1. HOME
  2. 特集
  3. JOURNAL STANDARD FURNITURE MASTERPIECE CHRONICLE ジャーナルスタンダードファニチャーの名品モノがたり。「APFR(アポテーケ フレグランス)」 菅澤圭太さん(後編)
  • 人気のモノには、ワケがある。
    モノづくりの現場をたずねて魅力を探る、こちらの新企画。
    JOURNAL STANDARD FURNITUREの各店舗で多くのリピーターを抱える人気フレグランスブランド「APFR(アポテーケ フレグランス)」菅澤圭太さんへのインタビュー、後編です。
    ディテールまで目を配らせ変わらぬ信念を貫きながら、今年は新たな挑戦も始まっています。

    ―――ACMEとの出会いはどんなきっかけだったのですか?

    親友の結婚式の引き出物として、キャンドルを作ったんです。まだブラックのパッケージだったので、ブランドを始めてすぐの頃でした。このとき来賓の中にACMEのディレクターさんがいたんですね。式の後、キャンドルの問い合わせをいただいて、取引が始まりました。個人的にも好きで憧れていたブランドだったので、嬉しかったです。もう10年以上のおつき合いになりますね。

    ―――ACMEとは、オリジナルフレグランスを何度もリリースしています。

    初期の「ACME 1」「ACME 2」、そして2018年に発売した「BUSH CRAFT」ですね。アメリカンなライフスタイルを提案するACMEのブランドイメージから、男性的な香りや、森の中にいる心地良さみたいなものを膨らませていきました。昔からキャンプが好きなのですが、「BUSH CRAFT」を考えていた頃がちょうどキャンプへの熱量が高い時で。「キャンプで焚き火しているイメージでいきませんか?」と提案しました。

    コラボレーションした「BUSH CRAFT」シリーズ。
    ディフューザー、キャンドル、ミストスプレー、インセンスの計4アイテムを展開。

    ―――植物や自然からインスピレーションを得ることが多いのですね。

    香りの原料は植物性香料が多いですが、フレグランスというカテゴリーは、合成香料を用いることでナチュラルさよりももう一歩テーマに踏み込んだ個性的な香りを作ることができるのが面白いところだと思います。

    ―――今お話しをうかがっているLABOにも原料の瓶がずらりと並んでいます。ここでは、香りの調合を行なっているんですか?

    そうです。LABOは、今年1月に拠点をここに移したばかりなんですよ。以前はもっと千葉の山奥にあるログハウスだったんですが、アイテムが増えてスペースが足りなくなってしまって。かつてクリエイティブは僕一人だったのが、今はスタッフも増えましたからね。あとでお話しするリブランディングのテーマにも通じますが、今のアポテーケが目指す方向がもう少し洗練されたクリーンな世界観だったこともあり、ここに引っ越しました。

    クリエイティブチームには、
    正確なルーティン作業と創造力の両方が求められる

    このLABOで香りを調合し、別にある工場で量産する体制をとっています。スタッフが増えた今、チームには「視野を広く物事を考えてほしい」と伝えていますね。フレグランスの製作工程は、かなりのステップが必要です。試作を何度も繰り返し、ボツになった香りも山ほど。

    調合のプロセスは、チームとテーマから考えて、処方箋を書き起こして、その数値通りに調合していきます。数字に強くないといけませんね。毎日、同時刻にキャンドルを灯して消して、香りが変化しないかを確認するなど、たくさんの地味な作業に支えられていたりもします。ルーティン作業を正確にこなしつつ、新しいことやクリエイティブなものに敏感でいてもらいたいですね。

    ―――2023年3月には、パッケージを大きく一新されました。

    おかげさまでブランドが成長して、コロナ禍でのおうち需要なども重なり売上は好調です。国内でフレグランス市場が大きく伸びたうえ、韓国や中国、EU諸国、アメリカ、オセアニアなど、海外の取り扱いも15カ国に広がりました。今後のグローバル展開を意識した時に、日本ブランドとしての独自性をもっと出していきたいと思うようになったんです。

    “香りを探す旅は、
    イメージを豊かに広げる旅でもある”

    新パッケージはモダンでシックなデザインと、絶妙な色味にこだわりました。この絶妙な色味というのがポイントで。僕がこれまでアメリカや中東、アジアなど数々の旅先で影響を受けたMIXカルチャーを表現したかった。日本の伝統色にもリンクさせつつ、多様な文化が混ざり合うようなニュアンスのあるシンボルカラーに仕上がったと思います。

    ブランド全体のキーワードである「旅」というテーマのメッセージも、パッケージの側面に載せました。香りのインスピレーションに旅は欠かせないものです。旅をしている時に感じる雑多なにおいは、街の雰囲気、人、食べ物・・・さまざまなモノが混ざり合ってできている。その場で感じて体験したものをイメージ化して、面白いと感じる香りが生まれます。

    ―――リブランディングについて、反響は届いていますか?

    おかげさまで評判が良く、先日、韓国で新パッケージのお披露目会を開いた時も好感触でした。今回のリブランディングには、“クラフトからの脱却”という狙いもあって。“ハンドメイド”“ナチュラル”というイメージから、もう少しクリーンなムードにシフトしたいんです。洗練されていて、重厚感も漂うユニセックスなブランドを目指していきたい。

    新たな挑戦として、香りを身にまとうアイテムを広げます。ハンドウォッシュやハンドサニタイザースプレーは既にありますが、今後は化粧品のカテゴリーを増やしたいなと。ボディケアシリーズのラインナップを、完成させたいと考えています。下北沢にある直営店APFR TOKYOは、新パッケージの商品を置いてようやく世界観が整いました。いつか、海外にも直営店を開くのが夢ですね。

    菅澤 圭太

    Keita Sugasawa
    1980年、千葉県生まれ。
    アパレル、商社、香料会社など様々な仕事を経験後、独学で勉強し、ルームフレグランスの制作を始める。2011年に「APFR(アポテーケフレグランス)」を設立。

    ―――
    APFR TOKYO
    世田谷区北沢3-19-20 reload1-5
    03-5738-8641

    APFR(APOTHEKE FRAGRANCE)instagram

    ―――
    APFR(APOTHEKE FRAGRANCE)取り扱い店舗
    ・JOURNAL STANDARD FURNITURE
    渋谷店 / 自由が丘店 / 吉祥寺店 / 日本橋店 / NEWoMan新宿店 / みなとみらい店 / 堀江店 / 大阪店 / 福岡店 / 立川立飛店 / 堺店 / 越谷レイクタウン店(4/22 OPEN)

    ・ACME Furniture
    目黒通り店

    ・BAYCREW’S STORE
    名古屋店 / 仙台店

    ―――
    APFR(APOTHEKE FRAGRANCE)PRODUCT PAGE
    JOURNAL STANDARD FURNITURE ONLINE SHOP
    ACME Furniture ONLINE SHOP

    ―――
    PHOTOGRAPH:Yuma Yoshitsugu
    TEXT:Chikako Ichinoi