューメーカーですが、その時々の時代感に合わせて、柔軟なモノづくりをしています。そのバランス感覚こそが、EDIFICEの提案するスタイリングとの絶妙なシンクロ性があります。 今回の別注は定番のコインローファー型であるボストン2をベースにしていますが、通常のカーフレザーでは少し堅い印象になります。そこをシボ側で表現することで、定番デザインながら今の気分を反映した適度で上品な抜け感をイメージしました。
    この表現こそが、EDIFICEのスタイリングには欠かせませんし、これが実現出来るのは、クラッシックで確かなモノづくりが根底にあるこのブランドならではの良さだと思います。

  • 《OLMETEX COLLECTION》

    快適で、現代的、都市部の生活にマッチしたものが求められている。

  • ― 26年目にあたる今年、2020年は様々な”変革の年”だと思います。そういった時流に合わせたブランドならではのアプローチをお聞きしたいです。

    紺野:忘れてはならない2020年のイベントといえば、東京オリンピックですよね。
    その影響もあってか、内面的な豊かさを求める健康志向など、多角化したスポーツ傾向は国民的風土として根付いてきているので、ファッションカルチャーとしてもより快適で、現代的、都市部の生活にマッチしたものが求められているような気がします。
    例えば素材がテクニカル(機能素材)なモノを使用して、日常的に着やすくしたもの、特に日本は軽さやストレッチが効いた、動きやすさ、またはスポーティーさや軽快さを感じさせる素材とデザインはもはや定番化しているとさえ思います。私たちが大事にしている上品さや品のあるスタイルも、この“快適な素材”である必要性があります。
    今季はアイビーが一押しのスタイルなので「IVY」と、着易さを求めた機能素材を総じて「TECH」と表現し、ワード化したカテゴリー《IVY TECH》を設けました。その代表的なアイテムは、高密度ギャバジンで有名なイタリアのオルメテックス社で開発した生地です。

  • 今回は高密度ナイロンで撥水する密度まで打ち込み、洗いをかけた様なワッシャー加工を施した、EDIFICE限定のスペシャル素材です。軽さはもちろん悪天候でも対応でき、程よいシワ感がスポーティー過ぎない、上品な表情を演出してくれます。

  • ― ありがとうございました。最後に今季にかける思いなどあればお聞かせください。

    紺野:昨今ファッション業界を取り巻く※SDGs(Sustainable Development Goals)の波は、当然私達モノを生み出す側の人間も軽視できない大きな課題と捉えています。故にずっとクローゼットに残り続けるマスターピースを提供したいという思いから、今季のテーマにたどり着いたという背景もあるんです。私達は一過性のトレンドを追いかけるばかりではなくて、自然体でEDIFICEの上品なスタイルをお届けするべきだなと。
    今季のEDIFICEは他のセレクトショップには無い、独自性を感じられるお店作り、WEB配信を行っていきますので、是非ご期待ください。

    愛宕:あくまでもお客様を一人の存在として捉え、クロージングとカジュアルを融合させた考え方で、ブランドとしてアプローチしていく。至極当然なことでありながら、今まで実現されてこなかった新しい試みとなっています。今はスマホの普及で新たな情報がすぐに手に入れられる時代。お客様の購買行動も多岐にわたっており、そういった時代だからこそ、よりお客様の行動や生活をイメージし、パーソナライズされた、具体性を持った商品作りを行っていくことが重要だと思っています。自分にセグメントされたアイテムに必ず出会えるショップを目指していきますので、是非お店に足を運んでみてください。

    ※SDGs(Sustainable Development Goals)
    2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標。特にアパレルでは環境面に配慮した持続可能性の高い商品作りなどが主な主行動の一つとして上げられる。

  • 紺野 浩靖 | HIROYASU KONNNO
    2001年より「エディフィス」にて販売員として入社。以後カジュアルのバイヤーに就任し、現在のコンセプター職へ。卓越した独自のファッション感が詰まったインスタグラムも随時更新中。

    Instagram : @hiroyasuko

  • 愛宕 勝彦 | KATSUHIKO ATAGO
    2004年より「エディフィス」にて販売員として入社。特有のファッション感から名古屋で絶大なる支持を集める名物販売員に。その後メンズクロージングのバイヤーに就任し、長きに渡りEDIFICEのクロージングマインドの伝道師として商品企画にあたっている。