- Plageのベーシックを
支えてきた
デザイナーに
インタビューPlageのブランド初期からモノづくりで支え、これまで数々の名品を生み出してきたデザイナーの小川さん。日頃は多くを語らず、デザインで表現してきたようなシャイな彼女ながら、今回はブランド内での通称「小川ベーシック」と呼ばれるベーシックアイテムに特化したコレクションの発売にあたり、今回のラインナップやこれまでのものづくりへのこだわり、小川さんの目から見た Plage について語ってくださいました。
ProfileSakiko Ogawa|Plage DesignerPlage 在籍 9 年目。猫と過ごす休日が癒し。
DESIGNERʼS
INTERVIEW一見、普通の服。それがいかにカッコよく見えるかが勝負。
Q まずは今回のベーシックラインについて教えてください。
Plageで定番となりつつあるデニムジャケットを軸に、そこから派生させた<ベーシックアイテム> にフォーカスしたラインナップになっています。同素材で作ったデニムのパンツとスカート、合わせで着られるTシャツ、カーディガン、シャツと、さらにもう一種類ボトムのバリエーションとしてカーゴパンツを加えた全7型です。
Q このべーシックラインを持っていればいくらでも着回しができそうですね!
そう言っていただけるとうれしいです。この中での組み合わせはもちろんですし、ぜひお手持ち ワードローブといろいろと組み合わせて楽しんでいただきたいです。それがベーシックアイテム のいいところなので。
Q 今までも数々のベーシックアイテムを手掛けられてきたと思いますが、ベーシックアイテムならではのこだわりはありますか?
「長く着られて一枚でも決まる服」というのを常に意識しています。ベースは一見、普通の服だけど、 それを着た時にいかに素敵に見えるかを考えながら作っていますね。先程もありましたが、ベーシックアイテムは着回す楽しみがあるじゃないですか。なんとなく手に取って、日々のスタイリングに1つ取り入れていただいた時に、さりげなくおしゃれに見えるというのが理想です。
素材選びや縫製、着心地の良さにもこだわって作っていますね。
あと、デニムは長く着ていただく中で色や風合いの変化があり、育てる楽しみもありますよね。ベーシックアイテムも、仕上がりのひとさじはその時々の気分で調整。
Q 小川さんが生み出した名品の一つであり、このコレクションの始まりとなったデニムジャケットについて教えてください。
2021年のSSに発売して、秋冬も含めて今季で5シーズン目になりますね。正直、ここまでロングセラーになるとは思っていませんでした(笑)
作ったきっかけは、Plageのスタイリングの中に本格的なヴィンテージ感があるデニムジャケットを取り入れたら素敵だなと思ったんです。だけど古着はハードルが高いというお客さまも多かったり、自分にぴったりのサイズに出会うのもなかなか難しいですよね。例えば身幅が合っても丈が短かったりとか…。だから今の気分でスタイリングした時にかっこいいサイズバランスで、ヴィンテージのような加工感を目指して作りました。Q 確かに本物のヴィンテージのような佇まいですよね。でも手に取ると柔らかいし、想像以上に軽くてかなり驚きました!
うれしいです(笑)この生地選びにはすごくこだわりました。厚すぎず、でも本格的に見えるように。 そうそう、今思い出したんですが、もともとデニムジャケットの裾をトラウザーにインして着たいというコンセプトがあったんです。だから当時、この生地に行き着いたんですよね。
最近は羽織るだけでなく、ジャケットやコートの中にインナーとして着るスタイリングも人気です。
このしなやかな生地だからシャツ感覚でも着られちゃうんです。そうやって毎シーズンの気分に合わせて、どんどんと自由に着こなしの幅が広がっていってる気がします。Q 他に今回のアイテムで特にこだわった点は?
Tシャツとカーゴパンツのベージュは色合わせをしていて、大人っぽいワントーンコーデを楽しんでいただけるように作りました。ラインナップの中には、改めて見ると「ベーシックアイテム」というテーマなのにちょっとやりすぎちゃったかなというアイテムもあります(笑)
Q そうなんですか(笑)具体的にはどのあたりですか?
