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  • WHAT IS KONARE?「こなれ」ってなんだ?

    #1. チラ見せの美学

    WHAT IS KONARE?「こなれ」ってなんだ?

    #1. チラ見せの美学。

    よく聞く(見る)けど、「こなれ」って、
    いったいなんなんだ?
    もしかしてみんな適当に言ってる?

    Styling:Haruki Uchiyama
    Photo:Daiki Endo
    Grooming:Nanako Yajima
    Model:Ukyo
    Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

    こなれ【▽熟れ】

    読み方:こなれ

    1 食べた物がこなれること。消化。「―の悪い食べ物」
    2 物事を理解し習得した程度。「―の悪い文章」
    (デジタル大辞泉より)

    こなれ感

    読み方:こなれかん
    別表記:こなれ

    服飾業界で使われることの多い、無理せず着こなしているまたは着慣れている雰囲気を意味する語。
    「こなれ感」のある服はシンプルであることが多く、環境や体格に合った快適さも基準になることがある。 (実用日本語表現辞典より)

    インナー5cm、ソックス5cm。

    Champion × JOURNAL STANDARDのスウェット(Lサイズ) 14,960円JOURNAL STANDARD relumeのタイダイTシャツ(Lサイズ) 5,500円、Leivi’s®︎ × EDIFICEの『501®︎』(W44 L26) 15,400円、adidasの『SAMBA』 はモデル私物、ソックスはスタイリスト私物

    肩肘張らず、地に足が付いている、ということだろうか。使い慣れたアイテムたちに、新鮮さと少しの脱力感をプラスすると「こなれ」るのかもしれない。たとえば、パンツとシューズの隙間からソックスが見えていたり、トップスの裾と首元からインナーが少し見えていたり。

    182cmの右京くんが腰で穿くと、くるぶしの少し上くらいにレングスがおさまるから、履き古して良い具合にエイジングした『SAMBA』までの5センチほどの隙間をパープルのソックスで埋める。

    <チャンピオン>が<ジャーナルスタンダード>と作ったピグメントダイのスウェットと相性抜群な<リーバイス>と<エディフィス>による『501®︎』は、ウエスト44インチのスーパー・ビッグサイズ。にもかかわらず、レングスは短めの26インチ。古着屋でオーバーサイズの<リーバイス>を探すと、もれなくレングスが34だったりして、正直、もう少し短ければな、と思うことがしばしばあった。ベルトでぎゅっと縛ると、腰回りとヒップにタックパンツのようなゆとりが生まれ、裾に向かって美しいストレートラインを描く。(Leivi’s®︎ × EDIFICEの『501®︎(W44 L26)』は人気のため完売御礼。4月末頃より再予約開始、7月目処に再入荷予定)

    <チャンピオン>のスウェットは着丈が少し短めだから、インナーをパンツにインしない限り、裾からの露出は避けられない。どうせ見せるのならいつもの白Tシャツではなく、少しだけ、遊びの効いたものがいい。これは<ジャーナルスタンダードレリューム>のオリジナル。イエローとパープルのタイダイ染めが、フェードしたブラックの上下によく馴染んでくれる。

    裾からはイエローを、首元からはパープルを覗かせる。この色の組み合わせはどうしたってロサンゼルス・レイカーズを連想させるわけだが、よくよく考えたら<リーバイス>も<チャンピオン>もルーツはアメリカ! ファッションには、こういう楽しみ方もあるのだ。

    インナー10cm、ソックス1cm。

    THE NORTH FACE PURPLE LABEL × JOURNAL STANDARDのマウンテンパーカ(Lサイズ) 37,400円、EDIFICEのコットンニット(Lサイズ) 販売時期未定、JOURNAL STANDARD relumeのボーダーTシャツ(Lサイズ) 8,800円、EDIFICEのイージーパンツ(サイズ2) 販売時期未定、古着のジャーマントレーナーとソックスはスタイリスト私物

    ホワイトからオフホワイトへとグラデーションする、肩の力が抜けたスタイリングには、人工芝のようなグリーンの<エディフィス>のニットを差し込むことで季節感と少しの新鮮さをプラス。ホワイトのマウンパは<ジャーナルスタンダード>が<ザ・ノース・フェイス パープルレーベル>に別注したもの。デカめのフラップポケットにアレコレ詰め込んだら、手ぶらでも出かけられそうだ。

    ややコンサバティブな印象のコットン素材のクルーネックニットこそ、チラ見えするインナーでの遊び甲斐がある。相反する要素としてマルチボーダーのTシャツを差し込んでいるものの、複数色で構成されるボーダーに薄めのグリーンが入っているため、破綻の心配はない。力は抜いていたいけれど、だらしなく見えてしまうのは嫌だから、サイズはいつもよりコンパクトめに。

    直立した際にスニーカーにかかるか、かからないかくらいの長さだと、歩いたときに程よくチラ見えする。

    <エディフィス>のリゾートライクなイージーパンツと古着のジャーマントレーナーの隙間からは、ペールグリーンのソックスをチラ見せ。インナーを多めに見せているぶん、ソックスは申し訳程度の見え具合をキープしておきたい。何事も、やりすぎは禁物である。

    インナー1cm、ソックス0cm。

    JOURNAL STANDARDのレースシャツ(Lサイズ) 13,200円Champion × JOURNAL STANDARDのフーディ(Lサイズ) 15,950円JOURNAL STANDARDのリップストップパンツ(Lサイズ) 14,300円、NATIVE EARTHのレザーポシェット 入荷時期未定、Timberlandのシューズと中に着たTシャツはスタイリスト私物

    <ジャーナルスタンダード>のレースシャツは、大きめに作られているから、シャツジャケットとしてフーディの上からでも着ることができる。同じく、かなりワイドな<ジャーナルスタンダード>のリップストップ素材のカーゴパンツと合わせて、全身をアーシーなトーンで統一。パンツの裾にはドローコードが入っていて長さを調節できるのだけれど、ここはあえてのフルレングスでこの太さを楽しむ。

    同系色で構築したスタイリングは、まとまりはあるのだけれど、一方で平坦に見えてしまうことも。なので、異物としてのホワイトを差し込む。これがあるとないとでは、けっこう違う。ハンバーガーで言うところのピクルスのような存在だと思ってもらえたらいい。

    ななめに下げたバッグは、アメリカのローカルブランド<ネイティブアース>のもの。古き良きネイティブアメリカンのレザー技法を駆使しながらひとつひとつ丁寧に、ハンドメイドでつくられている。文庫本とスマホ、イヤホンと財布を入れるのにちょうどいい小ぶりのサイズは、薄着になってポケットが少なくなるこれからの季節に重宝しそうだ。

    レザーアイテムを2点以上スタイリングに取り入れる際は、それぞれのカラーをなんとなくでも合わせておけばとっちらかりにくい。ベルトとシューズを同色にする、フォーマルのマナーから知恵を拝借。