1万7000本を売り上げる
傑作ボトムス人気を博す商品には、必ず理由(秘密)があります。
もちろんそこには作り手のこだわりが満載です。
そんな人気商品の秘密に迫る本企画。
記念すべき第1回は、わずか4年で累計1万7000本を売り上げる
ジャーナルスタンダードのブッチャー ドライイージーパンツです。
さて“ニンキノヒミツ”はどこに隠されているのでしょう?Photo:Kazuki Miyamae
Interview&Text:Takashi Abe小泉誠
JOURNAL STANDARD 企画1975年生まれ。ベイクルーズ入社以来、企画一筋の大ベテラン。
半期でおよそ70〜80型のオリジナル商品を企画する縁の下の力持ち。JOURNAL STANDARD
POINT① 麻?いいえ、ポリエステル100%です
遂に理想の素材ができました
「2019年の発売当初から“麻のような表情をしたポリエステル”をテーマに、理想に近い生地を使用してきました。当初から素晴らしいクオリティでしたが、麻ならではのハリやコシがまだ弱く…。毎年改良をし続け、今年ようやく僕の中で満足のいく生地が仕上がりました。麻のようにハリとコシがありつつも、ポリエステルならではのイージーケアが実現し、まさに両者のいいとこ取りをした生地です」
POINT② 絶妙なテーパードを生み出す1タック
美麗テーパードを生み出す重要ディテール
「程よくテーパードされたシルエットも、このパンツの人気の理由です。ゆったりとしたワタリから徐々に裾にかけて細くなっていきますが、この絶妙な太さワタリはフロントのタックのおかげ。ひと昔はノータック主流でタック入りのパンツは敬遠されがちでしたが、今はむしろタックがないと嫌というお客様が多いですね」
POINT③ さりげなくもこだわりの詰まったポケット位置
程よい抜け感を演出するため、あえて低位置に
「気づいていない方も多いと思いますが、バックポケットの位置を通常のパンツよりも低めにデザインしています。全体的に上品な印象なので、あえてヒップポケットの位置を下げることで、カジュアルさを出しています」
上品すぎず、
カジュアルすぎない
万能さも魅力のひとつーこのブッチャー ドライイージーパンツが誕生したのは2019年とお聞きしました。
はい。細かなアップデートをし続け、今年で5年目になります。同じ型の素材違いも色々展開してきましたが、それらを含めたシリーズ全体では、トータルで4万本をこれまでに販売してきました。<ジャーナルスタンダード>のボトムスといえば、まずはこのモデルを思い浮かべる人は多いかもしれません。
ー1番のこだわりは、やはり生地ですか?
そうですね。このパンツを企画する段階で“麻のような表情をしたポリエステルの生地”を使用するということがテーマになっていました。麻のように上品さと爽快さがありながら、ポリエステルならではのイージーケアができればと。リリースした2019年の段階から、理想に近い生地を使用していたんですが、当初僕の中ではまだ満足できていませんでした…。
ーといいますと?
見た目や機能面は満足していたんですが、ハリやコシといった触り心地がまだ麻よりも柔らかかったんです。毎年生地のサンプルを製作したんですが、なかなか思うように行かず…。で、今年ようやく僕の中で納得のいく生地が完成しました。
ーその生地を今季から使用されているんですね。
はい。麻のようにしっかりとハリコシがあり、まさに僕が求めている生地でした。ここまで硬さとハリコシのあるポリエステル生地は、おそらくうちだけじゃないかなと思ってます。
ーこの生地がポリエステルだと思いませんでした。生地だけでなくシルエットにもこだわりがあるとお聞きしました。
ゆったりとしたワタリに程よくテーパードをかけ、細すぎず太すぎずのシルエットに仕上げました。このモデルを企画した当時、リラックス感のあるボトムスが人気だったということもあり、カジュアルになりすぎない程度にリラックスできるシルエットを目指しました。
ーフロントにタックが入っているのもその理由ですか?
はい。タックが入ることでワタリに余裕を持たせることができるので、このモデルではタックを採用しました。
ーひと昔前はノータックが主流でしたが、最近のボトムスはタック入りが多いですね。
時代もあると思いますが、むしろタックが入ってないと嫌というお客様もいらっしゃいます(笑)。
ーそうなんですね。その他、こだわりのディテールはありますか?
ヒップポケットですね。ほとんどの方は気づかないと思いますが、通常のボトムスよりも若干低い位置にヒップポケットをデザインしています。
ー言われてみると、確かに位置が低いですね。これは何故ですか?
ポケットが低い位置にあることで、見た目の印象がかなり変わるんです。通常の位置にあると、カッチリとしたイメージになるんですが、低い位置にすることで、間が抜けるというか、よりリラックス感のある雰囲気になります。ウエストにドローコードを付けたりと、堅苦しさを少なくしたかったこともあり、この位置にしました。
ーシルエットは発売当初から変更されたりしましたか?
シルエットはまったく変えていません。それもお客様に気に入っていただけている理由の一つかもしれません。
色抜けしづらいのは、
ポリエステルだからこそーちなみにモデル名のブッチャーとは何を意味しているのですか?
これは生地の組織のことです。ブッチャーは英語で肉屋さんという意味があるんですが、昔肉屋で働く人たちは、リネンの表情が粗くて丈夫なエプロンを身につけていたそうなんです。そのエプロンが由来となり、現在では同様の生地をブッチャーと呼んでいます。
ーそういう意味があったんですね。ちなみに今回6色展開していますが、小泉さんのオススメは何色でしょうか?
もちろんどの色もオススメなんですが、僕が一番気に入ってるのはブラックですね。ポリエステルの良さって色の変色がしにくいんです。もしこれが麻のような天然素材だと、色が徐々に白くなってきちゃうので、そういう意味でも変色しづらいポリエステルって素晴らしいですよね。
ーやはりこのブッチャー ドライイージーパンツは、生地がポイントなんですね。
自分はそう思いますね。実際に穿かれてる方に聞くと、風通しがとてもいいっておっしゃってくださるので、今後もこの生地を使用していきたいと思います。ただ、この生地を越える生地が開発できたら話は別ですが(笑)。
Style Sample for
Butcher Dry Easy Pantsブッチャー ドライイージーパンツ
ウエストにドローコードが付き、ベルトレスで着用できるのも人気の秘密。
カラーは、ブラック、ナチュラル、ベージュ、ネイビー、オレンジの5色展開。