まずはデニムスカートです。「ベーシック」と言い切るならファスナーの方がいいんだろうなとは思いつつ、ウエストを折り返したり、裾の釦を開けてスタイリングを楽しめたらいいな思って最終的にボタンのディテールにしました。あとはカーディガンもベーシックと言えばVネックをイメージしますが、ポロ襟が気になっていたので襟を付けました。
形はアレンジしていますが糸選びはこだわってベーシックで上質なイタリー糸を使用しています。Plageではカーディガンを羽織りだけでなく、ボタンを全部閉めてプルーオーバーとして着る提案をしています。なのでVネックの開きにもこだわって作っています。
Q なるほどです。でもどちらも「デニムスカート」「ニットカーディガン」というアイテム自体がベーシックなので個人的に違和感は全くありませんでした!
本当ですか!よかったです(笑)
Q やはり一口に「ベーシック」と言っても、シーズンや気分によって細かなアレンジを変えたりしているんですね。
そうですね。その時の気分や、スタイリングのイメージに合わせて調整します。 例えば先シーズンのカーゴパンツはかなり太めでカジュアルに作ったのですが、今回は少しクリーンな印象にしたくて。着た時のシルエットを重視して、サイドの縫い方を厚みの出る巻き縫いではなく普通のはぎにして、さらに柔らかい風合いに加工を入れて、落ち感のある女性らしいシルエットに仕上げています。
お客さまとの距離の近さが、Plageらしさ。
Q 日頃デザインするときのこだわりについて教えてください。
先ほどと同じになってしまいますが、長く着られて一枚でも決まる服という点はいつも意識しています。
やっぱりたくさん着てもらいたいですから!一枚でも決まる気の利いたデザイン、着心地の良い素材や形、着回しのしやすさ、スタイルがきれいに見えるシルエットなどを大事にしています。
色に関しては肌映りがいい色選びを心がけていたり。Plageといえばベージュというイメージがあると思うのですが、ベージュを選ぶ時は特に肌がくすまないか確認しています。
さらに細かい部分になってくると、ステッチの運針や仕上げのプレスなどです。
生産管理の人と相談しながら仕上がりのイメージに合う工場をリクエストすることもあります。工場によって得意分野や個性が違うので。Q 工場を選ぶところからがもうすでにデザインの一部なんですね。小川さんは上がってきたサンプルのチェックも細かくされると聞きました。どんなところを特に見られているんですか?
全体の雰囲気から縫い方や仕様の一つ一つも見ますし、着心地も慎重にチェックします。
また、商品をイメージする仕上がりにできるようにサンプルだけでなく、量産のチェックも慎重に行なっています。あと、例えばデニムやカーゴパンツなど製品に加工を入れるものは、サンプルを作る前段階で筒状に縫った生地で加工感を確認します。加工を入れると生地の表情が大きく変化します。2種類の素材で作って加工感の違いを見たり、場合によってはAとBの工場に依頼してみることもあります。そうして上がってきたものは同じ生地とは思えないような全く違う顔になることがあるんです。
Q Plageの初期から携わってきた小川さんが考える「Plageらしさ」とは?
うーん…壮大な質問ですね(笑)一言でこれというよりは、細かいポイントがいくつもあります。 女性らしいリラックスした着こなしは外せませんが、少し遊び心のあるアイテムを取り入れたスタイリングかな。
他にはブランドの風土みたいなところですが、お客さまとの距離感が近いところがPlageらしいと思います。商品の会議でも具体的にお客さまのお名前が出てくることもしょっちゅうですし、お客さまの声もお店のスタッフからすぐに届いてきたりします。私も個人的にお客さまのインスタをフォローしています。たまにお店に立った時には、お客様とお話しできるのがすごくうれしいです。Q それでは最後に、今回のベーシックラインをご覧になるお客さまへ一言メッセージをお願いします。
ベーシックアイテムだからこそ、みなさまそれぞれのスタイリングを存分に楽しんでいただけたらうれしいなと思います。
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