LEの定番Tシャツの魅力を改めて。
Text:Nobuyuki Shigetake
シャツやカーディガンと合わせるちょうどいいTシャツのことを考えていたら、これまでにも再三にわたって紹介してきた<エルイー>のクルーネックTシャツのことが、また改めて気になってきた。そもそもどんな成り立ちで、どういったコンセプトで作られたモノなんだっけ? <レショップ>のコンセプター・金子さんに話を聞かせてもらった。
―どういう経緯で誕生したプロダクトなんですか?
金子:いわゆる「THE アメリカ!」なTシャツを作りたかったんですよね。でも「THE アメリカ!」って? といきなり壁にぶち当たりました(笑)。とはいえ自分の中には「こういうディテールで、こういう風合いの素材で……」と理想形のイメージはあったので、膨大なアーカイブからそれに近しいものを探してみたら、ドンピシャなものを見つけることができたんです。1980年代に大量生産されていた、アメリカのボディブランドのヴィンテージですね。
―これまでにどんなアップデートが加えられてきたんですか?
金子:まずはサイズ。当初は9サイズ展開で、身幅の最大サイズだったWIDEでは、身体の大きい人には物足りないという声を多くいただいていて。さらに身幅の大きいEX-WIDEを加えて、今では全12サイズになりました。あとはSHORTの丈を少し長くしたり、一方でLONGはこれまでよりもやや短くしたり。新たなサイズを作るだけでなく、これまでにあったサイズも細かなマイナーチェンジをしています。もちろんクオリティ面も追及していて、特にネック部分のリブは繰り返しの着用、洗濯にも耐えられるよう、強化しています。
―複数用意されているサイズバリエーションを、金子さんご自身はどのように使い分けることが多いですか?
金子:1枚でリラックスして着たい場合はWIDEのSTANDARD。タックインしつつもブラウジングして着たい場合はWIDEのLONG。ニットやシャツのインナーに合わせる場合は少し身幅を狭くしたいので、STANDARDのLONG。主にこの3パターンで使い分けていますね。
―金子さんのこだわりがもっとも反映されているのはどの箇所ですか?
金子:ネックの締まり具合は試作も重ねましたし、修正にかなりの時間を要しましたね。理想は“着ていてキツくは感じないけど詰まった印象”にすることでした。そのためにはサイズの指定だけでなく、フライス(編集注:丸編み機で編み上げた編地のことで、ゴム編み、リブ編みとも呼ばれる)の付け方やフライス自体のクオリティも影響してくるので、僕の知識だけではなかなか満足いくものに仕上げるのが難しくて……。生産管理の方からもアドバイスをいただきながら、時間をかけて決めていきました。
―このTシャツを一言で言うと?
金子:アメリカ的Tシャツの理想的な姿、ですかね。ちょっと、言い過ぎかもしれませんが(笑)。
定番的に使いまわしのきく、ホワイト、グレー、ネイビー、ブラックの4色展開。
毎年、新カラバリが追加されており、絶賛増殖中。サイズは横にスリム、スタンダード、ワイド、エクストラワイド。
それぞれ縦にショート、スタンダード、ロングの、全12バリエーション。一見するとベーシックなTシャツではあるが、並々ならぬこだわりが詰まっている。
仕上がりまでにもっとも難航したという、グッと詰まった首元のリブ部分。
一般的に流通しているものと比較してやや太めの“金子理論”が採用されている。星の数ほど現存する無地Tシャツは、ベーシックだけれどしっくりくる、
私的スタンダードな1着を見つけておきたい。