WHAT IS KONARE?「こなれ」ってなんだ?
#4. 続・無地のTシャツを考える。
WHAT IS KONARE?「こなれ」ってなんだ?
#4. 続・無地のTシャツを考える。
年々短くなる梅雨、長くなる夏。
夏といえば、
1年でもっとも「こなれ」を目にする、
忌まわしきシーズン。Styling:Haruki Uchiyama
Photo:Daiki Endo
Grooming:Nanako Yajima
Model:Lenny
Text&Edit:Nobuyuki Shigetakeこなれ【▽熟れ】
読み方:こなれ
1 食べた物がこなれること。消化。「―の悪い食べ物」
2 物事を理解し習得した程度。「―の悪い文章」
(デジタル大辞泉より)こなれ感
読み方:こなれかん
別表記:こなれ服飾業界で使われることの多い、無理せず着こなしているまたは着慣れている雰囲気を意味する語。
「こなれ感」のある服はシンプルであることが多く、環境や体格に合った快適さも基準になることがある。 (実用日本語表現辞典より)色を考える。
誇張ではなく星の数ほどの種類が存在する無地Tシャツ。遠くから見ると全部同じかもしれないけれど、よーーーく見てみると全部違うし、いずれも筆舌に尽くし難いほどの個性を持っている。たとえば色。もっともベーシックとされる白だけでも何やら200色もあるらしいし、黒なんて300色あるらしい。たとえば素材。コットン、ポリ、シルク、レーヨン。これらの混紡、混率。サイズだってそうだ。つまるところ限りなく無限に近い選択肢があるわけだが、一体どういったものを選び取ると「こなれ」るのだろう?
JOURNAL STANDARD relumeのオーバーサイズTシャツ(Lサイズ) 5,500円、JOURNAL STANDARD relume × Dickiesのスラックス(Lサイズ) 14,300円、JOURNAL STANDARD relume × OUTDOOR PRODUCTSのメッセンジャーバッグ 13,200円 ※好評につき品切中、EDIFICE × KIJIMA TAKAYUKIのナイロンキャップ 15,400円、EDIFICE × adidas Originalsの『Stan Smith』 16,500円
あらかじめオーバーサイジングに作られた<ジャーナルスタンダードレリューム>のTシャツは、袖をロールアップして、あえてルーズさを緩和したうえで取り入れてみたい。ガシッとしたアメリカンコットンを用いた、一夏を共にしてもクタる気配のないタフな相棒は、同じくアメリカをルーツとする<ディッキーズ>のポリ素材のトラウザーズでアクティブに振りつつも、あくまでミニマルにまとめる。
<キジマタカユキ>のキャップは、本家でもとりわけ人気の高い、6パネルのキャップをベースに<エディフィス>が光沢のあるスポーティーな生地でアレンジした意欲作。全5色の豊富なカラーバリエーションから、夏の足し算として良い仕事をしてくれそうなミルキーなブルーをチョイス。となると<アウトドア プロダクツ>のメッセンジャーバッグだっていつもよりゴキゲンなカラーを選びたくなる。夏に陥りがちなシンプルなワンツーから脱却するべく、アイテムやカラーで要素は足し気味に。
着方を考える。
JOURNAL STANDARDのUSコットンヘビーウェイトTシャツ(Lサイズ) 5,940円、JOURNAL STANDARDのタックパンツ(Lサイズ) 13,200円、A PIECE OF chicのスカーフ 15,400円、Parabootのシューズ 参考商品
Tシャツのタックインは30年ほどの周期で流行ったり廃れたりを繰り返しているようだけど、トレンド云々を度外視するのであれば、タックインをしていたほうが邪魔じゃないし、スッキリ見えるし、考えれば考えるほど、デメリットが見当たらない。15年前なんかはナードボーイの象徴であったシャツインも今やごくごく一般的な着こなしになっているからファッションはよく分からないのだが、それは置いておいて、タックインの際にはどういったことに気を配れば「こなれ」るのかを改めて考えてみる。
キチンとしすぎるのもそれはそれで面白くないから、インするのはフロントだけ。タックインがリバイバルしている一方でまだまだ裾出しも一般的であるわけだから、インとアウトをハーフ&ハーフで取り入れれば、誰も文句は言えないだろう。
<ジャーナルスタンダード>のTシャツは、少し大きめを選んでふんわりとタックインをする。パープルとグレーの中間のような色味は一枚着でこそ映えるし、アイテム数が少なくなる夏ならばニュアンスカラーだって難しいことを考えずにトライができる。そしてこちらのTシャツ、何やら汗染みを防止する機能を搭載しているようだが、そもそもTシャツを着る際には季節関係なく、インナーを着用しよう。インナーが防波堤になってくれないくらい暑い日も確かにあるけれど。
腰にポイントとして配置した、1930年代から1960年代のヴィンテージを着想源としたモダンなスカーフは<ア ピース オブ シック>のもの。メイド・イン・フランスにこだわり、現地の老舗ファクトリーで熟練の職人たちが1枚ずつ仕上げたシルク100%のそれを、タックインによってガランとしたフロント部、ベルトループにくくりつければいつものTシャツスタイルが幾分か「こなれ」て見えそうだ。