Welcome to Tokyo, Mr.John.ジョン・Kにまつわる
10のこと。Welcome to Tokyo, Mr.John.ジョン・Kにまつわる
10のこと。カートゥーンアニメーション界の巨匠が<ジャーナルスタンダード>とコラボレーション。6種のプリントTシャツをリリースした。これだけでもビッグニュースなのだが、発売日にキャットストリートのお店で開かれた作品展を覗いてみると、なんと会場にジョンさんが! 少しだけ時間をもらって、10の質問をした。ジョンさん、日本へようこそ。 40年ぶり(!)の東京はどうですか?
Photo:Daiki Endo
Text&Edit:Nobuyuki Shigetake彼の名は、ジョン・クリックファルシ。björk(ビョーク)やThe Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)のMVを監督したり、<ステューシー>とコラボレーションしてTシャツを作ったり、業界をまたいで各所からラブコールが絶えない、世界的なイラストレーター/アニメーターだ。愛称はジョン・K。
代表作である『レンとスティンピー(1991~1996年)』は放映当時、アメリカでもっとも人気のある子ども向けケーブルテレビ番組であったが、回を重ねるごとに激化される、痛快なブラックユーモアと鮮烈な社会風刺が大人にも大ウケ(あのカート・コバーンも大好きだったらしい!)。これだけでも、どんな作品なのか、なんとなく分かるかもしれない。とにかく、幅広い年齢層から支持される、素敵なアニメ作品を作っていたんだ。
「作品やイラストは見たことあるけれど、名前を聞くのは初めてだよ」という人も多いかもしれないから、まずはこのインタビューを通じてどんな人柄か知ってもらって、あとは各自、ネットの海に潜って彼の作品や彼自身のことを調べてみてほしい。
Q1. 今回のコラボレーションワークについて教えてください。
ジャーナルスタンダードからオファーの話を聞いて、嬉しかったね。ありがとう。これまでに描いた僕の作品からいくつかのキャラクターをピックアップして、Tシャツにプリントしてもらった。さらに、こうして日本にも招待してもらったんだ。嬉しいことだよ。
Q2. ジョンさんが描くキャラクターはどのようにして生まれるんですか?
朝に描くことが多い。だいたいはブレックファストを食べながら気まぐれにペンを持って、手を動かして、という感じかな。経験上、意気込んでデスクに向かうより、気楽にペンを持ったときのほうが良いキャラクターを描けることが多いね。そう気が付いてからは、いつも食事のことを考えながら描いているんだ。だから、深い意味はないんだよ。何も考えずに見てほしい(笑)。
Q3. 創作のインスピレーションはどこから?
生活。あらゆる人や、生物の。つまり、身の回りのことすべて、だね。たとえば友人から「最近こんな面白いことがあったんだ」なんて話を聞いたら、その状況を頭に思い浮かべて描いてみたり。録画したビデオを見ていて、かわいい動物がユニークな動きをしていたら、画面を一時停止して描いてみたり。とにかく、動物が好きなんだよね。
Q4. 日本に来るのはどれくらいぶり?
前に来たのが1980年代だから、およそ40年ぶりってことになるね。あの頃と比べると、ビルだらけになっていてとにかく驚いた(笑)。前回は2日間しかいられなかったから、今回は少し長めにステイできて嬉しいよ。中野ブロードウェイにどうしても行きたいんだけど、まだ行けてないんだ。この滞在中になんとかして行けたら良いな。
Q5. 日本で注目しているカルチャーはありますか?
漫画とアニメ。このふたつは日本で独自に発展している、代表的な文化だと思う。手塚(治虫)さんの作品は特に大好きで『鉄腕アトム』、『ワンダースリー』……古いものばかりだね(笑)。あ、あとは『フリクリ』なんかも好き。中野ブロードウェイではそれらの作品のグッズも買えたら良いな、と思っているんだ。
Q6. 僕は今30歳なんですが、ジョンさんは30歳の頃、どう過ごしていましたか?
