BAYCREW’S STORE

2021年ですね。＜ LA BOUCLE （ラブークル）＞の顔になるような定番シャツを作ろうということで、このシャツが生まれました。最初は長袖だけだったんですが、店舗スタッフからの要望で、昨年から半袖がリリースされました。最初は試験的に６店舗のみでの展開だったんですが、消化がとてもよかったため、2021年から全店展開になりました。

＜EDIFICE（エディフィス）＞よりも色気のあるシャツを作りたいと思ってましたね。そこで選んだのが、デシンという生地です。デシンは「crepe de chine」の略、つまり“中国の縮緬（表面に凹凸が見られる織物）”という意味があり、中国の縮緬を見たフランス人が開発した素材です。繊細なシボがありながら、独特なドレープを生む軽量さとソフトな質感が特徴です。女性のブラウスなどによく使用されていますね。このデシンを使用することで、コットン地のシャツにはない独特な色気が生まれました。

はい。バンドカラーにしたのは、かしこまらずにカッコ良く、しかも普段使いできるシャツを作りたかったからです。通常の襟にこのデシンだとやはり上品なイメージになってしまいますから。ボタンもドレスシャツよりも小ぶりな物を選んでいます。

背中に入ったギャザーですね。元々このシャツは、1930年代にフランスで作られたナイトシャツをベースにしていて、当時のシャツにもギャザーは入っているんですが、ギャザーの分量を増やしています。

背中にゆとりのあるシルエットにしたかったんです。正面から見ると一般的はバンドカラーシャツなんですが、後ろから見るとゆったりとしたシルエットになっています。ほら、背中に色気のある男性ってカッコいいじゃないですか（笑）。

やはり背中のシルエットですね。とにかく背中の分量感にこだわっていたので、仮縫いを3回してもらいました。あとは工場探しですね。ブラウスなどに使用されるデシンをドレスの縫製で作り上げたかったので、請け負ってくれる工場さんを探すのには一苦労しました（笑）。実際最初にお願いした工場さんには途中で断られてしまい、現在は別の工場さんで縫製をしてもらってます。

やはり今までにない唯一無二のシャツだからではないでしょうか。このデシンという素材にナイトシャツという組み合わせは、これまでなかったんだと思います。替えの効かないシャツなんでしょうね。あとは一番大事なことですが、着てカッコイイということだと思います。トレンドにも左右されないデザインなので、長く着ていただけるというのもこのシャツのポイントだと思っています。

はい。ただ今年の秋冬から僕の担当が＜ラブークル＞から＜エディフィス＞になり、このシャツ自体も＜エディフィス＞ネームで販売することになりました。もちろん大きな仕様変更などはなく、ネームタグが変わるだけなんですが、この秋からは＜エディフィス＞の新定番シャツとなれればと思っています。