初めてアニメーターとして作品に関わったのが、君と同じ30歳のときだった。『マイティ・マウス』という作品なんだけど、知っているかな?(編集注:ネズミのスーパーヒーローであるマイティ・マウスが活躍するアニメ作品。作中で主人公のマイティが花びらの匂いを嗅ぐシーンがコカイン吸引の動作に似ていることをアメリカ家族協会から指摘され、マスコミを巻き込んだ騒動に発展したこともある話題作)もう30年以上前のことか。懐かしいね。『レンとスティンピー』を構想し始めたのはその3年後。ガムシャラに描き溜めた原作をいろんなプロダクションやテレビ局に売り込んだんだけど、どこも「おまえ、クレイジーだな!」なんて言ってくるばかりで、まともに取り合ってくれなかったのをよく覚えてる(笑)。結局、放映されるまでに何年もかかったね。
Q7. 一番最近見た映画を教えてください。
最近の作品はあまり見ないんだ。懐古主義ではないけれど、気が付いたら古いものばかり見ているよ。特に好きなのは1930年代から1950年代の作品。あ、そういうものがインスピレーションになることもしばしばあるね。
Q8. 最近の気になるニュースは? 身近なものでも、そうでないものでも。
朝はいつもテレビを付けながらブレックファストを食べているんだけど、ネイチャーに関するニュースで動物が出てくるたびに釘付けになってしまうんだ。ユニークな動物が出てきたら、どんなにブレックファストが美味しくてもその光景を脳に焼き付けて、すぐにドローイングをするよ。
Q9. 幼い頃はどんな子どもでしたか?
漫画ばっかり描いてた。父親からしたら面白くなかっただろうね。父は僕に、野球選手になってほしかったみたいだから。いつもバトルしていたね。僕が好きだったロックンロールも否定されていたし、とにかく趣味が合わなくて喧嘩ばかりしていたよ(笑)。
Q10. 若手のイラストレーター、アニメーター、カートゥニストに何か一言お願いします。
とにかく描いて、描いて、描きまくるしかないよね。でも、量だけを追及して、闇雲にやっていてもダメ。ちゃんとした技術を身につけるために勉強をして、そのうえで、描きまくる。上手に、たくさん描くんだ。応援しているよ。
展示されていた原画は、なんと販売もされていた。
björk『i miss you』の一コマ。
上のカットでbjörkが手にしている人形。Spumco社の1997年製ヴィンテージトイで、驚きのデッドストック!
JOHN K. × JOURNAL STANDARD ART EXHIBITION
日程:〜2023年4月9日(日)11:00〜20:00 入場無料
場所:JOURNAL STANDARD表参道店MENS
東京都渋谷区神宮前5-25-4 BARCAビル1F・2F
@jsomotesando
ジョン・Kさんを敬愛する3名からコメント
シンゴスター (アニメーション制作会社 ODDJOB Inc. 代表) ジョンK先生はボクの教科書です!!!
@shingomadmen
@oddjob_inc
SITE (HIPHOP何でも屋。マンガ家) 青春。専門学校に通ってた頃に『レン&スティンピー』の日本語吹き替え版を録画した大量のVHSテープは今でもよく見直しています。
@ghettohollywood
藤塚剛広 (electricland) 何と言えば良いでしょうか…。『Ren & Stimpy』や『Jimmy The Idiot Boy』なんかの生みの親、John Kricfalusiの作品は、とにかく『狂』という文字が相応しい。反社会的な事象から日常の疑問まですべて破壊してしまう。Hanna Barberaなんかを彷彿とさせる60’s風の手描き感があるタッチで、今(当時early90’s)を壊す。変な例えですが、鉄人28号がgameboyを使って世界征服するみたいな話…。こっちのアタマがおかしくなってきました。そういうアタマにさせてしまうストーリーです。個人的には手描き時代の最後のLowbrow アーティストだと感じています。私の中のベストキャラクターはMr. HorseとSody Popです。
@electricland_tokyo